「Wi-Fi 6」(IEEE 802.11ax)対応の無線LANルーターが登場して2年以上が経過し、スマホやタブレット、ノートPCなど、対応機器が増えている。手頃な価格のルーターも増えていて、無線で最大4.8Gbpsの製品でも1万円台前半で手に入るものが目立ってきた。
加えて、メッシュネットワークの標準とも言える「EasyMesh」対応の製品が増えてきたこともある。本稿では、Wi-Fi 6/IPv6 IPoE対応製品、EasyMeshなどメッシュネットワーク対応製品の2つの切り口から、無線LANルーターのおすすめを紹介したい。
Wi-Fi 6/IPv6 IPoE対応無線LANルーター5選
Wi-Fi 6対応の無線LANルーターは現在のところ4.8Gbps対応のものが最速で、無線LANルーターに繋ぐ側の機器は、スマホなら1.2Gbps、PCでは2.4Gbpsが最速だ。同時接続台数が多い場合は、無線LANルーターはより速度の速い4.8Gbpsのものを選ぶのが望ましいが、そんな環境も1万円台前半でメーカーや機種を「選べる」状況になってきた。
用途がインターネット接続だと割り切るなら、2.4Gbps以下のより手頃な価格の製品を選んでもいいわけで、それならば、さらに選択肢は広がる。
Wi-Fi 6による高速化よりも、場合によっては恩恵が大きいのが、「IPv6 IPoE(IP over Ethernet)」の利用だ。IPv6 IPoEは、混雑時ボトルネックになるプロバイダのネットワーク終端装置を経由しないで直接インターネットに接続する。国内メーカーでは対応していない方が珍しい様な状況だが、海外メーカーでは対応している製品も対応していない製品も両方出しているのが一般的だ。
ちなみに、無線LANルーターにIPv6 IPoEの機能がなくても、IPv6 IPoEの機能を搭載した「ひかり電話ルーター」を使っている環境なら速度低下は回避できる。また、利用する接続サービスによっては速度低下が起きるボトルネックがなく、IPv6 IPoEが不要な場合もある。
以下、筆者が選んだWi-Fi 6/IPv6 IPoE対応の無線LANルーターを紹介する。
6千円台のお手頃価格モデルバッファロー「WSR-1500AX2S」
無線は最大1.2Gbpsで、1Gbpsの有線LANポートを3ポート搭載。アンテナ数は2本で、Wi-Fi 6ルーターとしては最小限のスペックだが、その分入手しやすい価格なのが魅力だ。EasyMeshに対応しており、メッシュネットワーク構築の際、安価な分買い増ししやすいというメリットもある。
本体色は黒と白の2色。専用スタンドを装着しての縦置き、壁掛けに対応する。軽量かつコンパクトで内部アンテナということもあり、設置の際の自由度が高い。
2.5Gbpsのインターネット接続に対応アイ・オー・データ機器「WN-DAX3600QR」
無線は最大2.4Gbpsで、WAN側の有線LANポートが2.5Gbpsの速度重視のモデル。アンテナ数は5GHz帯、2.4GHz帯ともに4本で、PCやスマホなど繋ぐ側の機器からすると最上位と言えるスペックながら、価格が1万円台前半と入手しやすい。
本体色は白で、縦置き専用となっている。ランプの発光面積が小さくなっているほか、背面のスイッチ1つでランプを消灯できるなど、使用時に目立ち過ぎない様に配慮されている。
4.8Gbpsの高速通信が可能なコスパの良いモデルエレコム「WRC-X5400GS」
無線は最大4.8Gbpsで、1GbpsのLANポートを4ポート搭載。アンテナ数は5GHz帯が4本、2.4GHz帯が2本でどちらかというと5GHz帯を重視した構成。5GHz帯に対応した無線LAN対応機器が多い環境に向いている。
本体色は黒で、縦置き専用。本体幅よりかなり広めのスタンドが付いていて、縦置きながら安定感がある。動作周波数1.5GHzのトリプルコアCPUを搭載、処理待ちによる速度低下を軽減するとしている。
2.5Gbpsのネット接続と1Gbps越えの2.4GHz帯に対応NEC「Aterm WX3600HP」
無線は最大2.4Gbpsで、WAN側の有線LANポートが2.5Gbpsに対応。アンテナ数は5GHz帯、2.4GHz帯ともに4本で、有線も無線も妥協のない構成。360度電波がまんべんなく届く「ワイドレンジアンテナPLUS」やWi-Fi電波の送受信可能な範囲を広げる「ハイパワーシステム」など、独自の通信技術を搭載。
