Microsoft、CPU強化の「Surface Go 3」。Wi-Fiモデル「Surface Pro X」の追加も

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MicrosoftのSurface Go 3。CPUは第10世代Coreに強化され、60%ほど性能が向上しているとMicrosoftは説明している(提供:Microsoft)

 Microsoftは9月22日(現地時間、日本時間9月23日)にオンラインで記者会見を行ない、同社がWindows 11のリリースにあわせて提供を開始するSurfaceブランドのPCや周辺機器などを発表した。この中で同社は、Surface Go 2の後継製品となる「Surface Go 3」、および「Surface Pro X」のWindows 11プリインストール版を発表した。

 Surface Go 3は、CPUを第10世代Core世代に強化したSurface Go 2のマイナーバージョンアップ版。CPU以外のスペックはほぼSurface Go 2で同様で、LTEモデルも用意する。

 Surface Pro Xは、これまで販売されてきたSurface Pro XにWindows 11をプリインストールした、こちらもマイナーバージョンアップ版。従来のSurface Pro XではLTEモデルしか用意してこなかったが、今回のWindows 11プリインストール版ではWi-Fiモデルを用意しており、899ドルからという廉価版をラインアップに追加したことが大きな特徴だ。

Surface Go 2のCore m3より60%高速の“第10世代”Core i3-10100Yを採用

Surface Go 3(提供:Microsoft)

 今回発表されたSurface Go 3は、Surface Go 2と比べると、Windows 11がプリインストールされていることを除けばCPUが強化点となる。Surface Go 2では、第8世代Core世代のCore m3-8100Y/Pentium Gold 4425Yが採用されていたが、Surface Go 3では第10世代CoreのCore i3-10100Y/Pentium Gold 6500Yに強化されている。

 ただし、Intelのブランディングによる世代ではそれぞれ第8世代、第10世代とされているが、第10世代でもYシリーズの一部のSKUは、第8世代と同じAmber Lakeのダイをベースとした製品に据え置かれている。今回のSurface Go 3に採用されたCPUはこれに該当するため、名前の世代は新しくなったが、中身のアーキテクチャ世代は従来と同じだ。

【表1】Surface Go 2/Go 3に採用されている各CPUの仕様(Intelの資料より筆者作成)
プロセッサー・ナンバー Core m3-8100Y Pentium Gold 4425Y Core i3-10100Y Pentium Gold 6500Y
搭載製品 Surface Go 2 Surface Go 2 Surface Go 3 Surface Go 3
開発コードネーム Amber Lake-Y Amber Lake Amber Lake-Y Amber Lake-Y
CPUコア(スレッド) 2(4) 2(4) 2(4) 2(4)
ベースクロック 1.1GHz 1.7GHz 1.3GHz 1.1GHz
ターボ時最大 3.4GHz 3.9GHz 3.4GHz
L3キャッシュ 4MB 2MB 4MB 4MB
GPU Intel UHD 615 Intel UHD 615 Intel UHD 615 Intel UHD 615
GPU周波数(ベース/最大) 300MHz/900MHz 300MHz/850MHz 300MHz/1GHz 300MHz/900MHz
TDP 5W 6W 5W 5W

 表を見れば一目瞭然だが、Pentium Gold 6500Yはスペック的にほぼCore m3-8100Yで、事実上のリネーム版だと考えてよいだろう。つまり、Surface Go 3では下位モデルでも、Surface Go 2の上位モデルと同等の性能を備えることになる。この点はSurface Go 3の見逃せないとメリットとなるだろう。

 上位モデルに搭載されているCore i3-10100Yは、ベースクロックが1.3GHzに、ターボブースト時のクロックが3.9GHzにそれぞれ引き上げられている。これにより、実利用環境での性能はCore m3-8100Y/Pentium Gold 6500Yよりも優れている可能性が高いだろう。Microsoftの説明によれば、従来製品に比較して60%ほど性能が向上しているとのことだ。

着脱式のキーボードやSurface Pen対応などの特徴もSurface Go 2と変わらない(提供:Microsoft)

教育用などでも人気を集めるSurface Go 2が正常進化した後継機となる(提供:Microsoft)

 CPUの名称が第10世代になったことと、プリインストールOSがWindows 11になったことを除けば、Surface Go 3はほぼSurface Go 2と同じで、特筆するような強化点はない。スペックなどは以下の表を参照していただきたい。米国での市場想定価格は399.99ドルからとなっている。

