ソフトバンクの子会社であるBOLDLYは12月13日、自動運転バスの冬季運行を実施すると発表した。12月15~19日、北海道上士幌町で自動運転バス1台を活用し、1日20便を運行する。
雪や氷点下の環境が想定されるため、行政と連携して除雪、凍結防止といった道路環境の整備を実施し、町内で新たに整備されたシェアオフィスやホテル、道の駅、交通ターミナルなどの拠点を循環する。
走行距離は片道約3.2キロメートルで、全長は6.4キロメートル。速度時速20キロメートル未満で停留所が全6カ所、所要時間が片道約20分の全区画を自動運転する。住民の日常的な移動手段や「かみしほろシェア OFFICE」「かみしほろワーケーションパック」などのワーケーション用途、観光などを目的とする来訪者の2次交通としての活用を想定しているという。
上士幌町では、10センチメートルの積雪を目安に、午前8時30分までに除雪作業を実施。状況に応じて日中にも実施しているという。また、交差点や停止線付近に凍結防止剤をまき、路面の凍結防止も図っている。
自動運転バスが安全に走行できる環境を整備した上で、積雪による周辺環境の変化、ぼたん雪の降雪などが自動運転バスのセンサーに与える影響や、氷点下の環境における車両の走破性、路面凍結への対策の有効性などを確認する。除雪、凍結防止などの道路環境を整備してハンドルがない自動運転バスを運行する、国内初の事例になるという。
また、同社の自動運転車両運行管理プラットフォーム「Dispatcher」を活用し、遠隔監視者が自動運転バスの運行状況をリアルタイムに記録、把握する。運休や再開といった運行情報を利用者などに知らせ、移動サービスの品質向上を目指す。
なお、一部の停留所では、町外を含む広い地域で運行する既存の路線バスと接続し、利便性の高い運行ダイヤを構築する。既存の路線バス運行事業者と一部の停留所を共用し、町内を循環する自動運転バスと町外にアクセスする路線バス間のスムーズな乗り換えを実現できる。
上士幌町は、町役場から半径1キロメートル以内に主要施設や住宅が密集したコンパクトな町づくりを推進。低速の自動運転バスが高頻度で巡回し、人や物を輸送するのに適した町になる。
全国的にバスの運転手不足が課題となる中、持続可能な町内循環バスの実用化に向けて、自動運転シャトルバス「NAVYA ARMA」を活用した実証運行を2017年から実施。同社は、過去3回行われた実証運行全てに参画しているため、自動運転バスの運行としては今回が4回目になる。
自動運転バスへの乗車を希望する場合は、「LINE」アプリのBOLDLYの専用アカウントの「友だち」登録が必要となる。