調理ロボット「Flippy」の新バージョンはファストフード自動調理機として進化しているようだ。Miso Roboticsが手がけるFlippyは、従来型の鉄板の上を走るレールシステムに吊るされた自動調理器だ。その新バージョンがこのほど「Flippy 2」と名付けられて登場した。
提供:Miso Robotics
慢性的な人手不足と約2年近いパンデミックによって引き起こされたドライブスルーやテイクアウトに対する需要によって、ファストフード業界では効率化を進めて均一性と生産性を改善するため、技術の導入が進んでいる。この分野をけん引するMcDonald’sはドライブスルーの自動化に向けてIBMと提携したことを発表したばかりだ。
テクノロジー企業としてはめったにないほど巨額の資金をクラウドファンディングで調達したMiso Roboticsは、頼りになる自動調理器プロバイダーとして足場を固めている。また、そのコンセプトはとても理にかなっている。ファストフードは同じ作業を繰り返して同じものを大量に作る調理工程で成り立っており、待ち時間とフードロスを減らすため、複雑な注文管理と予測能力がますます必要とされている。ここ数年、労働市場は予測がつかず、多くのファストフード企業は最低賃金の引き上げに直面して、技術的ソリューションを求める方向にある。
ファストフードの調理を自動化するために設計されたキッチンアシスタントロボットFlippyの進化は、見ていて楽しい。まず、限られた厨房のスペースに合わせて、ロボットの場所は床の上から頭上を走るレールシステムに移動し、逆さまにぶら下がる形になった。人工知能(AI)の重要なアップデートも行われ、クリスピーな食感に仕上がるメニューが増えた。その過程で、ハンバーガーチェーンの元祖とされるWhite Castleなどの代表的なチェーン店で調理用ロボットが高い評価を得た。最近も、Flippyを開発したMiso Roboticsが、Buffalo Wild Wingsなどのサービスパートナー向けに手羽先専用に改良したモデルを開発している。
Flippy 2における改良点の1つは、オニオンリングやチキンテンダー(骨なしチキン)など少量の看板メニューに対応する新たな「AutoBin」システムで、より高機能で完成された揚げ物ソリューションをレストランに提供する。各容器の容量は揚げ物用のバスケット1つ分で、厨房ごとのニーズに合わせてカスタマイズできるほか、野菜や魚などの食材別に分かれているため、二次汚染を防止できる。
Flippy 2はまた、厨房内での省スペースを図った新たなデザインを採用しており、Miso Roboticsによると、通路へのはみ出しを56%減らし、高さを13%抑え、全体として清掃可能な面を少なくしたという。
「Flippy 2は厨房内で必要なスペースが減り、バスケットを充填し、空にして戻す新たな機能により、生産量が飛躍的に増加する。Flippyの発売以来、われわれは常に、どのような厨房にも調和して機能するカスタマイズ可能なソリューションを混乱なく提供することを目標としてきた。Flippy 2には120以上の設定が組み込まれており、現時点で大規模生産されている唯一の揚げ物用ロボットステーションだ」と、最高経営責任者(CEO)のMike Bell氏は説明した。
Miso Roboticsは、2965億ドル(約34兆円)規模の米ファストフードレストラン市場ですでに起こりつつある技術の変化を、同社の技術で主導したいと考えている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。