サスペンスドラマが好きである。
特には、サスペンスドラマの終了間際が好きである。
というのも、実はサスペンスドラマ。ただシリアスな事件の話のみだと、視聴者が陰鬱な気分のまま終わってしまうため、少しでも明るい気分になるよう、終了間際にちょっとしたギャグ劇(いい意味での茶番劇)を展開してくれがちなのである。
しかもある程度そのパターンが決まっていて、そのどれもが毎度グッとくるので今回は!
そんな終了間際の茶番劇がどれだけ至高か(シリアスな本編とのギャグ落差が劇的か)、最近人気の茶番パターンをもとに、大紹介してみたいと思うッ!
そんなサスペンスドラマだが、ちなみに我が家のレコーダーは基本
サスペンスで埋まっている。あらまぁ。というのも、実は親がサスペンス好きで、手あたり次第、録っているのである。
サスペンスって、よくわからない時間に再放送されがちだしで、かなり自由なことに。そのタイトルもすこぶる多様。まぁたくさんの刑事たちが。
まぁ殺人事件おきまくり。ちなみに、たまに現れる「ゴッドタン」は、僕が実家居る時に録っているやつゆえ、消さないでほしい。
そんなサスペンスの醍醐味である、終了間際の茶番劇(ギャグ劇)。
なんとなくイメージあるかもだが、それにはわりと一定のパターンがある。まず、そんな茶番パターンを洗い出すためにも、あらためて、サスペンス見まくってみたいと思う。
って見すぎ。だが、終了間際の5分ほどを、集中的に再確認し続ける。なんなんだこの作業。
犬も気になるようだが、説明はしにくい。でも頑張って見まくっていると、シリアスな流れの後の、キャラの関係性をもとにしたギャグ問答の連発に
マジ多幸感!だったが、改めていくつかの茶番パターンが明らかになったのであった!!
では最近放送された作品(といってもサスペンスならではの基本再放送)にて、特に至高だった(シリアスな本編とのギャグ落差が劇的だった)珠玉の茶番パターンTOP10を、紹介していきたいと思う!
※…ただ、ドラマの映像そのままを紹介することはできないので今回は、よりによって
パワポ!のいわゆるアイコンたちを駆使して、その臨場感をなんとか味わってほしいと思うよッ!みんなの想像力に全てを委ねるよッ!
※ザ・ミステリー「ドクターハート〜薮田公介の事件カルテ〜」より
ドラマのラスト、このシリーズではお決まりなのだが、事件を解決した主人公たち(B・中村梅雀)(C・浅田美代子)へのご褒美的に、元課長(A・里見浩太朗)が、手製の料理を振舞ってくれることに。
だがこれが毎回、なんとも食材がグロテスクにコラボされた逸品ゆえ、主人公たちは「あんな気持ち悪いの食べさせられたくない」と不安げで「逃げよう」とまで話し合う始末。ひどい。
そしてついに元課長「お待ちどおさまでした、今日は何のコラボだと思いますか」とウキウキ差し出してくるが、今回はなんと、ウ二とキャビアのケーキ。
それを目にするや主人公たち「いいかげんにして!」と一気にその場から逃亡。ひどい。そうして取り残された食卓にて、「せっかくウニとキャビアで作ったのに~」と立ち尽くす元課長なのであった。
というわけで、振る舞い料理がヒドイ系は、コメディ感としても非常にほどよいものとなるが、不遜な扱いをされながらも全く自覚されず振舞われるのは、もはや脅威であろう。気持ちだけ受け取ろう。
※ミステリーセレクション「西村京太郎サスペンス探偵左文字進16 他人になった女」より
ドラマの最後、事件が無事解決し、課長(A)が、部下たち(B・C)に、意気洋々と「今日は俺がゴチしてやる!」と飲みの誘いを。
部下たちは喜ぶが、課長が恐妻家なのを知ってるので「奥さんは大丈夫ですか?」と心配を。
でも課長、「家の課長は俺だ!」と自信満々。視聴者的にもフリを感じさせた丁度そのとき、課長の電話が鳴り、おそるおそる出る課長。すると、立場弱そうな声色で、
「あ、ママ?キャベツとパン一斤?わかった、買ったらすぐ帰るから!」と妻からの電話にあっさり服従。事情を悟り苦笑いの部下。そして課長が振り返って「ちょっと諸事情ができた!後は頼むぞ!」と偉そうに言うのであった。