【表2】Surface Go 3のスペック(Microsoftの資料より筆者作成)
製品名 Surface Go 3
CPU 第10世代Core(Core i3-10100Y/Pentium Gold 6500Y)
GPU Intel UHD Graphics 615
メモリ 4GB/8GB
ストレージ 64GB(eMMC)/128GB(SSD)/256GB(SSD、法人向けモデルのみ)
ディスプレイ 10.5型1,920×1,280ドットPixelSense(220ppi、コントラスト比1,500:1、Corning Gorilla Glass 3)
タッチ/ペン 10点マルチタッチ/Surface Pen対応
カメラ(Windows Hello対応有無) 前面:500万画素(Hello対応)、背面:800万画素
USB Type-A
USB Type-C(USB 3.1 Gen1 or Gen2) 1
USB Type-C(Thunderbolt)
HDMI
カードリーダ microSDXCカードリーダ
Ethernet
オーディオ端子 3.5mmヘッドフォン端子
マイク デュアルアレイ(遠方界対応)
その他ポート Surface Connect
Wi-Fi Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)
Bluetooth Bluetooth 5.0
WAN Qualcomm Snapdragon X16 LTE modem(一部モデルのみ)
対応LTEバンド Band 1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/19/20/25/26/28/29/30/38/39/40/41/66
指紋認証
センサー 加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、環境光センサー、NFC(一部法人モデル)
TPM fTPM(一般消費者向け)/ハードウェアTPM(一部法人モデル)
キーボード 別売
ポインティングデバイス 別売のキーボードに搭載
ACアダプタ 24W
バッテリ(サイズ/駆動時間) 非公表/最大11時間
カラー プラチナ
サイズ(幅×奥行き×高さ) 245×175×8.3mm
重量 544g(Wi-Fi)/553g(LTE)
OS Windows 11 Home/Windows 11 Pro/Windows 10 Pro

廉価版のWi-Fiモデルが追加されたWindows 11プリインストール版Surface Pro X

Windows 11プリインストールになったSurface Pro X(提供:Microsoft)

 今回発表されたWindows 11プリインストール版のSurface Pro Xは、2019年10月に発表されたMicrosoft SQ1搭載のSurface Pro X、そして2020年に発表されたMicrosoft SQ2(SQ1の高クロック版の位置付け)搭載のSurface Pro Xとハードウェア的には変わっていない。その意味では、強化点はWindows 11がプリインストールされている点のみとなる。

Wi-Fiモデルが用意されている以外はハードウェアに変更はなく、カラーバリエーションも従来通りプラチナ/マットブラックの2色展開(提供:Microsoft)

 ただし、従来はLTEモデルしか存在しなかったため、ややハイエンド寄りの製品ラインナップになっていた。そこで今回のWindows 11プリインストール版からは、LTEモデムの機能を無効化して出荷するWi-Fi版を用意。ユーザーはより廉価に購入できるようになる。

 「欲しいけど、LTEモデムは必要ないから安くしてほしい」と考えていたユーザーにとってはよいニュースで、Microsoftによれば、市場想定価格も899.99ドルからと以前よりやや下がっている。

【表3】Surface Pro Xのスペック(Microsoftの資料より筆者作成)
製品名 Surface Pro X
CPU Microsoft SQ1/SQ2
GPU Adreno 685(SQ1)/Adreno 690(SQ2)
メモリ 8GB/16GB(LPDDR4x)
ストレージ 128/256/512GB
ディスプレイ 13型2,880×1,920ドットPixelSense(267ppi)
タッチ/ペン 10点マルチタッチ/Surface Slim Pen(オプション)
カメラ(Windows Hello対応有無) 前面:500万画素(Hello対応)、背面:1,000万画素
USB Type-A
USB Type-C(USB 3.1 Gen1 or Gen2) 2(USB 3.1 Gen2)
USB Type-C(Thunderbolt)
HDMI
カードリーダ
Ethernet
オーディオ端子 3.5mmイヤフォン端子
マイク デュアルアレイ(遠方界対応)
その他ポート Surface Connect/Surfaceキーボード端子
Wi-Fi Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)
Bluetooth Bluetooth 5.0
WAN Qualcomm Snapdragon X24 LTE modem
対応LTEバンド Band 1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/19/20/25/26/28/29/30/38/39/40/41/46/66
指紋認証
センサー 加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、環境光センサー
TPM fTPM
キーボード 別売
ポインティングデバイス 別売のキーボードに搭載
ACアダプタ 60W(5WのUSB Type-A端子)
バッテリー(サイズ/駆動時間) 38Wh/15時間
カラー プラチナ/マットブラック
サイズ(幅×奥行き×高さ) 287×208×7.3mm
重量 774g
OS Windows 11 Home/Windows 11 Pro/Windows 10 Pro(Arm版)

 なお、Surface Go 3、Surface Pro Xともに米国では本日よりプリオーダーが可能になっており、ほかの製品と同様に10月5日に販売開始される予定だ。

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