グーグルは「code red(非常事態)」を社内で宣言か? ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2023/1/19~1/25】

INTERNET Watch

1. ITジャイアントにリストラの波

 グーグルの親会社であるアルファベットで1万2000人(CNET Japan)、マイクロソフトでも1万人の人員削減(CNET Japan)が発表されている。昨年末から、メタ、アマゾン、ツイッターをはじめとし、これまで成長路線にあったIT企業各社がこぞって人員削減を発表したことになる。いうまでもないことだが、こうした世界的な大企業の業績動向はもはや米国内の話ではなく、日本、そして世界各国の産業とも関係のあることと捉えるべきだ。人材獲得などの観点ではチャンスという見方もある。

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  • グーグルの親会社Alphabet、1万2000人の人員を削減へ[CNET Japan
  • マイクロソフト、1万人の人員削減へ–過去8年間で最大規模[CNET Japan

2. グーグルは「code red(非常事態)」を社内で宣言か?

 「ChatGPT」が脚光を浴びることで、盤石と思われていたグーグルの中核事業「検索」にも影響が生じているようだ。CNETの記事によれば「その驚くべき能力はインターネット上で爆発的に人気となっており、その有用さから、GoogleはChatGPTに対応するため『code red(非常事態)』を社内で宣言したと報じられている」(CNET Japan)。検索のようにキーワードから関連する記事をリストアップし、人間がその中から情報を読み取るのではなく、ChatGPTでは「もっともらしい」回答を与えてくれる。確かに知りたいことに対しては近道だ。しかも、すでに一線を退いたとされるグーグルの創業者であるラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏もこの問題の対象に加わっているというのだ。これが本当だとするなら、創業以来の「破壊的なほどの技術」を前に競争を余儀なくされていることになる。

 そして、2023年中に20以上のAIを搭載する新製品を発表する予定であるとも報じられている(BUSINESS INSIDER)。

 しかも、グーグルは司法省からデジタル広告市場の支配を問題視され、提訴された。同社は反論しているが、司法省からは広告事業の分割を求められている(CNET Japan)。これから法廷での戦いが始まるが、分割はそう簡単ではないだろう。こちらも難問だ。

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  • グーグル、「ChatGPT」の脅威に対処するため共同創設者らの協力を要請か[CNET Japan
  • グーグル、20以上のAI関連新製品を開発へ…ChatGPTに対抗するAI検索エンジンもテスト中[BUSINESS INSIDER
  • 米司法省、グーグルを再び提訴–デジタル広告市場の支配を問題視[CNET Japan

3. スポーツイベントは動画配信が当たり前――「2023 WBC」はプライム・ビデオで配信

 3月に開催される野球の世界大会「2023 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」はアマゾンがプライム会員向けの動画配信サービス「プライム・ビデオ(Prime Video)」で日本代表の全試合をライブ配信する(ケータイWatch)。サッカーW杯をABEMAが配信したことは記憶に新しいが、それに続いて大規模スポーツイベントが動画配信されることになる。サッカーW杯のときはスマホでの視聴も多かったという調査結果が発表されていたが、今回もやはりスマホでの閲覧がされるのではないかと予測される。あらためて考えると、WOWOWではすでにテニスやゴルフの試合を配信しているし、相撲はNHKで配信されている。スポーツの世界では配信は当たり前のチャネルになっている。

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  • 「Prime Video」、「2023 WBC」の日本代表全試合をライブ配信[ケータイWatch

4. マイクロソフトが「ChatGPT」を開発するオープンAIに追加出資

 注目を集める「ChatGPT」にマイクロソフトが十数億ドルの出資をする。日本経済新聞によれば、マイクロソフトは「2019年と21年にもオープンAIに投資をしており、今回の追加投資を通じて『継続的な協力関係を拡大する』」という関係にある(日本経済新聞)。当然、マイクロソフトは自社の検索システム、Office関連製品への組み込みも考えているだろう。「Wordのオートコンプリートやオートコレクト機能は向上し、いくつかの単語を基に長いテキストの塊を生成できるだろう。さらに、短いテキストを入力するだけで、完全なPowerPointのプレゼン資料を作成できるかもしれない」(Forbes JAPAN)というのはあながち夢ではなかもしれないことなのだ。

ニュースソース

  • Microsoft、ChatGPTのオープンAIに投資 数十億ドル[日本経済新聞
  • グーグルの弱点を突くマイクロソフトの「ChatGPT」導入計画の全貌[Forbes JAPAN

5. 電子出版市場の成長率は鈍化――出版科学研究所調べ

 全国出版協会・出版科学研究所が発表した出版市場規模の推計によれば、紙と電子を合算した出版市場(推定販売金額)は「前年比2.6%減1兆6,305億円と4年ぶりのマイナス成長」になったとしている(出版科学研究所)。内訳では「紙の市場が同6.5%減、電子出版が同7.5%増」となっているものの、総額では紙の現象を電子が補いきれなかった。また、「電子は前年までの2割前後の伸びから、一桁台と急速に鈍化」している。その理由として「出版市場を支えてきたコロナ特需が完全に終息。また物価高も、趣味・娯楽品のひとつである出版物に影響し買い控えが発生」と指摘している。

 今後、コミックの海賊版などによって失われている市場の回復も重要になるとともに、他のメディアとの関係では可処分所得はもとより、可処分時間の奪い合いが進むか。

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