
世界のインフレが止まらない。米労働省が2月10日に発表した1月の消費者物価指数(CPI)は前年比7.5%上昇した。昨年12月(7.0%増)から伸びが加速し、1982年以来40年ぶりの高水準となった。足元の原油高も高インフレを助長しており、欧州でも同様の状況だ。
インフレ予想の高まりを受け、世界の金融市場で金利の上昇が顕著になっている。米国では長期金利の指標となる10年物国債利回りが2年半ぶりに2%台となった。米連邦制度準備理事会(FRB)が今年3月に利上げを行うことも確実視されている。
新型コロナウイルスのパンデミック下で世界各国は拡張的な財政金融政策を実施し、債務を膨らませてきた。国際通貨基金(IMF)は昨年12月、「世界の債務は過去最大に膨張し、金利が上昇するようになれば、その持続可能性についての懸念が高まる」と指摘していたが、いよいよ緩和局面に転機が訪れようとしている。
FRBをはじめ世界の中央銀行が金融引き締めに舵を切ろうとするなかで、世界各地で高騰する住宅価格に注目が集まっている。住宅ローンによる不動産投資ブームのせいで世界の家計債務が55兆ドルと過去最高となっているからだ。
米国の30年物住宅ローン平均金利が2月に入り急上昇し、2019年10月以来の4%台となっている。低金利を奇貨として多額のローンを抱えた家計は金利上昇局面で打撃を被ることから、過熱した住宅市場に急激な調整が起きると懸念されている。
住宅価格、前年比23.9%上昇
世界のなかで最も激しい不動産バブルが生じている国の一つに韓国がある。英不動産情報会社ナイトフランクが昨年12月に公表した「世界住宅価格指数」によれば、韓国の昨年第3四半期の住宅価格は前年比23.9%上昇し、調査対象となった主要56カ国で上昇幅が最も大きかったという。
韓国銀行(中央銀行)も「昨年の国内の不動産価格のバブルは25年ぶりに最も大幅に増えた」との見解を示した。ソウルの不動産価格は市民の平均所得の18.5倍と過去最高となり、韓国の家計負債の総額はGDPの120%に達している。
文在寅大統領就任後の4年間でソウルのマンション価格は2倍近くに高騰したといわれている。文氏は大統領選で公約に掲げた「住宅価格の安定」を実現するため、さまざまな不動産政策を講じてきたが、住宅価格の高騰を抑えることができなかった。政権内で諦めムードが漂い始めていたが、ここに来て「この異常な不動産バブルは近いうちに崩壊するのではないか」と危惧する声が高まっている。
KB国民銀行が昨年12月下旬に発表した「売買取引動向」で、全国3722カ所の不動産業者のうち「取引が活発だ」と答えたところはなく、96.4%が「閑散としている」と回答したことが明らかになったからだ。
取引の減少は不動産市場が上昇から下落に転換する重要なシグナルだ。首都ソウルのマンション価格でさえ今年1月下旬から下落し始めている。銀行をはじめとする金融機関が、不動産購入の主役である家計向けの融資を絞り始めていることが影響している。

