アニメでもマンガでもコントでもなんでもいい。真っ白い画面をバリバリ~~っと人が突き破って出てくるようなシーンがあるだろう。
今日はあれをやってみようと思う。簡単に言うと、「大きな紙を作って」「それを体でつき破る」という試みだ。
せっかくなので色々な紙で試した。シーンの再現だけでなく、体当たりして破れやすい紙種はどれかも合わせてお伝えしたい。
全紙、破る瞬間の動画付きでお届けします。
※2005年9月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
1979年東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)
> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes
イメージはこんな感じ
「真っ白い画面をバリバリ~~っと人が突き破って出てくるようなシーン」といっても、ちょっと文字だと想像が難しいかもしれない。
そこで下に図を書いてみた。ご覧下さい。
どうだろうか。あれ? もしかして、余計に分からなくなってますか。
何人かに口頭で今回のこの企画のことを説明したところ、みんな最初は何が何やらという反応ながら、概ね以下のように理解してくれた。
「ああ! クイズ番組の○×クイズで、大きな紙に○、×と書いてあって、正しい方に突っ込むと何もなく、間違えの方に突っ込むと泥水が待ってる、あんな感じ?」
そうそう! そんな感じです!
ただし今回は恐縮ながらクイズも泥水もなし。ただただ紙を突き破り飛び出したい。いいじゃないか、やらせておくれよ。きっと楽しいよ。
大きな紙を作ろう
そんなわけで、まずは破るための大きな紙を作る。
私の体がまるまるバリバリっと突き破る、そんな紙が必要だ。かなりの大きさが必要である。
大きな紙といえば模造紙だが、この試みにあっては1枚では到底足らない。1本5枚組だったが3本計15枚を用意。
さらにいろんな紙でも試すべく、ハトロン紙、新聞紙、半紙もエントリーした。破るために紙を買うなんてかなりの贅沢だ。
買った紙は全てスティック糊で張り合わせていった。セロテープや水糊だと張った部分に強度が出てしまうのではと踏んだのだ。金も頭も使ってる。意外に大人の遊びの今回である。
でかい紙について語らせてください
この張り合わせの作業、地味だがなかなか難儀した。事情で作業場が狭かったのもいけなかったが、小部屋で2時間以上と大きな紙と格闘していた。夢みたいだった。
畳みかけて、かさばる紙がたてる音の大きなこと! 特にできあがった紙を折り畳むときなど、バリバリバリっバリバリバリっと、雷かという音がした。
でかい紙は、
(1)広い部屋で作るべし。
(2)でかい音を出す。
ということが分かった。
デイリーポータルを通じてまた知識がレベルアップした!
飛び出す、その方法は
さて、そんなこんなで手間取りつつも、各種でかい紙がなんとかできあがった。いよいよ突き破りたい!
方法として、「紙を長い棒に貼り付けて→左右にピーンと張る→そこに向かって私がダッシュして→突き破る」というのを考えていた。
再び下の図をご覧下さい。
とすると、長い棒を支えてもらう人が二人必要だ。
すみませーん、どなたか私が紙を破って飛び出すのを手伝っていただけないでしょうかー!
メンバーと友に公園へ
会場は会社近くの公園。手伝ってくれる人も無事に見つかった。ニフティの吉田さんと上符さんだ。
到着すると、おもむろにお二人に物干し竿を渡す。そう、紙を張るための“長い棒”だが、適当なものがなかなか見つからず、苦肉の策で物干し竿を用意したのだった。伸縮可能、最長3mである。もってこいだ。
古賀「そうゆう訳で、お二人にはこの物干し竿に大きな紙を張って持って立っていていただきたいんです」
お二人「……。」
忙しい仕事の合間を縫って来て下さった二人。しかも私にとっては社内の先輩方である。
どうだろう。突然後輩社員に呼び出されて公園に来たら、物干し竿持って立ってろと言われたら。私だったら怒ってその物干しをやり投げの槍代わりにして投げてしまうかもしれない。
ムチャなお願いにもかかわらず、二人は引き受けることを快諾してくれた。やった!
布陣、オッケイである。
まずは肩慣らし
布陣は整ったものの、実は大きな紙を作りながら一つの不安が芽生えていた。紙各種、かなりの強度があるのだ。簡単に突き破れるのだろうか、突き破ったときにすごく痛かったりするんじゃないか。
まずはその辺の紙の案配を確かめるため、模造紙1枚を空手の木割のように拳で突き破ることにした。
案の定破れない! 自分が運動不足で筋力のないことは認めるが、それにしてもびくともしないのだ。やばい、どうしよう。
メンバーとの協議の結果、ちょっとズルのような気もするが紙に小穴を開けることにした。穴をとっかかりに豪快に破きたい目論見だ。
それでは、2発目いきます。
破れた! かなりの快感!
