米国シャスタ山の山頂を覆う雪、猛暑のせいで例年より早い時期になくなる

GIZMODO

21世紀に入ってから、シャスタ山の氷河は半分以下に…。

万年雪を頂いているはずの米国カリフォルニア州にあるシャスタ山の峰々が、猛暑干ばつのせいでそれとわからないほど変わり果ててしまいました。このような気候が続けば、この山にある氷河が永久に消失してしまう恐れがあると専門家たちは心配しています。

気候変動が進めば「真夏でも白い雪に覆われている山」といったの美しい景色は見られなくなります。今年のシャスタ山がまさにそうでした。

熱波と干ばつで万年雪がほぼ消える

北カリフォルニアの風光明媚な土地にあるこの火山の最高峰は標高4332メートル、カスケード山脈でも2番目に高い山です。シャスタ山の峰々はたいてい万年雪に覆われていて、雪が融けてしまう年も融け始めるのは夏の終わりか秋の初めになってから。しかし、今年は7月と8月には峰から雪がなくなったとWashington Postは報じています。

シャスタ山スキーパークはFacebookに、「今年の夏は違います」と投稿。「この前の冬に得た積雪量は例年の50%でした。後に木々の間に留まる雪は、太陽と風から守られます。山に降って風と太陽に晒された雪は、すぐに吹き飛ばされてしまいます。夏がやってきても雪はあまりない状態で、日光と猛暑が残りを片付けたのです」と説明していました。

この例外的な雪の少なさの要因は、たび重なった異常な暑さと極度の干ばつ、そして絶え間ない熱波です。どれもこの夏、太平洋岸北西部を襲った気象現象で、同地域は6月に前例のない熱波にも見舞われています。夏の間、気温は高いままで、カリフォルニア州全体が観測史上最も暑い夏を経験しました。

Washington Postによれば、夏の早い段階で麓のマウントシャスタ・シティと高地との両方が何日も記録的な暑さに見舞われたとのこと。標高1067メートルで39.4℃に達した日が2日あったとか。標高2316メートルでは気温25~29℃となった日も珍しくなかったそう。

雪がそんな気温に晒されるとどうなるかは書くまでもないでしょう。ニコルズ大学の氷河学者で気候変動のスペシャリストMauri Pelto氏は、シャスタ山の標高3658メートルより上で「目を見張るほどの雪塊が減少」したとmtshasta newsに語っていました。

氷河もみるみる縮む

景観の美しさが損なわれるのは別として、雪がないことの問題は氷河の融解を防ぐ保護する層を取り去ってしまう点にあります。この山には氷河が7つあって、最も大きいホイットニー氷河(カリフォルニア州でも最大)はこの16年の間に全長のおよそ4分の1、約800メートルも後退しています。

シャスタ山スキーパークいわく、「山の北側から見える氷河は、今年は非常に速く融けている」とのこと。「これによってラハー(火山泥流)が山を下って、道路と橋が通行できなくなりました。気候変動の影響は一目瞭然です」と綴っています。

ホイットニー氷河は今年だけで総体積の20%を失い、今では2つに分割してしまったとWashington Postは報じています。氷河が回復できないんじゃないかと心配するPelto氏によれば、この山には世紀の変わり目には4.6平方キロメートルの氷河氷が存在していたのに、およそ半分がすでに消失しているそう。

しかし、地質学者のNick Caselli氏はエルニーニョ現象とこの地域の降水量次第では、前述の氷河が急速に拡大する可能性もあるとmtshasta newsに語っています。

わずかでも希望があるのは喜ばしいことですが、シャスタ山の山頂の雪と氷河が今後どうなるのかシビアに見守っていく必要がありそうです。

Source: Washington Post, Mount Shasta Ski Park, L.A. Times, Daily Bruin, mtshasta news,