4630万円をガメられた阿武町は日本の縮図であり、極近い未来である

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田舎の高齢者に忖度して滅び行く日本

みなさんはご存じですか。東京の重症者はたった1人です。第5波までは感染者数は少ないのに重症がこんなに多かった。いまは感染者数がこんなに多いの重症は1400万人の東京でたった1人。グラフを見れば一目瞭然。いまの新規陽性は第5波のピークと変わらない。コロナは風邪になったのだ。

それなのに情報をアップデートできない田舎の高齢者に岸田政権は忖度して鎖国を改めない。18万人いた来日を1万人から2万人に緩和するとかいって世界中から非難を浴びている。日本はもう円安で青息吐息です。インバウンドを全解放すれば円が買われて円安に歯止めがかかり、経済も好転するのに高齢者が反対するからとなにもしない岸田が日本を潰しています。

この構図はすでに日本中に蔓延していて日本のやる気や活気を蝕み、破滅に向かわせています。今回の阿武町の4630万円間違って振り込んで返してもらえない騒動もその一環です。

阿武町ってどんなとこ?

はじめに断っておきますが、阿武町をdisるのが目的ではなく、日本全国には1,718市町村(市 792 町 743 村 183)あり、その多くが似たようなものでは無いかってことです。阿武町はひとつの例です。

まず阿武町の人口は3000人もいません。しかし山口県では5000人いないと本来は町にはなれません。

というのは、こんな感じで人口が激減し、2022年のいまは2952人。が、村に降格するのは拒否しているわけです。

なんと町の職員は50人と逆に増えています。現在も50人。つまりいまの倍近くの人口がいた時と同じ職員で回しているのです。「職員が足りない」とかあり得るのでしょうか。この人口で町議会には8人もの議員がいます。

町役場はこんなに立派。

この阿武町ですが、

阿東町以外の7町村は、萩市と共に萩広域市町村圏組合を作り広域行政を行っていたが、平成の大合併期に阿武町のみ合併協議から離脱、残りの町村は2005年3月6日から合併で新設の「萩市」となったが、単独町政を行うことを表明した。同年度時点で一般会計当初予算50%超は国から支給される地方交付税で支えられていた。

ということで、合併を拒み、拒むのはいいとして自分ではまったくやっていけてません。この合併を拒む自治体はけっこうあるのですが、多くは「既得権益がなくなるから」です。議会がなくなれば議員が減る。議員は収入は少なくても視察の名目で海外旅行などに行けたりします。

自前ではまったくやっていけない。財源の過半数を東京からの地方交付税(51.3%)に依存し、自前で賄える予算は10%台。つまり東京や国におんぶに抱っこです。しかし歳出の最大はなんと総務費。つまり町役場のコスト。そして民生費!!!

そう。この町は人口2952人しかいないのに、住民税を払っていない世帯が463世帯もあるのです。生活保護を受けているわけではなく、申告収入が少ない。ちまたではトーゴーサンと農家や漁民などの税務申告が3割しかされないという事が昔から言われていますがこの町がどうかは分かりません。

新入職員に高額の振り込みを任せて二重チェックもしない

当初、463世帯に振り込むべき4630万を間違えて20歳の新入職員が振り込んだとされていましたが、テレビの報道を見ますと、

そうではなくて、すでに10万円が振り込まれた後で阿武町の会計官から4630万円が別に振り込まれているのです。つまり462世帯はすでに10万円は支給されている。

実はこうした誤送金は他の自治体でも良くある話で数千万単位の誤送金を報道では「返却で合意した」で終わっているが、今回のことでテレビ局が取材したら「実はまだ返済されていません」みたい
な事案がゴロゴロあるのだそうだ(ソースはワイドショー)。

町長の説明はあやふやで、もっと早くに動いていれば取り返せた可能性が高いと指摘しているのにのんびりと対応していた。

町長はどんな人なのか

広島大学中退。広島市の税務署に勤務。1976年、阿武町役場に奉職。経済課長、企画課長、総務課長などを歴任。2017年4月11日告示、16日投票の阿武町長選挙に立候補し、無投票で初当選した。5月1日、町長就任。2021年、無投票で再選。

無投票で当選、再選です・・・・・・

テレビのコメント見てみても人ごとのようで詳細も経過もきちんと説明しない。どうして20歳の新入職員にそんな大金の振り込みをさせたのか。そして今どきフロッピーでの銀行依頼である。銀行だって自治体にはオンラインを依頼しているし、いまどきフロッピー持ち込まれても困るだろう。オンラインなら上長の確認も簡単だが、そもそもフロッピーディスクの読み取りができるパソコンなんてもはや世の中にほとんどないわけで、上長のPCにドライブ着いてなければ確認どうやんの?

田舎の自治体の多くは銀行がオンライン化やもうちょっとパソコン使ってくださいとお願いしても頑として拒否するのだそうだ(と、テレビで元メガバンクの人が言ってました w)

そこはかと感じるのは、

● 金はもらうもの
● どうせ消滅していくんだからしゃぶれるときにしゃぶっとく

みたいな印象である。あくまで個人の感想です! 町民だってこのペースならもう町がなくなるのは分かってるだろう。

日本の生産性の低さの要因はなにか

日本には阿武町みたいな市町村がゴロゴロあると思われる。

日本は給料が上がらない国である。その最大要因は自分は「貧困(見かけ上の)高齢者による搾取」だと感じている。

高齢者は田舎に多い。言い換えると「都会の現役と田舎の高齢者の世代間闘争」ということもできる。

都会で働く現役の給料からは、自分が払った額より遥かに多い額をもらえる高齢者の年金と、ジャブジャブの医療費のために雇用主と併せて30%も引かれる。払った税金は投資に使われるのではなく、田舎のこうした自治体にばら撒かれる。

東京都民が払った税金から16兆円も地方にばら撒かれてるんですよ。それが地方議会の議員の給料や人口が東京の八王子にも満たない県の下にある市や、町や村にばら撒かれてそれで食ってる主に田舎の高齢者や土建屋がうじゃうじゃいる。自民党の憲法改正案には、

というのが臆面もなく入っていて、人口がどれだけ減っても地方から国会に選出だそうだ。地方の意見よりいま働いている人の意見を聞けといっても票にならない。

こうしたもう先がない自治体はどんどんと合併させて経費を減らし、それで浮いた費用を国が投資に回す。教育や新規事業、新しい小型原発や、科学技術の開発に使うことができれば景気は回復し、先進国のように給料は上がるだろう。しかしそうはできないから、日本は高齢者に、そして地方に食い潰されていくのです。

わたしと音喜多君、立憲の中谷さん、自民の藤末さんの新刊がでました。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2022年5月19日の記事より転載させていただきました。

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