アドビは7月20日、動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」の最新バージョン(15.4)において、「音声のテキスト化」機能の提供を開始したと発表した。あわせて、M1搭載Macにネイティブ対応。同等のIntelベースのMacと比べ、約80%高速に動作するという。
音声のテキスト化は、字幕付きビデオがより簡単に作成できる機能。13の言語に対応。人名の綴りの修正など、変更が必要な場合でも簡単に編集できる。文字起こしテキストへの変換処理が終わると、自動的にキャプションを作成し、タイムライン上に配置する。Adobe Senseiの機械学習を活用しており、発話のタイミングとも同期できるという。
また、タイムライン上に配置された字幕のテキストは、エッセンシャルグラフィックスパネルのデザインツールを使って自由にカスタマイズ可能。さらに、テキストパネル上で単語をダブルクリックすると、Adobe Premiere Proのタイムラインの該当する位置にプレイヘッドが移動するなど、検索性も向上している。
コンサルティング会社のPfeifferが実施した最新のベンチマークレポートによると、この機能により、5分尺のビデオからテキストおよび、キャプションを作成するのに必要な時間を75%削減、52分もの時間を節約できたとしている。
After EffectsのM1対応パブリックベータは2021年後半に
今回、Premiere Proに加え、Media Encoder、Character AnimatorについてもM1にネイティブ対応を実現した。Character Animatorでは、リアルタイムの動作がさらに高速化し、パペットやアートワークの読み込みが2倍速くなり、Character Animatorのワークスペースの切り替えも、前世代のMacと比較して最大3倍高速化しているという。
また、新機能としてボディトラッカーとパペットメーカーを公開(英語)。ボディトラッカーでは、コマアニメやキーフレームアニメーション作成の経験がないクリエイターでも、動きやジェスチャーを使ってパペットのアニメーション化が可能。カメラに向かって身体を動かせば、パペットも一緒に動くようになる。パペットメーカーでは、ヘアスタイル、スキントーン、アクセサリーなど、キャラクターのスタイルを複数用意。シンプルなインターフェイスで、キャラクターをカスタマイズできる。
After Effectsについては、2021年後半にパブリックベータ版としてネイティブ対応する予定だが、Premiere Proに搭載されているダイナミックリンクやモーショングラフィックステンプレートなど、After Effectsとの連携機能はすでにM1に最適化されているほか、After Effectsのマルチフレームレンダリング機能はすでにパブリックベータが提供されている。
マルチフレームレンダリングは、マルチコアCPUを活用して最大3倍のパフォーマンスを実現。「プレビューにマルチフレームレンダリングを使用」オプションが追加され、画面上でのレンダリングのさらなる高速化と全体的な応答性の向上が期待できるという。また、「投機的レンダリング」により、システムがアクティブでない時間を自動的に検出。その空き時間を使ってコンポジションのレンダリングを実行できるという。