食品ロス問題に着目した背景は–フードシェアリングの「TABETE(タベテ)」CEOに聞く

CNET Japan

 安全に食べられるのに、規格外品や返品、売れ残り、食べ残しなどで捨てられてしまう「食品ロス」。世界の飢餓人口が世界人口の約1割、最大で8億1100万人に上ると言われる一方で、日本では事業系で約324万トン、家庭系で約276万トン、年間で600万トンもの食品ロスが生まれているという(農林水産省「食品廃棄物等の利用状況等(平成30年度推計)」より)。

 こうしたまだおいしく安全に食べられるのに、店頭では売り切るのが難しい食事をお得に「レスキュー(購入)」できるサービスとして2018年4月に本格的なサービスをスタートしたのが、コークッキングが展開するフードシェアリングサービスの「TABETE(タベテ)」だ。

 TABETEはどのような背景で誕生したのか、これまでの経緯や今後の展開などについて、コークッキング代表取締役CEOの川越一磨氏に聞いた。

アプリから「レスキュー食材」を検索–食品ロスを削減へ

 TABETEはユーザー、加盟店ともに月額無料のサービスで、商品がユーザーに売れた場合に1商品あたりの販売価格に応じた販売手数料を加盟店がTABETEに支払う完全成果報酬型のサービスとなっている。


TABETEのWebサイト

 商品が売れ残りそうになったら、TABETEの管理画面から出品する(操作なしで自動で出品できる機能も搭載)。ユーザーが「TABETE」アプリ(Android/‎iOS対応)で商品を見つけて購入すると、加盟店側にメールや電話でお知らせが届く。指定の時刻になったらユーザーが店舗に受け取りに来るので、アプリの画面を確認して商品を渡すという流れだ。


TABETEアプリを開いたところ。現在地から近い順にレスキュー食材が一覧表示される

 予想外の天気やイベントなどで客足が振るわない場合や、予約の直前キャンセルが生じてしまった場合、少し見た目が悪い食品や試作品などのワケあり商品、いつもは捨ててしまう端材を使った商品を提供するなど、その時々のニーズやアイデアに応じた商品を出品して食品ロスを防げるようになっている。

 TABETEアプリでは、ユーザーが現在地や都道府県名、駅名で場所を設定すると、その近辺にある店舗からのレスキュー依頼が一覧表示される。一覧から欲しいものを選んで「レスキューにむかう!」を選ぶと購入でき、現地でアプリを見せることで引き換えられる仕組みになっている。当初は1店舗あたり1品しか出品できなかったが、現在は最大5商品までレスキュー依頼ができるようになり、ユーザーにとっても店舗にとってもより使いやすく進化した。


現在地や都道府県名、駅名、ジャンルなどで検索することもできる

 「仕組みとしては余計な機能を入れず、かなりシンプルに作りました。われわれは機能や技術的な優位性よりも、『購入する』ではなく『レスキューにむかう』と表現するなど、見せ方や世界観に注力しました。また、加盟店側は簡単に出品できる機能のほか、販売履歴を一覧で見られるといった機能のみで、アルバイトの方でも運用できるようなシンプルな仕組みにしています」(川越氏)

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