ウクライナとの付き合いの方針転換をドイツで主張しているのは親プーチン工作員だと判明

GIGAZINE
2023年01月13日 23時10分
メモ



ドイツ国内で「ウクライナへの支援について考え直すべきだ」と主張しているグループの主要人物が、ロシアの国家機関や極右組織とつながりのある、親プーチン派工作員であることがロイターの調査によって明らかになっています。

Pro-Putin operatives in Germany work to turn Berlin against Ukraine
https://www.reuters.com/investigates/special-report/ukraine-crisis-germany-influencers/


ロイターは具体的に複数の人物の名前や経歴を挙げています。

1人目はロシアの元空軍将校、ロスティスラフ・テスリュク氏。10年前にドイツに移住してからはマックス・シュルントと改名していて、親ロシア派の集会を開いています。シュルント氏は2022年下旬にロシアが支配するウクライナのドンバス地域に渡航していますが、その航空券はРоссотрудничество(ロシア連邦交流庁)と呼ばれる、ロシア政府のエージェントネットワークを運営していると目される機関が手配したとのこと。

シュルント氏のパートナーなのが、ウクライナ出身でドイツ・ケルン在住のエレナ・コルバスニコワ氏。親ロシア派集会やデモの顔として活躍しています。コルバスニコワ氏は2022年、ドイツ人の抱く「ロシア恐怖症」のせいで看護師の仕事をクビになったと公表し、反体制派から注目を浴びたとのこと。

シュルント氏とコルバスニコワ氏は2022年の夏にデュッセルドルフで同じ志の人々とともに集会を開催。集会ではチェチェンのカディロフ首長の旗が掲げられました。その様子の写真をチェチェンのアクメド・ドゥダエフ情報大臣がTelegramやInstagramに掲載し、「彼らは、どんな犠牲を払ってでも真実を追求する親善大使なのです」とコメントを付けています。


ロシアのニュースサイト・ツァーグラードは2人がドンバス地域を訪問し、車椅子や松葉杖、ストーブなどを配る様子をYouTubeで公開しています。

 “Их убили наши ракеты”: Немцев в Донбассе довели до слёз – YouTube
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ロイターはWhatsAppで2人と連絡を取りましたが、詳しい質問には答えてもらえず、シュルント氏からは「愚か者め、私の前から消えろ」と言われたそうです。

3人目はヴャチェスラフ・ゼーヴァルトという人物。ゼーヴァルト氏は、Telegramでロシアのプーチン大統領の写真や映像などを共有している「プーチンファンクラブ」を運営しているとのこと。

Telegram: Contact @putin_fanclub
https://t.me/putin_fanclub


ゼーヴァルト氏は10年以上前からYouTubeチャンネルを運営しており、ウクライナ侵攻の直前・2022年1月には「NATO拡大とウクライナ – 本当の戦争の危険性」という動画を投稿しています。

NATO Osterweiterung & Ukraine – reale Kriegsgefahr? Wjatscheslaw Seewald – YouTube
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また、アンチコロナでもあり、予防接種推進に反対するAfDなる政党にも携わっているようです。

AfD Anti-Corona Kundgebung Nürnberg 19.12.2021 – YouTube
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4人目のヤン・リーデル氏は「Deutsch-Russische Seelen(German-Russian Souls:ドイツとロシアの魂)」という団体の代表。Deutsch-Russische Seelenは「ドイツの兄弟国・ロシアとの兄弟愛を忘れないために立つ同志の愛国者団体」で、「政治的な団体ではなく、右翼・左翼の過激な思想の強化を拒否します」と述べています。

Wer sind wir? – Кто мы? – Deutsch-Russische Seelen
https://www.deutsch-russische-seelen.de/

ウクライナ東部・ドネツク人民共和国へも訪問しているようで、団体のFacebookでは直近だと2023年1月8日夜にウクライナ軍がスタロベシェフスカヤを攻撃した際に破壊されたという建物の写真が掲載されています。この攻撃では女性2人が亡くなったとのこと。


5人目はオレグ・エレメンコ氏。ロシア系ドイツ人コミュニティで長く活動している人物で、ベルリンにある建設会社の重役です。祖父が1981年までソ連共産党中央委員だった戦争の英雄だというエレメンコ氏は、ロイターの取材に対して、情報機関「GRU」で勤務していたことは認めたそうです。

なお、エレメンコ氏は2014年7月にウクライナ東部で発生したマレーシア航空17便撃墜事件やドネツク人民共和国の武装勢力組織化などに携わったイゴール・ガーキンと一緒に写った写真も見つかっています。

6人目はケルン南東・トロイスドルフ在住の運送業者、アンドレイ・ハルコフスキー氏。シベリアのトムスク地方出身で、ロシアのウクライナでの軍事作戦を支援するコサック協会に忠誠を誓う人物です。ハルコフスキー氏は他のコサックの仲間とともにシュルント氏らの主催するイベントに参加している姿が確認されています。なお、ロイターに対してハルコフスキー氏はイベントの警備をしたことは認めたものの、その他の詳しい質問への回答は拒否しました。また、「ロシアと海外のコサック戦士連合」代表でハルコフスキー氏とともに姿があったグリゴリー・クレイマー氏は取材拒否、コサック戦士連合もコメントに応じなかったとのことです。

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