日本から9737km離れたガーンジー島で路線バスを乗り継ぎ島の魅力を調査してきました【インターリンク ドメイン島巡り 第30回「.gg」】

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2022年12月15日 09時00分
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これまで犯罪多発都市や沈みかけの絶海の孤島、人よりホッキョクグマが多い世界最北の町などに弾丸現地取材してきた「ドメイン島巡り」の第30回目となる今回は、チャネル諸島で2番目に大きな島であるガーンジー島を訪れました。ガーンジー島は、フランスの印象派画家ルノワールをも魅了した美しい自然が観光客に人気な島。また、以前訪れたヴァージン諸島モーリシャスマルタと同様に、タックスヘイブン(租税回避地)として外国人に対して優遇税制を実施しています。

ドメイン島巡り – 世界のドメイン1,000種類以上を取り扱うインターリンクが、「.cc」「.tv」「.sx」等、南太平洋やカリブ海などの「島のドメイン」約50種類に焦点をあて、実際にその島々に行き、島の魅力をレポートします。
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◆ガーンジー島はどこにあるのか?
2018年公開の映画「ガーンジー島の読書会の秘密」の舞台にもなったガーンジー島は、フランスのノルマンディー地方沖に浮かぶチャンネル諸島を構成する島の1つで、イギリスの王室属領です。外交と国防に関してはイギリス政府に委任している一方で、独自の議会と政府を持ち、海外領土や植民地とは異なる高度な自治権があります。人口は約6万5000人で、通貨はポンドとガーンジー島ポンドが使用されています。

目次
◆マナーハウスを改装したLes Douvres Hotelに宿泊
◆ドメイン島巡り史上初のローカル路線バスの旅
◆難破船の博物館を見に行ってきた
◆日本庭園がある「ソーマレズ公園」
◆日本料理店と、日本のアニメグッズを販売するゲームショップ
◆ドメイン島巡りにトラブルはつきもの
◆街で見かけた「.gg」ドメイン
◆海外用のeSIMを購入して現地のネット速度を計測してみた

◆マナーハウスを改装したLes Douvres Hotelに宿泊
前回訪れたジャージー島からガーンジー島へは、Blue Islands社の小型プロペラ機で約20分ほど。機体の整備で1時間ほど出発が遅れたものの、大きなトラブルはなく無事に到着しました。


ジャージー島でチャーターした車の運転手のジェームスさんから「ガーンジー島は都会ではないよ」と聞いていましたが、空港はなかなか近代的。


タクシーでホテルに向かおうとしますが、いくら待ってもタクシーが来ません。空港スタッフに尋ねて電話で呼んでもらいますが、一向に来る気配はなし。


仕方なくタクシーに乗るのを諦めて周囲を歩き回っていると、バス停を発見したので、最終便であろうバスに乗りました。


ホテルの近くと思われるバス停で降車し、Google Mapを頼りに歩くこと20分。ようやくホテルに到着しました。ホテルにあるレストランで食べた遅めの夕食がこんな感じ。


今回宿泊したホテルは、18世紀のマナーハウス(昔の貴族や領主が所有していた館)を改装したLes Douvres Hotel


宿泊した部屋はこんな感じでした。


親切でフレンドリーなホテルのスタッフによると、「あなた達はこのホテルに宿泊した初めての日本人なんですよ」とのこと。郊外にあるホテルなので、なおさら日本人は訪れないのかもしれません。イングリッシュブレックファーストも絶品でした。


◆ドメイン島巡り史上初のローカル路線バスの旅
空港周辺でバス停を見つけた時、同時にバスの路線図も見つけていました。これまで29の島を調査してきましたが、路線バスがある島はガーンジー島が初めてです。そこで、今回は路線バスを乗り継ぎしながらガーンジー島を調査することにしました。目的地は全部で5箇所です。


まずはホテル近くのバス停からスタートし、バスを乗り継いで最初の目的地であるドイツ軍占領史料博物館へ向かうことにします。しかし、バス停がなかなか見当たりません。

ようやく発見したバス停は地面に「BUS」と書かれているだけ。日本では「時刻表があってバス停名などの標識が立てられている場所がバス停」と考えがちですが、ガーンジー島にはこのように地面に「BUS」と書いているだけのバス停もあります。


「Town Terminus」行きのバスが来ました。これに乗って乗り継ぎのバス停に向かいます。


平日昼間のバスの運賃は1.25ポンド(約206円)。クレジットカードのタッチ決済でも簡単に乗車できます。


車内は空いていました。


いったんバスを降り、空港行きのバスが来るバス停を探します。


空港行きのバス停発見。ここは標識があるタイプです。


そしてバスも来ました。


ドイツ軍占領史料博物館の最寄りのバス停に到着。博物館への案内が出ていました。


というわけで、ドイツ軍占領史料博物館に到着。


館内に入る前に敷地内を散策してみると、ガーンジー島海域で命を落としたイギリス空軍の第153飛行隊RAFと連合軍の航空乗組員をしのんで、プロペラの残骸が飾られていました。


