うさわはかねがね。
あらゆる生活情報サイトで、マーナ(marna)の冷凍ごはん容器『極(きわみ)』がスゴイとの記事があがっていた。ロケットニュースの姉妹サイトPouch(ポーチ)でも大絶賛の記事が2本も公開されている。 → (1)(2)
ホントかよ。
あまりにも皆が異口同音に「スゴイ」と褒め称えているのが、私にはどうも気持ち悪く感じていた。平たく言えば「ウソクセー」と思っていた。
そんなある日、東急ハンズ(現・HANDS)をプラプラしてたら、ウワサのブツが売られていた。2個セットで1078円。
買った。そして、試した──。
・ナカヤ『ふっくらパックA』という帝王
まず最初に皆に宣言しておきたいのは、自分を大きく見せる意味は一切なく、私はかなりの「冷凍ごはん容器マニア」であるということ。
おそらく現在売っている冷凍ごはん容器は、100円グッズ、スーパーなどで売られている商品、ほとんどすべて試している。
そんな私が何年も前から不動の1位に掲げているのが、何を隠そう100円ショップで売られている、ナカヤの『ふっくらパックA』。もちろん価格も1つ税抜100円(税込110円)だ。
今から5年も前の2018年に出会ってからは、一途に『ふっくらパックA』を使ってきた。その間、他の商品を試したりもしたが、『ふっくらパックA』に敵う商品はついに現れなかった。
完璧なのだ。商品として。一体なぜナカヤはこんなスゴイモノを100円で売り出してしまったのか。間違いなく300円、いや、400円でも売れたであろうに。本気でそう感じるほど、ナカヤの容器はパーフェクトだった。
しかし、そんな「冷凍ごはん容器」というリングに、突如として、いや、満を持して殴り込んできたのが、食器を洗う用のスポンジをはじめとする生活用品で有名な、あのマーナ(marna)だったのである。
「出た」という情報はキャッチしていたが、私はしばらく静観していた。でも、いつかは試す時が来るだろう……なんて思っていたら、あれよあれよと各メディアで大絶賛の嵐。
そして今、目の前に。
もう逃げられない。
時は来たのだ。
・冷凍前
私が購入したのは2つ入り税込1078円だが、公式サイトによると1つ売りもされているもよう。価格は税抜580円(税込638円)。100円のナカヤと比べると、その差は5.8倍。約6倍といっても良いだろう。
製造表記は、ナカヤがシンプルに「メイドインジャパン(MADE IN JAPAN)」なのに対し、マーナの方は「デザインドバイマーナイントーキョー メイドインチャイナ(Designed by Marna in Tokyo Made in China)」。
大きさは、上から見るとナカヤの方が大きく見えるが、
横から見ると、マーナの方が背が高い。
容量は、マーナが1膳分(180g)なのに対し、ナカヤも「1膳」と言いつつ約150gとの表記。このあたりは「お互いの1膳感の相違」かと思うが、とりあえず「1膳」なのは同じなので、だいたい1膳と思えば良いだろう。
しかし構造は双方違う。マーナが「すのこ」なのに対し、ナカヤは「ざる」。どちらも「余計な水分を落とす」という目的は同じだが、この構造の違いが勝敗を分けることになるのだろうか──?
私は普段どおりに3合ぶんの炊き立てごはんを6等分し、
マーナとナカヤに、それぞれ盛った。
そしてフタして、即、冷凍庫へ。
その後、4日ほどキンキンに凍らせて……
ついに頂上決戦のゴングが鳴った──。
・徹底比較
パッケージの表記通り、マーナは500wで3分30秒、ナカヤは600wで3分をチン。
そしてフタを開けると……
フタへの「汗かき」は、若干だけナカヤのほうが上か。
そして、すのこ&ざるを持ち上げてみると……
ナカヤの方は、テーブルにこぼれるほどダラダラに水が落ちたのに対し、
マーナのほうは、そこまでではない……。マーナ、こんなんで大丈夫なのか?