本体色は黒で、専用スタンドを装着しての縦置きと壁掛けに対応。出先でも接続している機器が確認できる「見えて安心ネット」機能を搭載しており、専用のスマホアプリで通知の受け取りが可能。
Wi-Fi 6/メッシュネットワーク対応無線LANルーター5選
メッシュネットワークは、設置台数を増やすことで電波を網の目状に広げ、電波が届く範囲と速度を向上させる。以前からある無線LAN中継機の進化形とも言えるもので、より高速かつ簡単に使える。メッシュネットワーク機能を搭載した中継機も登場するなど、両者の違いは曖昧になってきている。
メッシュネットワークに対応した製品は、「Wi-Fi EasyMesh」(以下「EasyMesh」)対応のものを除くと、メーカーごとに独自の仕様のメッシュネットワーク機能を搭載しており、互換性がない。EasyMeshに対応した製品は、バッファロー、NEC、ネットギア、BELKINなどが国内で販売している。EasyMeshは互換性がある標準的な規格だが、登場したばかりということで、まだ対応メーカーが多いとは言えないのが現状だ。
EasyMesh以外のメッシュネットワーク機能には、アイ・オー・データ機器の独自メッシュ、ASUSの「AiMesh」、バッファローの「AirStation connect」、エレコムの「eMesh」、TP-Linkの「Deco」「OneMesh」、ネットギアの「Orbi」などがある。メーカーによっては互換性がない2種類のメッシュネットワーク製品を出していることもある。
以下、筆者が選んだメッシュネットワーク対応の無線LANルーターを紹介する。
1台1万円台のお手頃価格モデルネットギア「Orbi WiFi 6 Micro RBK352」
インターネットに接続する「ルーター」とルーターに接続する「サテライト」の2種類のハードウェアを組み合わせてメッシュネットワークを構築する。サテライトは合計3台まで追加可能。無線は最大1.2Gbpsで、1GbpsのLANポートがルーターには3ポート、サテライトには2ポート搭載。サテライトにはWANポートは搭載しない。
本体色は白で縦置き専用。ルーター1台とサテライト1台の2台セット、サテライトを追加した3台セット、追加用サテライトのみの1台セットの3種類のパッケージがある。店頭価格は2台セットのもの。
最大10台まで増やせるお手頃価格モデルTP-Link「Deco X20(2-pack)」
TP-LinkはDecoシリーズ以外にも、「OneMesh」と呼ばれるメッシュネットワークに対応した製品を出しているが、それらの製品とは互換性はない。無線は最大1.2Gbpsで、1Gbpsの有線LANポートを2ポート搭載。インターネットに接続する「メイン」は2つの有線LANポートのうち1つをインターネット接続用のWANポートとして使用する。
本体色は白で縦置き専用。形状は高さと幅がほぼ同じ円柱状。1台、2台、3台をセットにした3種類のパッケージがある。最大10台まで組み合わせることができる。
EasyMeshを多数展開するメーカーの4.8Gbpsモデルバッファロー「WSR-5400AX6S」
本機種を含め、バッファローはEasyMesh対応製品が10機種以上あり選択肢が豊富だ。互換性が保証されているとは言え、同メーカーで用途に応じて異なるスペックの製品を選べる自由があるのは、EasyMesh登場間もない現在では大きなメリットかもしれない。無線は最大4.8Gbps、アンテナ数は5GHz帯が4本、2.4GHz帯が2本でどちらかというと5GHz帯を重視した構成。
専用スタンドを装着しての縦置き、壁掛けに対応。本体色はマットブラックとシャンパンゴールドの2色。最大4台まで追加で接続できる。
ゲーミング仕様のメッシュ対応ルーターASUS「TUF-AX5400」
ASUS独自のメッシュネットワーク「AiMesh」に対応。最大5台まで組み合わせることができる。無線は最大4.8Gbpsで、どちらかというと5GHz帯重視の構成。有線は1Gbpsだが2つのLANまたはWANポートを束ねて高速化するリンクアグリゲーションに対応しており、WANとLANともに最大2Gbps。
横置き専用で、本体色は黒。パケットが優先的に処理される「ゲーミングLANポート」や、光り方をカスタムできる「AURA RGB ライティング」機能など、「ゲーミング」ルーターらしい機能を搭載している。
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