クローガー の第1四半期、利益率を押し上げたのはリテールメディアとプライベートブランド

DIGIDAY

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スーパー大手クローガー(Kroger)は、プロモーションが増加しているにもかかわらず、プライベートブランドの堅調な販売実績と、リテールメディアなど代替となる収益源への投資により、第1四半期決算において粗利益率を改善することができた。

特に、同社のリテールメディア部門であるクローガープレシジョンマーケティング(Kroger Precision Marketing、KPM)は、デジタルでの買い物客からのエンゲージメントが13%増加したと、第1四半期の決算説明会で述べた。

これについて、「リテールメディアが主導している」と、同社の最高財務責任者を務めるガリー・ミラーチップ氏は決算説明会で宣言した。「食品、健康、燃料事業が生み出す大量のトラフィックとデータが、代替利益の力強い成長を支え続けている」。

代替収益事業の成長

多くの顧客がプロモーションを求め、価格上昇に対処するためにクーポンに頼る時期に、これらの代替となる収益源は同社の利益をより多くの生み出すのに役立っている。第1四半期に「プロモーションによって生み出された売上は約380ベーシスポイント増加し、デジタルクーポンの利用は1億8000万枚に増加した」と、同社のCEOを務めるロドニー・マクマレン氏は述べた。しかし全体的に見ると、第1四半期の利益率は改善し、純利益は前年同期比の6億6400万ドル(約943億円)から9億6200万ドル(約1370億円)へと45%近く増加した。一方、粗利益率は、前年同時に26ベーシスポイント減少したのに対し、今期は21ベーシスポイントの増加に転じた。

同社は、全体的な数値についても肯定的な見方をしている。「クローガーの第1四半期の結果は、厳しい運営環境における当社の事業モデルの耐久性を証明している」と、ミラーチップ氏は述べている。同社の第1四半期売上は、前年同期比1.3%増の451億7000万ドル(約6兆4100億円)だった。1.3%増の451億7000万ドルだった。

マクマレン氏は、店舗でしか買い物をしない顧客も、クローガーのモバイルアプリやウェブサイトから一連の買い物の流れを開始すると語る。その理由のひとつが、お買い得品を探すためだ。これらの顧客はオンラインでクーポンを集め、行きつけの店舗用にカスタマイズした買い物リストを作成している。「当社は、この行動を重要視している。デジタルに参加するようになった家庭はより熱心で、当社から約3倍多く消費するようになり、クローガープレシジョンマーケティングのような代替利益事業の成長に貢献しているためだ」と、同氏は述べる。

成長過程にあるリテールメディア事業

リテールメディアは、収益を増やすための投資対効果の高い方法であることが明らかになっている。「長期的に利益率を改善する我々の戦略には、サプライチェーンを効率化するテクノロジー活用、フレッシュ(Fresh)の機能改善、アワーブランド(Our Brands)の拡大、デジタル収益性の改善、リテールメディアの成長など、多くの要素がある」と、ミラーチップ氏は述べる。

それでも、クローガーの広告事業の拡大は予測されていたことではあるが、同社にとって大きな収益源ではないと、フォレスター(Forrester)のシニアアナリストを務めるスカリタ・コダリ氏は語る。「クローガーは1500億ドル(約21兆3000億円)の企業で、広告はそのうちの10億ドル(約1420億円)にも満たない。そのため、広告事業が目に見えるような影響をもたらすことはしばらくはないだろう」と、同氏は述べている。

クローガーは今年、リテールメディア事業を別の方法で拡大しようとしている。同社は5月、実店舗におけるクーラースクリーンズ(Cooler Screens)の運用開始を公表した。「クーラースクリーンズの革新的なスクリーンは、従来の冷蔵庫や冷凍庫のドアをデジタルオーバーレイに置き換えるもので、商品に関する情報を顧客に表示するだけでなく、KPMが厳選した広告も表示できる」と、ミラーチップ氏は説明している。4月には、同社のリテールメディアネットワークとディズニー(Disney)との新たなコラボレーションを発表し、ディズニーのコネクテッドTV広告のポートフォリオに、同社のターゲティングと測定機能を導入した。

アルバートソンズとの合併

しかし、おそらくクローガーのリテールメディア事業をもっとも大きく後押しすると予測される動きは、大手スーパーマーケットであるアルバートソンズ(Albertsons)との合併だろう。両社が統合した新しい法人は、約8500万の家庭にリーチできると、両社は以前語った。マクマレン氏はアルバートソンズとの合併について、決算発表の場で多くの新しい情報を語らなかったが、「統合計画は順調に進んでおり」、2024年前半には契約が締結される見込みであることだけ明かした。

クローガーは広告の成長以外に、アワーブランドと呼ばれるプライベートブランド事業もこの第1四半期に利益を上げた。同社のプライベートブランドのポートフォリオは、インフレによって消費者がナショナルブランドの商品よりも安い商品を選んだことで成長したと、マクマレン氏は述べている。

「最近の四半期で見られるように、顧客は毎週の特売品やイエロータグキャンペーンなどのロイヤルティ割引の利用、幅広い品揃えのアワーブランドの購入、パーソナライズされたデジタルクーポンや燃料特典の利用を通じて節約している」と、マクマレン氏は述べた。

[原文:Retail media & private label are helping boost Kroger’s margins]

Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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