7000万円も払ってスポンサーをやる価値がオリンピックにあるのか? 社長10人に聞いてみた

ロケットニュース24

贈収賄事件に揺れる東京オリンピック。AOKI5100万円(現状)、KADOKAWA約7000万円と、現時点で分かっているだけでも半端じゃない裏金が動いていることが報じられている。この2社の賄賂だけでも私(中澤)の生涯年収を軽く超えているんじゃないだろうか。

ここで素朴な疑問。7000万円も払ってスポンサーをやる価値がオリンピックにあるのだろうか? 社長10人に聞いてみた。

・私が意味ないと思う理由

だって、どう考えても収支が合ってない気がするのだ。そもそもスポンサー自体が金を払うポジションである。金を払うポジションに就くために、金を払うって、冷静に考えると意味が分からない。ATMちゃうんやから。

公式グッズが出せるとか、合間のCMとかで、賄賂+莫大なスポンサー費を払うほどの利益があるような気がしない。長野オリンピックの頃ならともかく、2020年の東京オリンピックなんて、我々ロケットニュース24はマスコットキャラの名前も知らなかったくらいだし。

もし、万が一、ロケットニュース24がJOCから名指しで「スポンサーやってください」と言われたなら、社を挙げての一世一代の決断になるに違いない。清水の舞台から飛び降りる的な。では名誉のためなのかと言うと、賄賂しちゃってる時点で名誉的なリスクがデカすぎないだろうか

・社長に聞いてみた

庶民の私からしたら、賄賂を渡してまでスポンサーをやる意味がマジで分からない。そこで私とは違う世界に住む社長10人に「意味があるのか」を聞いてみた。

話を聞いたのは、ベンチャー企業から、制作会社、IT系、料理屋、ラグジュアリーなバー、化粧品、人材派遣業、広告代理店など、様々な経営者10人。中には私と同じような見解から「自分だったらやらないかなー」と答える人もいたが、なんと多くの人は、利益追求だけを考えるなら意味がある派。その答えはまとめると以下の通り。


「税金払うくらいならオリンピックに使った方がコネもできるし意味がある」


「会社で広告予算が割り当てられているが、使い切らないと来年から出なくなる可能性があるから、広報的には使い切りたい。その使途の1つ」


「アニメ1作品をちゃんと作るのに5億から10億かかる。それでスポンサーの露出はあれだけ。アニメが売れるかどうかも賭け。そのことを考えると、ウン千万でオリンピックは破格。ワールドカップでさえ、出場する国の人しか見ないが、オリンピックはほぼ世界中が関わっているからアピールできる範囲も唯一無二」


「KADOKAWAほど大きいと、色んなことをやっている。オリンピックの期間に裏で進行しているイベントも全部注目される。したがって、総合で見るとプラス」


「オリンピックの公式スポンサーをやれるくらいの「ちゃんとした企業」という箔はデカイ。なんだかんだでオリンピックのスポンサーは好感度最強。並ぶものもない」


「スポンサーになれる立場で、オリンピック用の広告費が会社で用意されていて、電通のこの人に払うだけで確約されるってところまでお膳立てが整っているなら、払う人はいるかもしれない。金を動かすだけで、大きな仕事をした感じになるから。そういう実績の残し方をする人は現実問題いるし」


──とのこと。個人的にはアニメと比較した話が1番しっくり来た。あとは最後の仕事した感の話も身近。よく見たら大したことは何もやってないのに、社内政治で良い扱いを受けてる人がいるのは会社あるあるだ。ミクロな話で言うと、そういうことも関係してくるのかもしれない。

最後に、「当事者が賄賂にあたると気づかずに払っている可能性はあると思うか」と聞いてみたところ、全会一致でこう返ってきた。「それはない」と

というわけで、好感度を上げる狙いもあってオリンピックのスポンサーになっているはずが、好感度が地に落ちてしまった本件。いくら利益が出るといっても賄賂はリスキーすぎる。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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