楽天証券が強気な改悪をした理由 – 韋駄天太助

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12月27日に楽天証券が投信保有に付与するポイントをゼロに(廃止)することを発表し、楽天銀行が楽天証券と連携するマネーブリッジ金利を残高に関係なく一律0.1%から残高300万円を越える部分は0.04%にすることを発表しました。
双方共に4月1日からの条件変更で同日に発表されたことは無関係ではないでしょう。

12月7日に楽天証券は700万口座達成を発表しました。
この快挙と同月に発表された2つのいわゆる改悪は無関係ではないでしょう。

楽天証券はネット証券業界の王者になったのです!
殿様には殿様に相応しい振る舞いがあるのじゃ!
と、性急に君子豹変してしまって良いのかは甚だ疑問ですけどね!?

しかしながら、楽天証券がSBI証券をとにかく条件で上回って(下回らずに)追い付け追い越せのフォロワー戦略から対等なライバル意識に変化したことが今回の改悪に繋がったことは間違いないでしょう。
700万口座を達成していなければこれ程の強気な改悪は実行していないでしょう。

SBI証券が600万口座を達成したのは昨年3月22日でした。
楽天証券が600口座達成を発表したのはこれに約2カ月遅れの5月19日でした。
ところがSBI証券は今日現在で700口座達成は発表していません。
未達成とも公表していませんが、楽天証券に追い抜かれることを悟って700万口座達成は発表するつもりがなかったかも知れません。

SBIネオトレード証券とSBIネオモバイル証券を含む口座数として9月末で約771万口座という情報はありますが、3月発表の600万口座達成はSBI証券単独の口座数であり、同じカウントの仕方で700万口座達成は発表していないので単独では楽天証券に口座数で抜かれた可能性もあります。
(おそらく楽天証券に遅れて700万口座の発表は得にならないので今後は自主的な公表を取り止めるでしょう。)
もう楽天証券にとってSBI証券は見上げて追いかけるべき対象ではないのです!横目に並走中で勢いはこっちにあると・・?

楽天証券の700万口座達成リリースの中に今回の証券保有ポイント廃止に繋がる理由が見えます。
投信積立が17年9月比で約20倍!昨年9月末時点で積立設定人数が188万人で設定金額が月額700億円超!

これら全てが楽天カード積立によるものではないでしょうが、口座数や積立金額を加速度的にブーストしたのは月額5万円まで1%還元する楽天カード積立であり、仮に全てが楽天カード積立として試算するとカード還元だけで毎月7億円のコスト負担になりますね。
でも還元し過ぎで投信販売の採算性は必ずしも高くないものの、SBI証券と並ばせてくれたカード積立の条件は維持したいので投信保有で付与するポイントを廃止して採算の改善を図ったということでしょう。

別の言い方をすれば、顧客のメリットも考えてカード積立還元1%はなんとしても死守するために保有ポイントを削る苦渋の決断をしたことになるのでしょうが、その強気な後押しをしてくれたのは700万口座達成という覇権と自信と基盤でしょう。

ただ、私のファーストインプレッションとしては勇み足の強気すぎと映ります。
SBI証券はもちろんマネックス証券もauカブコム証券も投信保有にポイントを付与しているし、楽天証券に追随して廃止や縮小する業者が出て来るでしょうか?
出て来ない場合でも、楽天証券だけが保有ポイントなしでSBI証券も見下ろしつつ他社と充分に戦える位置まで上昇したと認識しているのでしょうか?

マネーブリッジ金利に関してはまあ納得できる範囲の改悪だと思います。
300万円超部分が0.04%に下がったと言っても、住信SBIネット銀行のSBIハイブリッド金利は一律0.01%であり改悪されても余裕で上回ります。
証券や銀行だけではなく楽天グループという観点では楽天モバイルの採算性も含めて調整が必要な部分もあるのでしょうが、性急な王者意識で強気な条件を設定して顧客が留まるという甘い予測は立てない方が良いかも知れませんね。

ネットでは証券も銀行もメインをコチラからアチラへと変更するのは簡単であり、それ故に楽天証券はSBI証券に並ぶネット証券の王者になれた訳で逆回転の怖さもよく理解された上での決断と受け取って、顧客としても最善の選択をするのみです!?

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