ふと疑問に思ったのだが、生ハムって焼くと普通のハムっぽくなるのだろうか。生ハムはあの、加熱していないところが良いのであって、火を通すと生ハムの意味がなくなるかもしれない。
だがしかし、気になる。一度気になりはじめると、もうダメだ。これは試して確かめるしかない。生ハムよ、キミたちのアイデンティティを奪って申し訳ないが、心を鬼にして焼かせていただくぞ……!
・焼いてみた
そもそも生ハムは豚を塩漬けにして乾燥、熟成させたもの。対するハムは豚肉を塩漬けして成形、燻製と加熱をしたものが一般的だろう。言うまでもないことだが、火が通っている点が大きな違いとなる。
それではさっそく焼いてみるとしよう。難しいことは何もしない。少し熱したフライパンにえいやっと放り込むだけだ。薄いので強火だとあっという間に焦げてしまうかもしれないと、弱火でじわじわ火を通すことにした。
しばらくすると、油を敷いていないにもかかわらず、じわじわと油が出てきた。この油が美味しいんだけどなあ、とちょっぴり切ない気持ちになりながら数分かけて焼き上げる。
出来立てホカホカを食べてみると……しょっぱい!! でも味はハムだ。なんだろう、クセのない至って普通のハムだ。生ハムお前ってやつは……こんなに簡単に自分らしさを捨ててしまって良いのかい。
・燻してみた
こちらが不安になるほど、あっさりとハム化した生ハム。ちょっぴり残念な気持ちを抱えつつ、ついでなので燻してみよう。もうすでにハムらしさが溢れているのに、よりハムっぽくなったりするのかしら。
そんなことを思いながら小1時間ほど燻製した結果、奇麗な色のハムのような何かが完成した。色から想像に難くはないと思うが、食べてみて思わず笑ってしまった。
これ……ジャーキーですやん。塩加減に噛み心地、どこをどう取ってもジャーキーですやん。ウマい。なんということだろう、予想はしていたが生ハムは火を通すと、生ハムではなくなることが判明した。
新たな知見を得たわけだが、どこで使えばよいのかわからない。読んでらっしゃるみなさんも、恐らくわからないだろう。ちょっとした小ネタとして、人前で披露する機会があることを願っている。
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.