社会では偉そう、なフリがしっかり効いたうえでの、家ではあっさり妻の尻に敷かれてる構図、は、もはや熟年視聴者にとっても様式美と言えよう。いずれにせよ僕だったらそんな誘いはお断りである。
※ミステリーセレクション「山岳刑事2魔の山連続遭難殺人」より。
ドラマの最後、女主人公(B・鈴木砂羽)がやや恋心を寄せている相棒男(A・徳重聡)と、大自然のなか、山を見ながら会話を。
今回の事件をふまえて「山も仲間か…俺もやっとわかった気がする」とそれっぽく悟る男。それに対し女は「そう…だったら私はどうかな?」と、恋心抱いているゆえ露骨なモーションを発動。が、何も察しない男「(仲間)でしょ」と、見事な鈍感さ。
それに対し女は「でしょ、ってそれだけ!?」キレ、ついには「この、ニブちん!!」とブチギレが炸裂するのであった。
「ニブちん」というフレーズもなかなかキラーで、鈍い相手にはこれ以上ない発信といえるが、恋心に気づかれない鈍感オチは、微笑えましい見心地を味わえるものであろう。こちらでも鈍感男が見事に鈍感で、さすが21世紀の石原裕次郎なのであった。
※午後の名作ドラマ劇場 「ペット探偵の事件簿」より
ドラマの最後、主人公のペット探偵(B・岩城滉一)のもとに、知り合いの堅物刑事おっさん(A・益岡徹)が、「ネコを探してくれ!」と依頼に来る。
でも、ペット探偵「どうしよっかな~」とじらしていると、そのとき。ペット探偵の犬がなんとなく接近。これはもしや、と思うが、「そんなこと言わずに頼むよ〜」とおっさんが情けなく懇願していたその時! 犬が、おっさんに急接近し、
おしっこをチャー―ッ!! 「!! あぁこのバカ犬~!」と、おっさん大打撃なのであった。
とりあえず大打撃系としては、何かしらが起きそうと思ったら起きる、王道安心感はありつつも、何もそんなヒドイい目にあわせなくても、という同情は湧く。そして実際おしっこを発射できる犬のスキルにも感服である。
※<BSフジサスペンス劇場>「医療捜査官 財前一二三2」より
ドラマの最後、捜査本部が解散した場で、主人公(A・高島礼子)が上司(B・北村総一郎)とちょっとした会話を。
この回の犯人は、「仕事への使命感からプレッシャーで道を踏み外して、事件を起こしてしまった」と総括する上司。だが、それに対して主人公、
「そうそう、上司はちゃらんぽらんで、昼行燈くらいがちょうどいいです」と、上司に告げて去る。そして発言の真意に気づいた上司「え?それは、誰のこと言ってんの〜!?」と、嘆くのであった。
上司をピシャリといじる、のは、一般社会人視聴者のスッキリ感を刺激してくれるものだと言えよう。さらには、言われちゃってぎゃふん。まで見事に決まって、より溜飲が下がるのであった。
※昼の特選ドラマ劇場「温泉若おかみの殺人推理」より
ドラマの最後、旅館の若女将(A・東ちずる)が、片づけた食器を大量に運んで、忙しく向かってくる。
これは落ちそうだが、廊下がどんどん常務員で大混雑に。そしついに
「ちょっとちょっと!気をつけて!あぁ〜!!」とやっぱり食器は落ち、あら落ちた!と困った顔をして、終わるのであった。
これ以上ない困ったお顔とともに、落ちそうなものが落ちる。という、想定内に事が収まる感じは、かなりの満足感なのであった。
……と、来る日も来る日も、あいもかわらず
テレビとパソコンとにらめっこして、まとめていくが
ももはもう、飽きていた。
※傑作ミステリー「旅行作家・茶屋次郎4 熊野川殺人事件」より
ドラマの最後、事件を解決した主人公(C・橋爪功)と、仲間の男(B・角野卓造)と女(C・久本雅美)がレストランにて会食を。
今回の事件を通して、主人公がなんとなく手にすることになる肖像画の話になり、ふと何か情報を得た女が「その肖像画だけでも2500万円くらいにはなるかも!」と。それを聞いた男は「2500万円…!」と鼻息が荒くなり、