入館料の6ポンド(約990円)を支払い、館内に入ります。


1940年5月にフランスを陥落させたヒトラーがイギリス侵攻の足がかりとして目をつけたのがチャンネル諸島。ここには当時の様子を伝える貴重な資料が多数保存、展示されています。


ドイツ軍が使用したエニグマなどの通信機器は現代のノートパソコンの先祖のようにも見えます。


「ドイツ軍が来たからといって慌てることなく普段通りに生活してください」


「通信機器を持つものは罰せられます」と書かれた案内もありました。


施設が不足していたため、ドイツ兵と住民は共同生活をしていたようです。


ガーンジー島と同じイギリス領のジャージー島には、ドイツ占領下における悲惨な生活を伝える施設「ジャージー戦争トンネル」があり、ドイツに対して否定的な見解を示す資料が多々見られましたが、このドイツ軍占領史料博物館には「ドイツは優しかった」とする資料もありました。


◆難破船の博物館を見に行ってきた
2つ目の目的地は、ナポレオンの砦にある難破船の博物館です。路線バスに揺られて島の西海岸に移動していると、遠くにそれらしい砦が見えてきました。


Fort Grey」に到着。ナポレオンの砦が目の前に見えます。


砦に向かっててくてく。


砦の中に目的の博物館がありました。


入館料の4ポンド(約660円)を支払って中に入ります。


1階と2階に分かれていますが、それぞれのフロアはそれほど広くありません。


ナポレオンの砦とは、ナポレオン戦争中の1804年にイギリスが防衛のために建設したグレイ砦のこと。


ガーンジー島の西海岸側は岩だらけで、何世紀にもわたって多くの船が沈没しています。


沈没船の記録や残留物が展示されていました。


残留物で沈没船の操縦室を再現したもの。


フロア中央のらせん階段で1階に降りてみます。


引き上げられた食器や舷窓


ライフジャケットが展示されていました。


よく見てみると日本語で「船舶用救命器具協同組合」などと書かれています。


1984年1月24日午前1時30分に転覆し、その後ガーンジー島のセントマーチンズポイント沖18マイルで沈没した、リベリア船籍の穀物輸送船「MVラディアントメッド」に積まれていたライフジャケットでした。なぜリベリア籍の船に日本語で書かれたライフジャケットがあるのかというと、もともと、MVラディアントメッドは波止浜造船という日本の会社が1970年に建造した「シュンセイマル」という船で、村上海運がオーナーだったのですが、1977年にオーナーチェンジされ「MVラディアントメッド」と改名されたそうです。それで日本のものが備品として置いてあったのだと思われます


最後に砦からクアイン湾を見ていると、何隻もの船が見えました。


◆日本庭園がある「ソーマレズ公園」
今度は西海岸から東に移動して、3つ目の目的地であるソーマレズ公園に向かうので、91系統「Vazon Bay」行きのバスを待ちます。


バスが到着。

ガーンジー島「Vazon Bay」行きの路線バスに乗るところ – YouTube
[embedded content]

到着したバスに乗り込み、西海岸を左手に見ながら進んでいきます。


途中でバスを乗り継ぎ。


ソーマレズ公園に到着しました。


ソーマレズ公園は島内で最も大きい公共公園で、民俗衣装博物館、カフェ、遊具、芝生、池などがあります。


とにかく広い園内をてくてく。


犬の散歩をしていた女性に「日本から来たの?ここには日本の庭園がありますよ」と教えてもらったので行ってみます。


歩くこと数分。「ガーンジーのリトル・ジャパン」という看板を発見しました。


1876年から東京のイギリス公使館で3年間赴任したジェームズ・セント・ヴィンセント・サウマレス氏(第4代ソーマレス男爵)は、日本人大工を呼び寄せ、ガーンジー島に日本邸宅を建設したそうです。


建物は第二次世界大戦中に荒廃し、破壊された後に撤去されました。しかし、同氏が持ち帰った日本の植物は今でも残っています。


付近の看板に「Japanese Walk」と書いてあったので、見に行ってみます。


ヒノキでできているような建物が現れました。


1935年に建てられたこの建物は占領中に損傷し、1989年に大規模な修復が行われましたが、2016年の調査で大規模な工事が必要であることが判明し、2019年から閉鎖されていました。2年間の修復工事を経て、2021年9月17日から一般公開を再開しています。


