6月末に発表されたNVIDIAのGeForce GTX 1630は、Turingアーキテクチャを採用するGeForce GTX 16シリーズに追加されたローエンドGPUだ。
今回は、同GPUを搭載するビデオカード「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1630」を使って、NVIDIAの新たなローエンドGPUが持つ性能をチェックしてみよう。
ベンチマークテストやゲームでGeForce GTX 1630のパフォーマンスをチェック
ここからは、ZOTAC GAMING GeForce GTX 1630のパフォーマンスをベンチマークテストやゲームで確認する。
テスト機材としてRyzen 7 5800Xを搭載したAMD X570環境を用意。グラフィックスドライバは「GeForce Game Ready Driver 516.59」を適用した。そのほかの機材については以下の通り。
【表2】テスト機材一覧 | |
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GPU | ZOTAC GAMING GeForce GTX 1630 |
CPU | Ryzen 7 5800X(8コア/16スレッド) |
CPUパワーリミット | PPT=142W、TDC=95A、EDC=140A |
CPUクーラー | ASUS TUF GAMING LC 240 ARGB(ファンスピード=100%) |
マザーボード | ASUS TUF GAMING X570-PLUS(WI-FI)[UEFI=4403] |
メモリ | DDR4-3200 16GB×2(2ch、22-22-22-52、1.20V) |
システム用SSD | CORSAIR MP600 1TB(NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) |
電源 | Thermaltake Toughpower Grand RGB 1050W Platinum(1,050W/80PLUS Platinum) |
グラフィックスドライバ | GeForce Game Ready Driver 516.59(31.0.15.1659) |
Resizable BAR | 非対応 |
OS | Windows 11 Pro(Ver 21H2、build 22000.795、VBS有効) |
電源プラン | バランス |
室温 | 約26℃ |
3DMark
3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」、DirectX 11テスト「Fire Strike」、Vulkanテスト「Wild Life」、バスインターフェイスの帯域幅を計測する「PCI Express feature test」を実行した。
各テストのスコアは、Time Spyが「2,397」、Fire Strikeは「5,423」、Wild Lifeは「14,681」、Wild Life Extremeは「4,479」。PCI Express feature testでは「12.97GB/s」を記録した。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」をフルHD解像度の最高品質で実行した結果、スコアは「6,108」を記録した。ベンチマーク評価は「やや快適」だった。
平均フレームレートは約42.3fpsで、フルHD解像度でも60fps前後の動作を望むのであれば、ある程度画質を調整する必要がある。
モニタリングソフトのHWiNFO64 Proで取得したファイナルファンタジーXIVベンチマークテスト中のステータス情報から作成したのが以下のグラフ。
ベンチマーク実行中のGPU温度は平均48.8℃(最高52.7℃)で、ビデオカードの消費電力は平均59.5W(最高68.2℃)。GPUクロックは1,900MHz前後、VRAMクロックは約1,500MHz(=12Gbps)で安定して推移していた。
ZOTAC GAMING GeForce GTX 1630では、ブースト動作の温度リミットが83℃に設定されているので、サーマルスロットリングの作動までには30℃以上ものマージンが確保されていることになる。
レインボーシックス シージ
レインボーシックス シージでは、フルHD解像度で描画設定を「高」と「最高」にしてゲーム内ベンチマークテストを実行した。テスト時のグラフィックスAPIはVulkanで、レンダリングのスケーリングは「100」に設定している。ゲームバージョンは「Build 9014076(Steam)」
ベンチマークテストで記録された平均フレームレートは、描画設定「高」で79fps、描画設定「最高」では75fpsだった。各描画設定でのVRAM使用量目安は、「高」が2,422MBで、「最高」が6,643MB。
いずれも60fpsを上回っており、テストではどちらもVRAM使用量はGeForce GTX 1630が搭載する4GBの容量に収まっているものの、「最高」時の使用量目安は6GBを超えている。VRAM容量不足はスタッターのような描画の破綻をもたらすことになるので、実際にプレイするさいはVRAM使用量目安が4GBを超えないように画質を調整する必要があるだろう。
映像出力機能やNVECNが魅力のローエンドGPU「GeForce GTX 1630」
新登場のローエンドGPUであるGeForce GTX 1630だが、1世代前のTuringアーキテクチャを採用していることもあり、ゲーミング性能自体はそこまで高いものではない。それでもデスクトップ向けCPUが備えるiGPUよりは高性能であり、描画負荷の低いタイトルや、画質設定を低めに設定することでゲームをプレイすることはできる。
また、4K60Hz出力に対応するHDMI 2.0bやDisplayPort 1.4aといった映像出力端子や、第6世代とは言えハードウェアエンコーダのNVENCが利用できるのも魅力だ。円安の影響でGeForce GTX 1630搭載ビデオカードの価格は2万円を超えてしまっているが、今後価格が落ち着いてくれば、iGPUを持たないCPUとの組み合わせや、高精細ディスプレイへの出力ができない旧世代GPUからの乗り換え先として有力なGPUとなるだろう。
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