主人公のことを資産家扱いし始め、店員(D)を呼びつけて、「お兄さん!お肉追加で!シュラスコ、ドンと!」さらには「ワインもやっちゃおうな、資産家のおごりだ!」と、もう醜く暴走なのであった。
なんだかんだでお金には目にくらんじゃってゲッスゲスなオチは、視聴者にいい苦笑いを喚起させてくれるものであろう。あらゆる欲に目がくらむ人間の暗部には、見て見ぬフリをしよう。
※「おかしな刑事18」より
ドラマの最後、父娘刑事である父(A・伊東四郎)と娘(B・羽田美智子)が祝賀会にて。娘がちょうど意中の男にフラれ泣いている時に
叔母(C)が、叔母ならではの空気読まなさで現れたうえに、よりによってお見合いの話を。そしてその相手は、アメリカ大使館の一等書記官だと。
父は泣いてる娘を慮り「気持ちはありがたいけど…」と断ろうとすると、叔母。叔母ならではな一方的さでアルバムを見せつけ、「ほら金髪イケメン! ブラピそっくり!」と。父はといえば「ブラピって何?」と、父ならではの流行音痴ムーブを炸裂させていると、娘。落ち込んでたはずなのに、
「え、ブラピ!?見せて見せて!」とアルバムを奪い取り「やだ、カッコイイ〜」と目がらんらん。そしてさらには「ど〜しよう~私、国際結婚しちゃうかも〜」と安直な超テン上げ状態に。「ちょっと待ってよ、いま泣いてたんじゃないの~?」と呆れる父なのであった。
最後の呆れツッコミまでしっかりと決まり、結局イケメンには目がないお調子者オチ的は、ヒトの本能としてシックリくるものなのであろう。イケメンの象徴としての「ブラピ」にやや時代を感じてしまう以外は、完璧なのであった。
※「内田康夫サスペンス・福原警部」より
ドラマの最後、事件が解決して、女刑事(A・原千晶)と警部(B・石塚英彦)と先輩女刑事(C)が、鍋を囲んでいるシーンにて。
女刑事が、自分と先輩女との、年齢差に関するセンシティブな発言を。それを察した先輩女が「ちょっと、私と1コしか違わないんじゃんなかった!?」とブチギレ。するとそれに対し女「2つですよ2つ!2つ違えばオバサン…あ!」と、ジェンダー観ゼロな暴言を。
そして先輩女は「ちょっと警部!どういう教育してるんですか!」と警部に八つ当たりツッコミするのであった。
年齢いじり、特にはオバサン・オジサン問題は、視聴者の共感も得られやすく、ワイワイガヤガヤしていきやすいテーマなのであった。ただこのご時世では、コンプラ的にほどほどにしておいたほうがよいであろう。
※ミステリーセレクション「警視庁南平班〜七人の刑事6〜」より
ドラマの最後。このシリーズは毎回「虫オチ」(謎だよね)なのだが、このたびは、主人公(A・村上弘明)と妻(B)が、亡くなっている息子の墓参りに。
そのとき空から雪?のような何かが降って来る。手に落ちてきたそれをよく見て「ん、雪か?」と思うも、すると妻「これ…雪じゃないわよ」と気づき、「これ雪虫」と真相を。その時。
「む、虫~!?」と驚愕する主人公。「そうアブラムシの一種ね」とあっさり告げる妻。そして主人公、「あーーーーーアブラムシだーー!あーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」と大絶叫。そう、この主人公、とにかく虫が嫌いなのである。ほぼマンガ属性。そして
「また降ってきたよー助けてくれ~~ッ!!」とスーツで振り払いながら、カメラに向かってずっこけ大ジャンプまで決めるのであった!
まさに昔のマンガの最後のコマのような終焉であったが、苦手な物オチは、そんなかわいい一面もあるキャラに愛着を沸かせられる効用まであるだろう。そして、当シリーズ、徹底した虫オチゆえに、もう虫ある程度やり尽くしたのか、「雪虫」なる段階まで達しているのも、圧巻である。
…というわけで、これら名作をはじめサスペンスドラマって、終了間際にはこんな至高のカタルシスを得られるほど、最後の最後まで楽しめますので、ぜひみなさんも堪能してみてくださいませ。ではまた。