80年前の歴史的大失態と並べられるバイデン「宥和」外交の不安 — 古森 義久

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(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

近代の外交政策で“歴史的な失態”という評価が定着した実例は、イギリスの首相ネヴィル・チェンバレンのナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーに対する宥和である。1938年のミュンヘン会議でチェンバレンはドイツによるチェコスロバキアの一部占拠を認めてヒトラーを増長させ、ポーランドへの侵攻を招き、第2次世界大戦を引き起こす結果となったとされる。

このときのチェンバレン首相の対応はアピーズメント(Appeasement)と呼ばれた。日本語では「宥和」と訳される。相手の要求や行動が不当でも、当面の衝突を避けるために受け入れる譲歩である。この譲歩は危険な結果を招きかねない歩み寄りであり、単に相手と打ち解け、仲よくなる「融和」とは意味が異なる。

チェンバレンに重ねられたバイデン

12月10日、そのチェンバレンという名がバイデン大統領の名前と並んでワシントン・ポストの記事の見出しに大きく掲載されていたのには驚いた。

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