以前は、自動車のGPS対応ナビゲーションシステムくらいでしか使うことのできなかった全球測位衛星システム(GNSS)。それが今では、普段持ち歩いているスマートフォンで気軽に利用できる。しかも、米国のGPS衛星だけでなく、ほかのGNSS衛星からの信号なども受信することで、測位精度が向上した。
今回は、そうしたGNSSを自作ハードウェアで使えるようにする、小型コンピューター「Raspberry Pi」用の拡張ボード「GPS HAT for Raspberry Pi」を紹介しよう。現在クラウドファンディングサービス「Kickstarter」で支援募集中。
Raspberry Pi用のGNSS拡張ボード(出典:Kickstarter)
GPS HAT for Raspberry Piはその名の通り、GNSS位置情報を取得できるRaspberry Pi用の拡張基板(Hardware Attached on Top:HAT)。サイズが65×56mmと小さく、さまざまなデバイスにGNSS機能を付加できる。電源はCR1220ボタン電池(3.3V)で、消費電力は18mAと少ない。そのため、小型モバイル機器でも使いやすそうだ。
サイズは65×56mm(出典:Kickstarter)
対応しているGNSS衛星は、米国のGPSと中国のBeiDou(BDS)、日本の準天頂衛星システム(QZSS)みちびき。GPSとBDSは、L1周波数帯で同時受信が可能。さらに、ディファレンシャルGPS(DGPS)と衛星航法補強システム(SBAS)で精度を高める。SBASは、米国のWASS、欧州のEGNOS、日本のMSAS、インドのGAGANに対応。衛星信号の取得チャンネル数は99、追跡チャンネル数は33、信号識別用のPRNチャンネル数は210ある。
位置情報をリアルタイムに取得(出典:Kickstarter)
位置情報を記録する機能も搭載し、15秒間隔だと16時間以上分のデータをボード上のフラッシュメモリーに保存できる。
Kickstarterでの支援受付期間は日本時間1月30日まで。記事執筆時点(日本時間1月20日14時)でキャンペーン期間は10日残っているが、すでに目標金額500ポンド(約7万8000円)の12倍を上回る約6386ポンド(約99万5000円)の資金を集めている。
GPS HAT for Raspberry Piの紹介ビデオ(出典:Kickstarter)