そして……
それぞれを……
実食……
何度も何度も……
食べ比べて……
ついに、私なりの結論が出た。
長くなるので簡潔に勝敗だけを先に書くならば……
「勝者:マーナ」である……!
そう思うに至った理由は以下に書くが、思い入れが深すぎるがゆえの長文になってしまったため、どうか時間のある時に読んでほしい──。
・食べ比べをした直後に残したメモを清書したもの
どちらもうまい。
これは間違いのない事実であり、ある意味ではどちらも勝者。
これまで世に出たほぼすべての「冷凍ごはん容器」を試してきた私が、「これは本当の意味での頂上決戦」と思うほどにハイレベルな戦いだった。
キックボクシングに例えるなら、昨年2022年6月19日に東京ドームで開催された「那須川天心 vs 武尊」くらい天下を分ける一戦であった。
上記の試合と同じく、KO決着はしなかった。しかし、判定で3-0でマーナの勝ち。そう思う理由は、決定的な違いがあったからだ。
それは、水分。
ナカヤの方は、水抜きされすぎてて、ややパサパサしていたのだ。
実はこれ、今まで気づかなかった。なぜなら他の冷凍ごはん容器は水切り具合が甘すぎて、ほとんどすべてベチョベチョだったから。他がダメすぎたってのもある。
それに対してナカヤのは、まるでボクサーが試合前に「水抜き」するがごとく、バキバキに絞れたボディをしていた。それこそが完璧だと思っていた。
しかし。
マーナの「極」と比べたら、歴然たる差があった。
マーナのほうは絶妙に水が切れていて、絶妙に水を含んでいる。実にナチュラルに体を絞っているというか。ガリガリではなく “色気” もあるというか。
非常にウマイ。
文句なしでウマイ。
たとえるなら、上等な幕内弁当に入っている上等な米みたいな。言わば「冷めてもウマイ」的なごはんになっていた。
無論、ナカヤもウマイことには変わらない。間違いなく「極」登場前までは、冷凍ごはん容器のトップに君臨していたであろう。
絶対王者の貫禄。それはもはや「帝王」といっても良いくらいの長期政権。100円でここまでやるとは大したもの。しかし、あえて優劣をつけるならマーナであると私は思ったのである。
正直、「極」を知らない人生も幸せであっただろうなとは思う。だって、文句なしにナカヤの方もウマイのだから。
しかし、「極」に触れてしまったら最後。ナカヤの容器が過去のモノになってしまうのだ。
それはまるで禁断の果実。アダムとイブが食べたのは、リンゴではなく「極」で温めた冷凍ごはんだったのかもしれない。
・極(きわめ)後の世界
ナカヤに対しては、よくやったと褒めてやりたい。本当によくやった。価格差的には約6倍。100万円の軽自動車が、高級国産車、あるいは外車と戦うようなものだから。
100均ファンとして、正直、奇跡が見たかったのもある。100円が600円に勝つという、痛快すぎるジャイアントキリング。心の底では、そうなってほしいとも願っていた。
だが、ガチで比べてしまったが最後。
私は正直でありたい。
うまかったのはマーナ。
うまかったのは、マーナである。
まさにそれは「極(きわみ)」の名の通り、極限まで計算され尽くしたうまさであった。
もしもボーナスが入ったら、私はマーナで揃えたい。多少お金がかかったとしても、冷凍ごはんをチンするのは毎日のことなので揃えたい。
なお、ウチにある7個のナカヤ容器に関しては、いくつかは処分することになるだろう。しかし、数個は残しておく。
なぜならば、ナカヤのごはんは、「チャーハン用のごはん」、あるいは「カレーライス用のごはん」としては最適な予感がするからだ。
水分をギュッと絞ったごはん。チャーハンやカレーを楽しむ際、ナカヤの冷凍ごはん容器にしかできない、新たな「伝説」を残してくれることだろう。
いまだ伝説は死なず。
生きる道が、変わっただけだ。
【完】
参考リンク:ナカヤ「ふっくらパックA」、マーナ『極』
執筆:100均評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24