HDMI Licensing Administratorは16日、都内で記者会見を開催し、米国より来日した社長(CEO)のロブ・トバイアス氏が、HDMIの過去を振り返りつつ、市場の現状ならびに最新のプログラムの状況について紹介した。
ちなみにHDMIにまつわる最新技術の策定については、70社が参画しているHDMI Forumで行なわれているため、HDMI LAの役割はこの技術のライセンスおよび認定に関する部分である。このため説明会自体も技術寄りの話ではなく、マーケティング寄りの話が中心となっている。
実は、HDMIの最初の規格1.0が策定されたのは2002年12月5日。つまり今からちょうど20年前とのこと。当時は「HDMI Founders」という名前で、日立(現在は脱退)、松下電器(現パナソニック)、ロイヤルフィリップスエレクトロニクス、SiliconImage、ソニー、Thomson(現Technicolor S.A)、東芝らが、HDMI 1.0の規格策定を行なっていた。つまり、多くが日本企業だったわけだ(なのであえて20周年目にCEO自ら来日したのだろう)。
そのHDMIは2011年に、将来を目指しより高速化するためにHDMI Forumを立ち上げ、約70社がボードメンバーとなった。そして2013年には最大18Gbpsで4K/60HzをサポートするHDMI 2.0規格を発表し、2017年にHDMI 2.1、2022年にHDMI 2.1aを発表するに至っている。
HDMI規格は今やコンシューマではお馴染みのインターフェイスとなっており、TVやカメラ、ゲーム機、PCなどさまざまな機器に採用されているが、トバイアス氏によればこれまで考えられなかったような機器でも採用が進んでいるという。
例えば最新のMacBook Proは“久しぶり”にHDMIが復活したほか、JeepのグランドワゴンニアSUVといった車両でゲーム機などをつなぐためのインターフェイスとして採用されたり、NASでも搭載が進んでいたり、防衛や航空宇宙産業、医療機器、キオスク端末、デジタルサイネージなどでも採用が進んでいるとした。
最新のHDMI 2.1a規格については、4K/120Hzへの対応、ダイナミックHDR、可変リフレッシュレート(VRR)、自動低レイテンシモード(ALLM)、エンハンストオーディオリターンチャネル(eARC)といった要素に加え、新しいシグナリング技術の固定レートリンク(FRL)も盛り込まれている。こうした技術は主に大画面TVで採用が積極的に採用され市場を牽引しているという。
その一方で、欧州においては8K TVや一部の4K TVは、エネルギー効率指数要件に適合できず、2023年以降販売できなくなるといったような制限も生まれてきているという。これに対し、一部メーカーでは輝度を抑えたりすることで消費電力を抑える「EUモード」の実装を考えているといい、半導体や画像センサーなどに関しても8Kに対応するエコシステムは徐々に発展している状態だとし、緩やかに成長していく見込みを示した。
また、今後はHDMI 2.1aによってゲーム向けの機能(先述のVRRやALLMなど)も充実し、TVとモニターの境目は曖昧になっていくだろうと指摘する。つまり、TVでもレイテンシを抑えた表示モードが追加されたり、モニターでもそれ単体でビデオオンデマンドサービスが視聴可能になるという方向性である。これによりゲーマーにとってサイズと価格の選択肢が充実していくだろうとした。
新型コロナによる影響に関しては決して無視できず、新型コロナ流行当初のさまざまな問題(製品供給不足)は解消しつつも、中国のゼロコロナ対策による断続的な工場/港湾閉鎖によりサプライチェーンがいまだ不安定な状態が続き、予測は難しいという。ただその中でも製品ライフサイクルの短縮、ゲーミング市場の特需といった明るい要素もあるという。
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