しかし、紙が真二つに裂けてしまった。もっと、円のように破けてそこから拳が突き出る感じをイメージしていたのだが……。紙を破るという行為がこれほど難しいとは。
次ぎは小穴は開けず、全体的に濡らしてからやってみることに。
ではでは、水で濡らした3発目です。
今度は破れる範囲が水に濡らしたところだけに。うーん。
紙を破る難しさを実感しつつも、これで全員が作業に慣れてきた。物干し竿に紙をセットするコツのようなものも分かってきた。
もう、面倒なことは考えず、勢いにまかせて大きな紙に突っ込んでみればいいじゃないか! そんな大きな気持に。
作ってきた紙、外に出して広げるとあらためてその大きさが分かる。してやったりだ。
「うわっ、すごい風受けるなこれ!」
紙の突っ張り係の二人は強風を受けると立つのもつらそうだ。先ほどまでの模造紙1枚とは比べようのない異世界感があたりを覆った……!
それぞれの紙のやぶれっぷり
破った。破りましたとも、用意した紙全て! なんというか、もう、あとはどうか見てやっていただければ幸いです。もう「わー」「すごい!」「やった!」ぐらいしか書くことがないのだ。
とにかく破りまくった。なんだかもったいないなと思いながら次々と。
最初の新聞紙は、予行練習を踏まえ小穴を開けて挑戦。では、どうぞ。
破る#1 新聞紙
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飛び出した、というよりも夢中で駆け抜けたかたち。バリバリという音が耳に響いた。おおー。
続いては半紙。薄い紙だけに逆に思い切り破るのを躊躇してか、なんだかスローモーションのように破っている。一部お腹が出て見苦しいですが、どうかお許し下さい。
破る#2 半紙
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この半紙、破った後のかたちが全ての紙のなかで一番マンガっぽかった。そうそう、こうゆう感じをイメージしてたのだ。
1枚1枚、合計36枚を丹念に張り合わせた甲斐があったというものだ。
さて、佳境である。登場するのはハトロン紙。強度が高く包装などに使われる紙だ。900mm×1200mmのものを6枚使った。高さは2メートル40cmである。
「うおお、でけえ」
広げると、誰ともなく声がもれた。作った私も広げてみて改めてでかさに驚きだ。もったいないが、破らせていただく。
ひるむことなく、勢いよくズバッといってみましょう。
破る紙 #3 ハトロン紙
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だんだん、「駆け抜ける」のではなく「飛び出す」コツがつかめてきた感じだ。
ただ、物干し竿にセッティングする際に左右のバランスがすこし悪くなってしまい、上手に前面を使うことができなかったのが少し残念といえば残念か。
このハトロン紙の経験を踏まえ、この日最後の紙、模造紙8枚を使った大作は下辺を完全に地面にくっつけて、できるだけ紙の中央から飛び出せるようにした。
動画も白い画面のアップで、本日一番のおすすめ映像となっております。では、どうぞ。
破る #4 もぞう紙
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以上、4枚のでかい紙を破いてみました。もう何も言うまい。あとはそれぞれで感じて欲しい。ドントシンク、フィール。
達成感でほぼお腹も一杯というところだが、せっかくのチャンスだ。紙意外の素材も同じ方法で破ってみることにした。
それにしても、破る行為自体は派手なものだが、公園での作業は地味そのものだった。破いてはその紙を物干しから外し、次の紙を装着する。
吉田さんと上符さんは各作業、非常に手際よくぬかりなく進めてくださり、むしろ私がわたわたしてしまっていた。
「あ、風来るぞ、一旦畳もう!」
「風がやんだスキをみて破りましょう」
「紙、セロテープで固定したら、2,3回物干しに巻き込んで強度を高めた方がいいな」
物干し竿に紙を固定させる世界ランキングがあったら、1位と2位をこの二人が独占することは間違いない。
変わり種2品
紙以外に用意したのはアルミホイルとサランラップ。どちらも、普段使う際にふいに破けてしまってイライラしがちだが、今日という今日は豪快に破いてやる意気込みだ。
貼り合わせて公園に持ってくると、運ぶうちに破れることが予測されたので、何も用意はせず公園まで持ち込んだ。そのまま引き出して、横に5枚巻き付ける。
さて、紙のように小気味よく破れるか。どうぞ。
破る #5 アルミホイル
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手から突っ込めば良かったと、今こうしてVTRを見てから気付いた。何を思ったから胴体から突っ込んでいる。紙と同じテンションでは突撃できない何かがアルミホイルにはあるようだ。
続いてラップ。物干し竿を立てて、ぐるぐる巻き付けるようにセッティングした。
ラップの膜を目の当たりにすると、突き破れ! というよりも、くるまれろ! という気がしてくるが、さて、どうでしょう。
破る #6 ラップ
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ここでもやっぱり胴体から突っ込んでしまった。アルミホイルやラップには、どうしても“くるむもの”という意識があるのかもしれない。
こんな意識がただ突き破るだけの行為に影響するとは。習慣おそるべし、だ。
……はっ! しまった! オマケのつもりでやってみたホイルとラップが今回の企画を何だか余計わけの分からないものにしてしまっていないか。
マンガみたいに突き破るのは、素材としては紙が一番です。身を以て体験して、自信を持ってお勧めします。
野外活動が心地良い、秋の季節。フリスビーやキャッチボールもいいけど、こんなリクリエーションもあるよ、というご提案でした。
やったった! その一言である。言ってしまえば、発見や自身の成長には全く結びつかない今回の試み。ただ、もう、やったった! としか言いようがない。
それにしても、破りカスの紙のもったいないこともったいないこと。何かに使えやしないか。とりあえず、今度は小さく小さく分割してメモ用紙にでもしようと思います。