ソフトバンク、5GSAによる映像伝送を活用した遠隔型自動運転の実証実験–掛川市、東急などと

CNET Japan

 ソフトバンクは11月9日、静岡県、掛川市、東急などと協力し、遠隔型自動運転の実証実験を実施すると発表した。

 静岡県の自動運転実証事業「しずおか自動運転 ShowCASE プロジェクト」の一環で、スタンドアローン(Stand Alone)方式の5Gの商用ネットワーク(5G SA)による映像伝送を活用。12月16〜22日、県内の複数都市(掛川市、沼津市)を走行する2台の自動運転車両の運行状況をリアルタイムで遠隔監視し、必要に応じて遠隔操縦も実施する。スマートシティの実現を見据え、新たな移動手段の創出と観光の促進を目指す。


概要イメージ

 掛川市では、持続可能な地域交通の実現を目指し、新たな交通手段として先端技術を用いた自動運転車両の活用を検討している。

 また、市内の主要な観光コンテンツが広範囲に点在しており、自動車がない観光客などの周遊が困難な状況であることから、自動運転車両の活用による移動手段の確保と、歩きたくなるまち(ウォーカブル推進都市)として、降車後の周辺エリアの散策による観光の促進を検討している。

 そこで、ソフトバンクと静岡県、掛川市、東急などが連携し、自動運転車両を遠隔地から監視、操縦する遠隔型自動運転の実証実験を実施することになった。スマートシティの実現を見据えた新たな移動手段の創出と、観光の促進を目的としている。

 実験では、将来想定される公共交通の運転手不足に対応するため、静岡県伊東市(伊豆高原駅)にあるコントロールセンターから、掛川市と沼津市を走行する2台の自動運転車両の運行状況のリアルタイムでの遠隔監視、車両の遠隔操縦などを実施する。


コントロールセンターイメージ

 具体的には、昼の部(14時〜16時)と夜の部(17時30分〜19時)の時間帯に、小型バスタイプの自動運転車であるグリーンスローモビリティ(乗車定員8人)を利用した「かけがわチャ(茶)レンジ号」を運行する。コミュニケーションサービス「LINE」を活用した乗車予約システムによる事前予約制で、運賃は無料。


かけがわチャ(茶)レンジ号

乗車予約システムイメージ

 なお、夜間に公道で遠隔型自動運転を行うのは、全国で初めての取り組みになる。

 実験では、東急が車両やシステムの提供、運行管理を実施し、ソフトバンクが提供するAI(人工知能)を活用した画像解析エンジンを搭載するカメラ(AIカメラ)を、運行ルートの複数箇所に設置する。

 AIカメラの映像に対向車や人などが検出された場合は、コントロールセンターに映像を伝送して、遠隔監視・操縦に利用することで、自動運転車両の安全な運行に活用できるか検証する。

 実験結果は、5G SAのユースケースの検証や、商用サービスの改善に生かす予定。

 さらに、車内では地元の静岡県立掛川工業高校の生徒が制作した掛川市のPR映像を放映し、観光コンテンツとしての可能性についても検証する。

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