メモ
青魚に主に含まれる「オメガ3脂肪酸」は、心疾患由来の死亡率や中性脂肪値を下げる可能性が示されている他、近年の研究では「ガン腫瘍を殺す」様子も確認されています。そんなオメガ3脂肪酸について、新たに「片頭痛の頻度を下げる」という研究結果が発表されました。
Dietary alteration of n-3 and n-6 fatty acids for headache reduction in adults with migraine: randomized controlled trial | The BMJ
https://www.bmj.com/content/374/bmj.n1448
Mediterranean diet with oily fish could help reduce migraine frequency | Food | The Guardian
https://www.theguardian.com/food/2021/jun/30/mediterranean-diet-with-oily-fish-could-help-reduce-migraine-frequency
新たにオメガ3脂肪酸が片頭痛に効果があるという研究結果を発表したのは、アメリカ国立老化研究所のクリストファー・ラムスデン博士ら。ラムスデン博士らは月あたり5~20日は片頭痛が生じるという182人を被験者とし、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取量が片頭痛の頻度と重症度に与える影響について調べました。
マグロ・ブリ・サバなどの脂肪が多い魚やクルミなどのナッツに主に含まれるオメガ3脂肪酸と、大豆油・コーン油などの精製油に含まれるオメガ6脂肪酸はいずれもオキシリピンという痛みを調整する作用を持つ分子の前駆体ですが、オメガ3脂肪酸由来のオキシリピンは痛みを抑え、オメガ6脂肪酸由来のオキシリピンは痛みを増幅させるという、相反する効果を有しています。
今回の実験では、「オメガ3脂肪酸もオメガ6脂肪酸も一般的な量」「オメガ3脂肪酸は増量&オメガ6脂肪酸は通常量」「オメガ3脂肪酸は増量&オメガ6脂肪酸は減量」という3種類の食事法のいずれかを被験者にランダムに割り当て、各被験者は割り当てられた食事法を16週間にわたって続けました。なお、各食事法はそれぞれに似通った内容になるように定められ、オメガ3脂肪酸・オメガ6脂肪酸の増減は調理油・バターの種類やタンパク質を主とする魚などの食材によって調整されました。
16週間後に被験者を調べたところ、「オメガ3脂肪酸は増量&オメガ6脂肪酸は通常量」「オメガ3脂肪酸は増量&オメガ6脂肪酸は減量」という介入食では痛みを和らげるオキシリピンの産生量が増加しており、片頭痛の重症度については大幅な変化は見られなかった一方、片頭痛の頻度については大幅な減少傾向が確認されました。「オメガ3脂肪酸は増量&オメガ6脂肪酸は通常量」のグループでは1日の頭痛時間が1.3時間減&頭痛発生日数は1カ月あたり2日減となり、「オメガ3脂肪酸は増量&オメガ6脂肪酸は減量」のグループでは1日の頭痛時間が1.7時間減&頭痛発生日は1カ月あたり4日減となりました。
なお、今回の被験者は女性がほとんどだったため、ラムスデン博士らは「子どもや男性、そして高齢者の場合はまた異なる結果が出るかもしれない」という可能性や、「魚以外から摂取されたオメガ3脂肪酸では異なる結果が出るかもしれない」という可能性を注記しています。
また、今回の結果が純粋にオメガ3脂肪酸のみが生み出したものかどうかも明らかになっていません。キングスカレッジ・ロンドンの栄養学・食事学名誉教授であるトム・サンダース氏は「例えばサーモンの摂取量を増やすと、長鎖オメガ3脂肪酸の摂取量だけでなく、ビタミンDやセレンなど他のいくつかの微量栄養素の摂取量も増えます」と述べ、オメガ3脂肪酸を豊富に含む食材が有する何らかの栄養素が効果を上げた可能性を指摘しています。
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