◆日本料理店と、日本のアニメグッズを販売するゲームショップ
4つ目の目的地は日本料理店。バスで街の中心部へと向かいます。


セントピーターポートに着きました。


日本料理店を探して散策。


見つけました。日本食のある居酒屋「Fukku Izakaya」。ここは2022年4月29日にオープンしたばかりです。


店内に入ってみたところ、内装からは特に日本っぽさを感じません。


しかし、店内の照明がしょうゆ差しの形をしていました。しょうゆ差しライトの奥にあるメニューを見ながらイカの天ぷら、たこ焼き、チキンカツカレー、味噌ラーメンを注文。


まず、イカの天ぷらとたこ焼きが到着。


ラーメン


そしてカツカレー。寿司、天ぷら、ラーメン、たこ焼きは他の島にもあることが多いのですが、カツカレーを見つけたのは初めて。どれも、普通においしく食べられました。


お腹もいっぱいになったので、最後の目的地である、日本のアニメグッズを販売するゲームショップを探して街中を歩きます。


ガーンジー牛の銅像の奥のお店では、ガーンジー牛乳を売っていました。日本ではガーンジー牛の飼育牧場が3か所しかないこともあってジャージー牛乳の方が有名ですが、ガーンジー牛乳は高い栄養価とすっきりした後味が特徴とされています。


ゲームショップ「Just Games」を発見。


店内を見て回ります。


「ONE PIECE」「鬼滅の刃」などのフィギュア。


イワコーのおもしろ消しゴムもありました。


◆ドメイン島巡りにトラブルはつきもの
今回、限られた時間内で5個の目的地を全て順調に回れたのは、Google Mapのルート検索を使っていたから。無事に何事もなく終わり、あとは空港に行くだけです。


Googleマップを参考にしつつ空港行きのバスを待ちます。


しかし、なかなか来ません。・・・・・・なんと、乗る予定のバスがその日に限って運休、その後に到着したバスも行き先表示を間違えていたり、表示を忘れていたりで大混乱。


周りの人やバスの運転手さんに聞き回り、ようやく空港へ向かうバスへ乗り込むことができました。


というわけで、ローカル路線バス乗り継ぎの旅inガーンジー島、無事にゴールです。


飛行機の出発時刻にも間に合いました。


◆街で見かけた「.gg」ドメイン
それぞれの国には、「ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)」という、国ごとに割り当てられたドメインが存在します。「ドメイン島巡り」は、そんなccTLDの中でも「島国」に割り当てられている約50種類のドメインに焦点をあて、実際にそのccTLDが割り当てられている島国を訪れて現地の魅力をレポートすると共に、「現地でそのドメインがどのように使われているのか?」を調べるのが目的です。ガーンジー島に割り当てられているccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は「.gg」。「Good Game」の頭文字であることから、ゲームやeスポーツ業界で人気のドメインです。

ガーンジー島では様々な業種で「.gg」が使用されていました。

理髪店


オーガニック専門店


コワーキングスペース


タピオカ専門店


今回何度もお世話になったバスも、「.gg」ドメインが使われていました。


◆海外用のeSIMを購入して現地のネット速度を計測してみた
ドメイン島巡りでは、2018年6月から2020年9月まで、SIMカードを現地調達してその購入の様子を伝えてきました。しかし、販売店を探したり購入手続きに意外と時間を取られるので、第29回のジャージー島からはeSIMを採用。eSIMに切り替えたことで、簡単にガーンジー島で使える回線を契約できました。

ガーンジー空港でeSIMの速度を計測してみると、74Mbpsでした。


海外に行く予定のある方は以下のnoteも参考にしてみてください。

2022年、最強の海外用eSIMはコレだ!海外用Wi-Fiはやめておくべきこれだけの理由|株式会社インターリンク
https://note.interlink.blog/n/nbc08ddc8169e

というわけで、今回のドメイン島巡りで訪れた場所は以下のGoogleマップ上でまとめて確認可能です。

また、「ガーンジー島まで実際どうやって行けばいいの?」というアクセスの詳細はここから確認可能。

ドメイン「.gg」、「co.gg」、「net.gg」、および「org.gg」の詳細や申し込みについては、以下のリンクから確認できます。

ggドメイン登録 (ガーンジー) | 世界のドメイン取得、コンサルティングならGonbei Domain(ゴンベエドメイン)
https://www.gonbei.jp/reg/domain_detail.cgi?p1=gg


co.ggドメイン登録 (ガーンジー) | 世界のドメイン取得、コンサルティングならGonbei Domain(ゴンベエドメイン)
https://www.gonbei.jp/reg/domain_detail.cgi?p1=co.gg


net.ggドメイン登録 (ガーンジー) | 世界のドメイン取得、コンサルティングならGonbei Domain(ゴンベエドメイン)
https://www.gonbei.jp/reg/domain_detail.cgi?p1=net.gg


org.ggドメイン登録 (ガーンジー) | 世界のドメイン取得、コンサルティングならGonbei Domain(ゴンベエドメイン)
https://www.gonbei.jp/reg/domain_detail.cgi?p1=org.gg


(文・写真:インターリンク https://www.interlink.or.jp/
ドメイン島巡り https://islanddomains.earth/)

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