米国憲法初版の競売、クラファンで挑んだ集団が敗れる–実業家が約49億円で落札

CNET Japan

 仮想通貨の支持者らが急きょ結成した組織が、米国憲法の初版の競売で善戦したが、惜しくも落札には至らなかった。4320万ドル(約49億3000万円)で落札したのは、ヘッジファンドの最高経営責任者(CEO)だった。


提供:Getty Images

 Sotheby’sが米国時間11月18日夕方の最後に実施した注目のオークションは、3000万ドル(約34億円)から始まり、今回結成されたDAO(自律分散型組織)であるConstitutionDAOと、別の入札者の間ですぐに競り上がった。この入札者はのちに、ヘッジファンドCitadelのCEOで富豪のKen Griffin氏と判明した。オークションは電話で進められたので、落札者はすぐには明らかにならず、ConstitutionDAOは当初、Twitterの音声チャットルーム「Spaces(スペース)」で勝利を主張していた。

 ConstitutionDAOは、憲法初版を継続的に管理するのに十分な準備金を確保していなかったので、落札できなかったことを知った。

 Sotheby’sはオークションの翌日、Citadelの創業者でCEOのGriffin氏が落札したことをツイートで公表した。同氏はこの憲法初版を、アーカンソー州ベントンビルにある水晶橋美術館(Crystal Bridges Museum of American Art)に貸し出す予定だ。

 落札には至らなかったが、ConstitutionDAOの取り組みは、仮想通貨によるクラウドファンディングの例として注目を集めた。この組織は、どこに米国憲法初版を展示するか、誰が所有するのかなど、未解決の問題を残したまま、1週間足らずで結成された。DAOの手法で立ち上げられたConstitutionDAOは、ブロックチェーン上で動作する自動化されたコードセットを通じて、メンバーからの寄付を管理していた。

 当初は、仲間内のミームと独自のハッシュタグを伴うファイナンス分野のパフォーマンスアートのように受け止められていたが、ほどなく本気で入札に取り組む動きになった。18日午前までに、ConstitutionDAOは4000万ドル(約46億円)以上を調達した。Sotheby’sは、残存している米国憲法13部のうち1部の予想落札額を1500~2000万ドル(約17億~23億円)と予想していたが、この2倍以上を集めたことになる。

 Sotheby’sは、不動産開発業を営んでいた故S. Howard Goldman氏の妻Dorothy Tapper Goldman氏の代理として競売を行った。Howard Goldman氏は1988年、16万5000ドルでこの米国憲法初版を購入した。競売の収益はDorothy Tapper Goldman財団に寄付される。同財団は、「われわれの民主主義と、市民全員の行動がいかに変化を生み出せるかについて、理解を促進することに尽力」している。

 ConstitutionDAOは、イーサリアムブロックチェーン上で運用される仮想通貨イーサで入札資金を調達した。Sotheby’sが最近実施した他の2件、Banksyの「Trolley Hunters」と「Love Is in the Air」の入札は、通常の通貨とイーサの両方で行われた。

 DAOを統治するルールは自動化されている。その目的は、透明性を高め、見知らぬ他人同士が集まった組織の中で信頼を築くことだ。

 ConstitutionDAOへの寄付者は約1万7500人で、寄付金の平均額は206.26ドル(約2万3500円)だった。寄付した人には、ネットワーク手数料を差し引いた額が返金される。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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