流行は繰り返されるものならば、そろそろ昭和ど真ん中なヘアスタイルが流行るに違いない。聖子ちゃんカットやソバージュヘア、そして……アイパーリーゼントの波が再びやって来るだろう。というわけで今回は、ブームを先取りしてアイパーをかけてみることに。
アイパーリーゼントとは、1980年代に一世を風靡した不良映画『ビー・バップ・ハイスクール』でもお馴染みの髪型。つまり、当時のツッパリを代表する危ねぇヘアスタイルである。それではいくぜ……現役ヤンキーもシャバ僧(真面目な学生)も刮目せよッ!
・所沢でアイパー
昭和ヤンキーのヘアスタイルをオーダーしたのは、埼玉県所沢市の「ヘアスタジオガイズ」。西武新宿線「新所沢駅」から徒歩約10分の場所にある理容室で、アイパーやパンチパーマ、ニグロパンチなどなど……ザ・昭和な髪型を得意とする有名店である。
というのも、店主の鈴木さんは平アイロンを使って「クラシカルバック」なる髪型をつくるコンテストに出場していた選手。この道数十年のベテラン選手だ。クラシカルバックとは、平らの頭頂部ラインとボリュームある後頭部が特徴の伝統スタイルで、ほぼリーゼントらしい。
でもって、昨年11月には『ビー・バップ・ハイスクール』の伝説キャラ “城東のテル” こと白井光浩さんも来店し、約35年ぶりにアイパーをかけたという。おいマジかよ、聖地じゃねえか。あぁぁぁぁあん(テルの口癖)? とにかく……ガチのアイパーやっちまいます。
・ビフォーアフター
時間がない方のために、先にビフォーアフターを紹介しておく。たったの1時間で、普通のオッサンが……
完全に生まれ変わった。
金髪リーゼントも良かったが、アイパーリーゼントも渋い。死ぬほど渋い。迫力と哀愁を感じるヘアスタイルである。もうシャバい髪型にはもう戻れないかもしれない……俺ァァ、1時間前よりはちぃぃと根性増したぜぇぇぇ。あぁぁぁぁあん?
・1時間前に戻る
──約1時間前に今回お願いしたのは「1日限定のやんちゃスタイル」だった。パーマ液はかけずに、洗えば元通りになるスタイルのこと。パーマ液を塗布すれば、だいたい30日から40日は維持できるらしい。てか、そもそもアイパーとは何ぞやであるが……
平アイロンや平ゴテを使って、ストレートヘアのままぐるっと型をつくるパーマのことらしい。「くるくる」ではなく「グイーン」というイメージだろうか。今回の場合は、左右のバランス(高さ)を整えるのが難しいポイントとのこと。カットで髪の量を調整してから……
オイルをつけて(熱から守る、滑りやすくする)、コテでグイッと曲線を描いていく。競技者として腕の見せ所。アイパーは硬くて太い髪の毛ほどしっかりかかり、柔らかくて細い髪ほどかかりが弱くなるそうだ。当然だが、全員一緒ではないから難しい。
そして中盤以降は「横になった状態」が続くため、ずっと自分の髪の毛がどのような状況なのか把握できないのもポイント。
起き上がった時に衝撃を受けることになる。おいおいおいおいウソだろ……といった風に。
・ワルい髪型ではない
そろそろ仕上げだ。「チック」と呼ばれるスティック状の整髪料で、ぱらぱらした毛を持ち上げて……
ヘアスプレーでガチガチに固めて
サングラスを装着すれば……
ご覧のとおり
完成である。
完成である。
完成である。
完成であるッ!
・肩で風を切りてぇぇ
どうだ、完璧に歴史と伝統のある最恐ヘアスタイルができあがったぞ。肩で風を切って街を歩きてぇぇ。
ただなんというか、シブい大人がバチバチにアイパーをキメることで「ワルそうな奴らの代名詞的髪型」が「大人の色気を演出するワイルドヘア」となった。これぞ昭和的リーゼントスタイル。カリスマの腕は見事であった。
1周回って何かと新鮮な昭和スタイル。当時の歌謡曲やファッションが流行りつつある今、直球ど真ん中の髪型もイケてるはず。聖子ちゃんカットもマジでかわいいし、アイパーも大旋風を巻き起こす可能性がある……よな、そうだろ? あぁぁぁぁあん?
・今回訪れた理容室の詳細データ
店名 ヘアスタジオガイズ
住所 埼玉県所沢市緑町3-12-19
時間 9:00〜19:30
休日 月曜日・第1、2、3火曜日
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.