GoogleがFacebookと共謀し、Appleのプライバシー保護施策を崩壊させようとしているとして、アメリカのテキサス州および14の州、さらにはプエルトリコ連邦から共同で再提訴されました。
Google ‘colluded’ with Facebook to bypass Apple privacy • The Register
https://www.theregister.com/2021/10/22/google_facebook_antitrust_complaint/
ヘッダー入札は広告競売システムにおけるGoogleの支配力と請求する手数料を回避するための手法として、2015年頃に登場したものです。裁判所に提出された書類によると、2016年までに大手パブリッシャーの約70%が、広告主から最良の取引を得るためにGoogleだけでなく複数の広告プラットフォームに対して同時に広告枠を提供するヘッダー入札を行っていたことが明らかになっています。Googleも、ヘッダー入札は手数料を19~22%削減する画期的なもので、広告システムを脅かす存在であることを認識していました。
2017年にはFacebookもヘッダー広告を採用しましたが、直後にGoogleと「ジェダイ・ブルー」と呼ばれる契約を結びました。ジェダイ・ブルーは「Apple製品を使用しているユーザーを特定」し、「Facebookが出版社間で行われる広告競売に勝つ頻度を高める」という2社間での契約だと報じられています。つまり、ヘッダー広告採用によりFacebookが自社の脅威になると考えたGoogleが、Facebookに譲歩することで対立関係になるのを避けたわけです。
「ジェダイ・ブルー」には、アメリカの10の州が独占禁止法(反トラスト法)違反の疑いをかけており、2020年12月にGoogleを提訴していました。
Googleがさらなる独占禁止法違反の訴訟に直面、今度はFacebookとの共謀の疑いも – GIGAZINE
by Ben Nuttall
2020年12月の提訴から約10カ月が経過した2021年10月22日(金)、アメリカのテキサス州および14の州、さらにはプエルトリコ連邦が共同で、Googleが独占禁止法に違反したと主張する修正訴状を提出し、同社を再提訴しました。
ヘッダー入札登場当時、Googleは広告パブリッシャーに配慮し自社サーバーを使って広告枠の在庫を一度に複数の広告取引所で販売できるようにしていたそうですが、「Googleは他の広告取引所がより高い価格を提示した場合でも、密かに自社の取引所での広告枠の販売を優先していた」と修正訴状には記されています。訴状は「Googleは本来ならばパブリッシャーやウェブコンテンツ制作者に支払われるはずの広告費の22~42%ほどを集めることに成功した」とも指摘しました。
さらに、Googleは他のテクノロジー企業と協力し「連邦取引委員会(FTC)による子どものプライバシー保護規制を未然に防ぎ、矮小化するための活動」を行っていたと指摘されています。Googleが2019年8月6日に作成した文書から、Adobeが同業他社に子どもの安全性に関する立場を一致させてほしいと考えていたことや、プライバシー関連で競合しないようにMicrosoftをけん制しようとしていたことなどが明らかになっています。
また、2020年12月の訴状で説明されたGoogleとFacebookの共謀疑惑について、最新の訴状では「Facebookがオークションでユーザーを認識し、より頻繁に入札・落札できるようにするため緊密に協力していた」「例えば、GoogleとFacebookはソフトウェア開発キット(SDK)を統合し、GoogleがユーザーIDのCookie照合のためにFacebookにデータを渡せるようにしていました」「また、ユニファイド・プライシングのルールを採用することで、パブリッシャーに損害を与えるように共謀しました」などと指摘。加えて、「(Googleは)Facebookが『Cookieがブロックされるブラウザ』や『Appleの端末やSafariを使用しているユーザー』をより認識できるようにするために協力しており、ユーザーにより良いプライバシーを提供しようと競争してきたテクノロジー企業の努力を無下にしました」とも記し、GoogleとFacebookの共謀が他社のプライバシー保護に関する努力を無駄にしたと批判しています。
テクノロジーメディアのThe RegisterがGoogleに問い合わせたところ、同社の広報担当者は「テキサス州の司法長官であるケン・パクストン氏が何かを言ったからといって、それが真実であるとは言えません」「Googleは世界中で一貫したプライバシー規則を支持することを明確にしています。例えば、我々は何年も前から連邦政府のプライバシー法を可決するよう議会に呼びかけています」とコメントしました。
ウェブ解析サービス・Victory Mediumの共同創業者であるザック・エドワーズ氏は、今回の修正訴状を受けて「Googleはパブリッシャーやその他の広告購入者を軽視しており、特定のパブリッシャーのウェブサイトでGoogleと競合する別の広告システムを潰すために、パートナーに嘘をつく計画を実行していました」とGoogleを痛烈に批判しています。
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