オミクロン拡大への無為無策:蓮舫氏の箱根駅伝応援に見る日本の劣化

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立憲民主党の蓮舫参議院議員が今年1月2日、箱根駅伝の往路で、青山学院大学の選手が走る姿を撮影した写真とともに「5区!!! がんばれ、母校」とツイッターに投稿。翌3日も、「総合優勝、大会新記録。母校の力強さに感動です。それ以上に参加した全ての大学選手の走る姿に感動です。みんな素晴らしい。『smile』『笑顔を』『いいよいいよ、そうそう』『お前すごいよ』。各大学監督の選手への声がけに愛情しか感じません。支えた全ての人に感謝です。ありがとうございます」とツイートした。

https://twitter.com/renho_sha/status/1477480773397942273


https://twitter.com/renho_sha/status/1477858893976190981

もとより、母校の優勝を祝福すること自体に、なんの問題ない。だが(ハイヤーやグリーン車両で移動する蓮舫議員はご存じなかったようだが)、主催者の関東学生陸上競技連盟(関東学連)は、昨年に続き今年も新型コロナの感染防止対策の徹底として、電車内のつり革広告やホームページ上などで「応援したいから、応援にいかない。」とのコピーを掲げ、「スタート・フィニッシュ地点および中継所、コース沿道での応援、観戦はお控えください。テレビなどでの応援、観戦をお願いします」と、沿道での観戦や応援の自粛を求めていた。「大学関係者、OB・OG、同窓会組織など卒業生の方や、選手のご家族の沿道での応援や観戦もご遠慮ください」と選手の家族を含め、自粛を求めていた。

蓮舫議員は、『日刊スポーツ』の取材に「沿道の写真をSNSにあげましたが、宿の前でソーシャルディスタンスを保ちながら拍手での応援でした。以降は部屋のテレビでの観戦を行っています」と悪びれることなくコメント。同紙記事も、なぜか蓮舫議員に好意的だった。

蓮舫氏 沿道で母校応援&投稿への賛否両論に「拍手で応援 以降はTVで」 – 社会 : 日刊スポーツ
箱根駅伝で総合優勝を果たした母校青山学院大の選手が5区を走る写真を自身のツイッターに投稿し、沿道応援自粛が呼び掛けられていた中で賛否両論の声が上がっていた立憲… – 日刊スポーツ新聞社のニュースサイト、ニッカンスポーツ・コム(nikkansports.com)

もしや、「ソーシャルディスタンスを保ちながら拍手での応援」なら許されたという認識なのだろうか。選手の家族が沿道で観戦することも許されないのに……。以前、銀座のクラブで自粛破りが露見した与党の男性議員らは辞職や離党を余儀なくされたが、野党の女性議員なら堂々と自粛破りをしても、お咎めなし、なのか。

蓮舫議員だけではない。たとえば遊行寺や藤沢橋付近などで、大勢の一般住民が白昼堂々、応援の旗を振る姿が、テレビ中継の画面に映っていた。自粛要請に従った選手の家族らは、どんな思いで、テレビ観戦したのであろうか。

もし以上の指摘が、〝自粛警察オヤジの小言〞と退けられるのなら、沿道での応援を解禁すべきであろう。すでにモラルハザードが起きている。「マスク飲食」や「黙浴」といった、実際には守られていない注意書きも撤去すべきだ。このままでは、正直者がバカをみる。

政府は1月7日、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」を、1月9日~31日までの間、沖縄、山口、広島の3県へ適用する。新年早々、オミクロン株による感染拡大が日本列島を覆い始めた。

このまま感染者の増加と、なし崩し的な自粛破りが続くなら、再び医療崩壊が起きるのは必定である。

いや、オミクロン株に感染しても重症化率は低いというのなら、そもそも「まん延防止等重点措置」など必要あるまい。従来株を想定した新型コロナ特別措置法も、即刻改正すべきである。

だが残念ながら、そうはなるまい。きっと今年も医療崩壊に至る。

以下、その原因と対策を、昨年末に発刊された『医療崩壊 真犯人は誰だ』(講談社現代新書)に学ぼう。

著者は学習院大学経済学部の鈴木亘教授。日本銀行に入行し、大阪大学大学院で経済学博士号取得。日本経済研究センター研究員などを歴任した。政府の行政改革推進会議構成員も務める。

著者は「病床数は世界一の日本でコロナ病床が確保されていたのは全体のわずか4%」(同書帯)と指摘、世界的には「さざ波」程度の感染者数増加で、なぜ医療崩壊を起こしたのか、7人の容疑者を挙げ、謎解き仕立てで話を進める。

ネタバレ注意で書けば、著者は「政府のガバナンス不足」を「主犯級中の主犯」とみなす。そのうえで「コロナ禍は非常時の出来事であり、非常時の体制をどうするかという問題と、平時の体制をどうするかという問題は、あくまで分けて考えるべき」と訴える。異論を覚えない(私も昨年、月刊「正論」9月号で同じ趣旨を述べた)。

同書の提案も聞こう。

一つの解決方法は、自衛隊の医療部隊や厚生労働省の災害派遣医療チーム(DMAT)の人員を大幅に増強し、野戦病院などに迅速に派遣できる体制を整えておくことです。(中略)ただ、困ったことは、自衛隊病院の廃止・縮小が、既に2009年に決定されていることです

果たして同書の提言は首相官邸に届くのだろうか。

このままズルズル、昨年と同じ展開を繰り返す愚行だけは、願い下げだ。

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