呉座勇一氏に対する「オープンレター」に関して、署名した記憶がない人たちが、署名に名前を書かれていたということが明らかになりました。さらに、北村紗衣氏から「オープンレター」の経緯を批判する人たちの「職場」へ、内容証明郵便が送られていたことも分かりました。
そもそも名前を載せた記憶がないという人が出てきました。
今ツイッター上で話題のオープンレターに私の名前も載っていたのか。全く記憶にないのだけど。 https://t.co/dZLNkYjJYz
— 高野秀行 (@daruma1021) January 19, 2022
【重要声明】私は呉座勇一氏を巡るオープンレターについて、「賛同人に私の名前がある」と昨年末ごろ辻田真佐憲氏より連絡を受けました。私が賛同人を受諾した事実も、呉座氏との面識もありません。マネージャーにも照会した結果、承諾の事実はありません。第三者による無断使用なら厳にお控え下さい。 pic.twitter.com/Z0IyR8hulf
— 古谷経衡@新刊『敗軍の名将-インパール・沖縄・特攻』 (幻冬舎新書) 重版決定! (@aniotahosyu) January 17, 2022
オープンレターの賛同者に本学の社会学部生を名乗る人物が記名されていた件についてですが、
本学に社会学部は存在しませんので第三者による大学名の無断使用と思われます。(本学にあるのは国際コミュニケーション学部等4学部のみです。)
既に削除済みのようですので本学からは特に対応いたしません。— 国際信州学院大学 (@kokushin_univ) January 18, 2022
さらに、「オープンレター」を批判したことによって、勤務先を割り出され、北村氏から勤務先の大学に内容署名郵便が送られてきて、圧力をかけられるという非常勤講師の方の証言も出てきました。
皆様に一言御報告申し上げておきます。昨年末、勤務先宛に北村紗衣氏より内容証明郵便が届けられました。勤務先の文書として扱われております故、請求したものの文書自体は手許で所持することは出来ませんでした。私がオープンレターを巡る案件に付きまして、当事者であると申し上げます所以です。
— 雁琳(がんりん) (@ganrim_) January 20, 2022
私の北村氏及びオープンレターへの批判が決して上品でない側面を有するのは認めますし、それに対する批判も多くあって然るべきであると存じ上げます。しかしながら、批判を行う者の職業及び社会的立場を奪いかねない実力行使をちらつかせる行為は紛れもなく言論・表現の自由の毀損ではないでしょうか。
— 雁琳(がんりん) (@ganrim_) January 20, 2022
また、署名に名を連ねた小池裕敏氏が、「オープンレター」への賛同の撤回と謝罪というブログを公開しています。
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各方面で、今回の「オープンレター」の看過できない大きな問題点が指摘されています。
今回のオープンレターの内容もミソジニーも一切関係なく、きわめて一般的に、ある人々が呼びかけてある抗議文なりなんなりが賛同人の名とともに公開されて、そこに自分の名前が勝手に使われていると抗議するひとがいたら、まずは責任者が出てきて謝罪したり調査を約束したりするもんじゃないの?
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) January 19, 2022
しかし、あのオープンレター。本人の許可なく名前と肩書を載せていたり、架空の大学名を賛同者の肩書として載せていたりしたもので、一人の人間の職を奪うまでの運動を起こしたのは、呉座先生がどうの以前に不味いと思うんだけど。
— 大田区議会議員_おぎの稔_メタバース議員系Vtuber🏭🛫💉💉 (@ogino_otaku) January 18, 2022
オープンレターに賛同した人たちも、防衛に走っていますが、説得力はないようです。
例の「オープンレター」に署名した者から、「特定の学者の職位を奪う意図はなかった」という弁明のようなものが流れてきたが、私には、いじめ加害者が言う「相手を殴ったのは事実だが、死ぬとは思わなかった」という言い訳にしか聞こえなかった。
— 井上リサ (@JPN_LISA) January 18, 2022
『オープンレター』や『公開質問状』は「オープンに公開されている文書」なので、その内容に不備や疑問があれば問われて然るべきと思うのですが、オープンレターに言及しないで欲しいと弁護士を通して”要請”してくる方や、当事者から対話を求められても全く応じない議員連盟に、私は『?』となります。
— 神崎ゆき (@yukinoko811) January 17, 2022
その言い訳も、かなり無理が出てきています。
そもそもオープンレターで何回も個人名を出しておいて、その人物を干すつもりはなかったとか無視がよすぎるんだよな。そのような人物と仕事はしないとまで書いてるのに。
個人名を書いているのに当該人物を攻撃するつもりはなかったと言い張るなら、小学生より日本語読解力なくない?
— もへもへ (@gerogeroR) January 20, 2022
日文研の判断や、この問題の顛末は、社会的に大きく注目されるべきです。
この呉座さん/オープンレター問題は、昨年春からいろいろと展開があり僕もそれなりの見方がないではなく、ゲンロンカフェで呉座さんを招いたことに異議があるのも承知しているけど、今回の事件で全部ふっとんだ感じがしている。この無責任さはダメだ。ありえない。呆れ果てた。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) January 19, 2022
例の「オープンレター」に署名した者から、「特定の学者の職位を奪う意図はなかった」という弁明のようなものが流れてきたが、私には、いじめ加害者が言う「相手を殴ったのは事実だが、死ぬとは思わなかった」という言い訳にしか聞こえなかった。
— 井上リサ (@JPN_LISA) January 18, 2022
オープンレターには「呉座」という名前が17回出てくるのだが、これを「ターゲットは特定の誰かではない」というのはどういう意味か。日本語が読めないのか。 https://t.co/0Sf97pHVTS
— 池田信夫 (@ikedanob) January 20, 2022
ブロられてるから見れないが、こんなスクショがTLに回ってきた。いやはや何が「二次加害」やねん。これはな、そんな小理屈唱えて泣いて済むようなことやないねんぞ。 pic.twitter.com/EoUD8YnFix
— 雁琳(がんりん) (@ganrim_) January 17, 2022
北村紗衣氏が、呉座雄一氏のツイッターの鍵アカウント(一部の人しか見られないアカウント)で批判されたことで、訴訟を起こすと呉座さんに通告しました。しかし、名誉毀損に該当しないので、弁護士を入れて和解していました。その後、北村氏自身が発起人になって、呉座氏を学界から追放しろという「オープンレター」を出していました。
これは和解違反であり、法律的にも非常に大きな問題を含んでいます。
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