キヤノンは9月14日、フルサイズミラーレスカメラ「EOS R3」を正式発表した。発売は11月下旬を予定。9月16日10時に予約受付を開始する。価格はオープンプライスだが、同社オンラインショップでの価格は74万8000円となっている。
EOS R3
EOS R3は、高速連写や高画質、信頼性、操作性を兼ね備えたフルサイズミラーレスカメラ。デジタル一眼レフカメラのフラッグシップ「EOS-1D X Mark III」などに代表されるEOS-1シリーズと同様に、プロやハイアマチュアユーザーをターゲットとしている。
イメージセンサーは、新開発である有効画素数約2410万画素のフルサイズ裏面照射積層型CMOSセンサーを搭載。映像エンジンは「DIGIC X」の高速処理により、電子シャッター撮影時においては、AF/AE追従で秒間最高約30コマの高速連写を実現。電子シャッターによる像の歪みを大幅に抑制した。メカシャッターおよび電子先幕による撮影時においても、AF/AE追従で秒間最高約12コマの連写が可能となっている。また、シャッタースピードの高速化も実現し、最速で1/64000秒の設定が可能となる。
CMOSセンサーの信号読み出しの高速化と連写シーケンスの再設計により、電子シャッターでの連写時にはブラックアウトフリー撮影を実現。撮影開始のタイミングがつかみやすいよう、1枚目撮影の直前にブラックアウトする以外は、EVFが暗転せず表示される。
静止画撮影時の常用感度は、ISO100~102400。静止画撮影時の低輝度限界はEV-7.5となっており、夜間や室内などの暗いシーンでも、ノイズを抑えた動体撮影とAF動作を実現している。
AFは、全画素が撮像面位相差AFと撮像の両機能を持つ「デュアルピクセル CMOS AF II」を採用。センサーのほぼ全域を測距エリアとし、広範囲AFと高画質を両立する。静止画撮影時には、カメラが撮影者の視線を検出し、視線の位置にAFフレーム・AFエリアを移動する「視線入力機能」が利用可能。ファインダーを覗いた瞳の動きに合わせてAFフレームを動かすことができる。また、AFの検出機能として、「人物」や犬、猫、鳥といった「動物」に加え、モータースポーツを想定した「乗り物優先」を新たに搭載する。
デュアルピクセルCMOS AF II
「乗り物優先」検出
手ブレ補正機能としては、ボディ内に5軸手ブレ補正機構を搭載。レンズ内光学式手ブレ補正機構を搭載したRFレンズとの組み合わせでは、両機構での検知や補正を連携することで、最高で約8.0段の補正効果を実現する。
最大8.0段の手ブレ補正機構
動画性能では、6K 60P RAWや4K DCI、4K 120Pでの撮影に対応。6Kデータから高画質な4Kデータを生成する6Kオーバーサンプリングプロセッシングの機能も有する。
ボディは、縦位置グリップを一体化したデザイン。外装と本体にはマグネシウム合金を採用したほか、防塵・防滴に配慮している。ボタン配置はEOS-1D Xシリーズとの共通性に配慮しているという。
マグネシウム合金を採用したボディ
EVFには、576万ドットOLED液晶を採用。リフレッシュレートは最高119.88fpsとしたほか、新たな表示アルゴリズムを搭載し、表示のスムーズさと、暗いシーンでの視認性向上を図っている。また、「OVFビューアシスト」機能を搭載し、ピクチャースタイルの設定に関わらず、見たままに近い色味での表示を可能としている。
576万ドットOLED液晶を採用したEVF
背面液晶は、約415万ドットバリアングル液晶モニターを搭載。AFフレーム選択やタッチAF、メニュー設定などのタッチ操作に対応している。バッテリーは、EOS-1D Xシリーズと共通の「LP-E19」を採用。また、USB充電・給電に対応しており、USB PD対応のモバイルバッテリーからの充電が可能となっている。記録メディアは、CFexpress(Type B)と、SDカード(UHS-II)の2種類に対応する。
タッチ操作対応のバリアングル液晶を搭載
CFexpress(Type B)と、SDカード(UHS-II)に対応したスロット
外部連携機能としては、プロの撮影現場でのワークフローを高速するモバイルアプリ「Mobile File Trasfer」に対応。モバイル端末を通じてFTPやFTPS、SFTPサーバーに画像を転送可能となっている。また、内蔵Wi-FiやUSB接続での連携にも対応する。
さらにEOS R3では、ボディ上部のホットシューを、新たなコネクタを採用した「マルチアクセサリーシュー」に変更。従来製品との互換性に配慮しつつ、高速データ通信や電源供給などの機能拡張に対応する。
新開発の「マルチアクセサリーシュー」
マルチアクセサリーシューに対応した製品としては、従来製品を防塵防滴に配慮しつつ接続可能としたマルチアクセサリーシューアダプター「AD-E1」、バッテリーレスのスピードライトトランスミッター「ST-E10」、カメラとスマートフォンをケーブルで接続する必要のないスマートフォンリンクアダプター「AD-P1」、指向性ステレオマイクロホン「DM-E1D」の4つを同時に発表している。
スマートフォンリンクアダプター「AD-P1」
マルチアクセサリーシュー対応アクセサリーの希望小売価格については、マルチアクセサリーシューアダプター「AD-E1」が1万6500円、スピードライトトランスミッター「ST-E10」が5380円、スマートフォンリンクアダプター「AD-P1」が8780円、指向性ステレオマイクロホン「DM-E1D」が3万7500円。発売時期は、「AD-E1」と「ST-E10」が11月下旬、「AD-P1」が2022年2月下旬、「DM-E1D」が2022年3月中旬を予定する。
キヤノンマーケティングジャパンでは、9月15日より、銀座と大阪の「キヤノン フォトハウス」、品川の「キヤノンプラザSコミュニケーションスペース」、名古屋支店のコミュニケーションスペースの4箇所にて、EOS R3のタッチ&トライの場を設ける。いずれも事前予約が必要で、電話にて先着順で受け付ける。