1. JPCERT/CCがマルウェア「Emotet」に注意喚起
ランサムウェアによる攻撃で電子カルテシステムに障害を起こしたことから、診療を一部停止していた大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)については先週もこの項目で扱った。その後、一部の診療が再開されたようだ。しかし、システム復旧のめどは立たないようで、引き続き外来診療は停止していると報じられている(ITmedia)。こうした状況から、その受けた被害は甚大とみられる。
また、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)はマルウェア「Emotet(エモテット)」について注意を促している(INTERNET Watch)。それによると、「7月中旬よりEmotetの感染に至るメールは国内で観測されていなかったが、11月2日よりメールの配布が観測されている」ということだ。Emotetは「メールに悪性なxlsファイル(Office文書ファイル)、あるいはxlsファイルを含むパスワード付きのZIPファイルが添付され」ていて、「受信者がxlsファイルを開き、マクロを有効化することで感染を起こす手法」とされている。こうした手法にも引き続き警戒が必要。
ニュースソース
- サイバー攻撃受けた医療センター、4日から手術を一部再開[ITmedia]
- 11月に入りマルウェア「Emotet」の感染に至るメールが観測される、JPCERT/CCが注意喚起 特定のフォルダーにコピーしてから実行するよう促すxlsファイルも[INTERNET Watch]
2. イーロン・マスク氏による買収後のツイッターの施策
イーロン・マスク氏による買収が完了したツイッター社だが、リストラやシステムの変更などでの混乱が見られる。
報道によれば、世界中で数千人のツイッターの従業員が解雇されたという。とりわけインドでは90%に上り、「約200人いたツイッターの従業員は約12人にまで減らされた」ともされている(BUSINESS INSIDER)。
また、ユーザーにも影響が生じているようだ。「ツイッターの利用を実際にやめる人が増えているようだ。外部企業の推計では、10月27日から11月1日の間に通常の倍以上のユーザーがツイッターの利用をやめているという」とも報じられている(MIT Technology Review)。
サービスとしてのツイッターは買収前からイーロン・マスク氏が問題視していた「なりすましアカウント」の問題に着手している。まず、「認証バッジの付与プロセスを見直すことを表明。米国一部メディアでは、有料サービスの『Twitter Blue』(日本では未提供)を利用すれば認証バッジを得られる仕組みが導入される」としている(ケータイWatch)。なりすましアカウントは永久に凍結するともしている。さらに、プロダクトマネージャーであるエスター・クロフォード氏は「企業が運営するTwitterアカウントのような、いわゆる“公式アカウント”について、Official(オフィシャル)ラベルを導入する」という考えを表明した(ケータイWatch)。これは「認証マークを持っているアカウント全てに付与されるわけではなく、政府や企業、ビジネスパートナー、主要なメディア、出版社、一部の著名人などに付与される」というもの。
そのようななか、「米国時間11月9日、公式アカウントに灰色のチェックマークを短時間だけ導入した」と報じられた。これは「有料化が始まった青色のチェックマークとは異なるもの」だが、なんと「灰色のチェックマークは、導入後すぐにアカウントから消えてしまった」とされている(CNET Japan)。イーロン・マスク氏は「Twitterは今後数カ月にわたって多くの愚かなことを実施するだろう」ともツイートしていて、「うまくいくものは残してそうでないものは変えていく」という考えのもとの動きとみられる。
そして、「長文テキスト添付機能の開始により、『馬鹿げたノートパッドのスクリーンショット投稿は終わり』」と述べ、長文のテキストを投稿できる機能を予告している(Impress Watch)。
ニュースソース
- 「なりすましTwitterアカウントは永久凍結」イーロン・マスク氏が明言[ケータイWatch]
- Twitter、企業やメディアアカウントには「オフィシャルラベル」[ケータイWatch]
- Twitter、公式アカウントに灰色のチェックマークを追加し、すぐ廃止[CNET Japan]
- Twitter、長文投稿に対応へ 「メモ帳スクショは終わり」とマスク氏[Impress Watch]
- インドのツイッターは残り12人?…イーロン・マスク、従業員の90%をレイオフ[BUSINESS INSIDER]
- ツイッター、イーロン・マスク買収で100万人規模減少か[MIT Technology Review]
3. 「プラチナバンド再割当て」は実現するか?
総務省の「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース」から報告書案の概要が公開された。このなかでは「プラチナバンドの再割当て」に関する基本的な考え方などが示されている。その骨子として「電波の再割当て(今使っている会社から別会社へ移すこと)の移行期間について、基本的な考えとして『標準的な移行期間は5年間』」とし、中継装置(レピーター)の交換にあたっては「交換費用は、既存企業の負担が原則となっているが、新規割当の会社の希望により、既存企業が移行計画外の工事をする場合、新規割当の会社が費用を負担することが適当」とされた(ケータイWatch)。
プラチナバンドの再割当てを求めてきた楽天モバイルは「新規参入事業者の主張が費用負担や終了促進措置の観点でおおむね反映された」とコメントしている(ITmedia)。また、NTTドコモの井伊社長は決算説明会の席で「現実にできるかが次の課題。実現可能な方法をお互い探していく作業がこれからも続くと受け止めている」と述べた(ケータイWatch)。
総務省はこのタスクフォース案に対する意見募集を11月10日~12月9日まで実施している。
4. ドコモがWeb3領域に6000億を投資
NTTドコモがWeb3領域に今後5年から6年で5000億円~6000億円を投資すると発表した。いよいよ大企業もこの分野へ大きな資金を投入し始めた。
「ブロックチェーン・ウォレット」「暗号資産交換」「トークン発行」「セキュリティ」などの基盤技術を「Web3 Enabler」として整備する。また、Astar Networkとアクセンチュアと提携し、DAO(分散型自律組織)型のアプローチで、他の業界や他の業種からも参加を募ることにしている。2023年には、そのための新会社を設立するとしている(Impress Watch)。
ニュースソース
- ドコモ、Web3に6000億の投資 「日本発グローバルデファクト」へ[Impress Watch]
5. リストラや新規採用の停止など景気後退の影響を受ける大手IT企業
コロナ後のインフレやそれによる経済環境の後退は大手IT企業の経営にも大きな影響が及んでいる。
フェイスブックを運営するメタは「全従業員数の約13%に相当する1万1000人超の従業員を解雇する」と発表した(CNET Japan)。同社のレイオフは「18年に及ぶ歴史のなかで初めての大規模な人員削減」と報じられている。景気後退による広告収入の大幅減少だけでなく、ショート動画アプリ「TikTok」との競合も厳しくなっているようだ。また、メタバース事業への拡大を表明し、社名まで「メタ」に変更したが、大きな柱になっているとは言いがたい。
また、アマゾンも「経済の先行きが不透明なことから、今後数カ月にわたり従業員の新規採用を停止する」と発表したことが報じられている(CNET Japan)。その理由として「第3四半期におけるAWSの売上増加率が27.5%に減速」し、「新型コロナ、為替レート、地政学的緊張、景気後退、インフレ、金利、世界的な労働力不足、サプライチェーンの問題、世界情勢のほか、インターネット、Eコマース、クラウドの成長率」などをリスク要因としている。
ツイッターもイーロン・マスク氏がリストラに着手し、すでに数千人規模でのリストラを発表している。
これまで右肩あがりで成長を続けてきたIT関連の産業もここにきて試練のときを迎えている。
ニュースソース
- Meta、従業員1万1000人超を解雇へ–全体の13%に相当[CNET Japan]
- アマゾン、新規採用を数カ月停止へ[CNET Japan]