この春は、新生活が始まったというだけでなく、この3年近く制限されてきたさまざまなことが、またできるようになるなど、生活のリズムが大きく変化しているのではないだろうか。やる事が増えたり、活動範囲が広がったりすると、スケジュールの立て方や時間の使い方を見直したくなる。今回は、時間の使い方そのものを見つめ直したい人にすぐに役立つ3冊と、情報収集や仕事のやり方を見直すことで、結果的に時間の使い方を変えたい人に役立つ2冊を紹介する。
「脱ダラダラ習慣! 1日3分やめるノート」
まずは、自分でも「良くないことだ」と分かっていることをやめる、あるいはすでに「やめたい」と感じていることから離れて、自分の時間を確保することを目指してみよう。例えば、ついSNSばかりチェックしてしまい、毎日何時間も費やした上に人間関係までこじれて疲弊してしまったり、それほど面白くもないのにドラマや動画を見続けてしまい、翌日の体調を万全に保てなかったりといった、本当は楽しいからやっていたはずのことが、いつしか惰性や重い鎖になっているようなことはないだろうか。
こうしたことを自分自身でやめるのは、なかなか難しいことかもしれない。だが、自分でもこのままではいけないと感じているならば、本書で提案されているやり方で「本当は何を望んでいるのか」に気付くところから始めてみるのがいいだろう。
「ME TIME (ミータイム) 自分を後回しにしない「私時間」のつくり方」
時短で空いた時間を、また別のタスクで埋めてしまい、自分の時間を持てているようでいて、実は別の「やらなければならないこと」を詰め込んでやっていただけということはないだろうか?さまざまな時短テクニックや効率化を果たしたところで、ゆったりした時間を持てるのかと思えば、「なんだかさらに忙しくなったぞ?」という人には、本書がお勧めだ。
単に「自分の時間を確保する」というだけでなく、目的を持った「自分のためだけの時間=ミータイム」をつくる方法を教えてくれる。自分の「好き!」という気持ちに焦点を当て、ミータイムを作りやすいという朝→夜→昼の順で、時間を確保できるようにしていく。この場合の時間管理には、紙の手帳がオススメとのことで、手帳をもっと活用したい人にも役立つのではないか。
「仕事も人生もうまくいく! 勝間式 タイムパフォーマンスを上げる習慣」
自分の時間を大事にしたいという考えは同じでも、こちらでは、時間をお金に換算して、もう少しシビアにその価値を考えて行動しようとする。数値で畳み掛けるように時間の価値について説かれると、「無駄なことに時間を費やしてる暇はない」と切迫感が増すかもしれない。しかし、決して怖がらせようとしているわけではなく、時間を浪費してしまうぐらいなら、使える機器や手段を積極的に活用して、自分のために使える時間を増やしていこうという、攻めの姿勢を勧めているのだ。
自分では時短になると思っていたことが、実はそうではないと認識を改めることになったり、そんな方法があるのかと、新しいことを取り入れやすくなったりするきっかけになるはずだ。
「SECOND BRAIN(セカンドブレイン) 時間に追われない『知的生産術』」
テクノロジーを駆使して時短を目指すことには、何もロボット掃除機で掃除をしてもらう、というような身体的な助けを得ることだけが含まれるわけではない。仕事やプライベートのプロジェクトにおいて、時間に追われて焦って失敗したり、時間を無駄にしてしまったりすることがなくなれば、理想的だ。
そのためには、自分が得た多くの情報を、最適なタイミングかつ最短の時間でアウトプットに利用できるように「セカンドブレイン」を持つことが有用だ。本書では、セカンドブレインへの情報の取り込み方、取り出し方、成果の出し方を、非常にシステマチックに学べる。この技術は、一度身につければあらゆることに応用が効く。情報過多の現代においては、まさしく必須の技術と言える。
「Notionプロジェクト管理完全入門 Webクリエイター&エンジニアの作業がはかどる新しい案件管理手法」
セカンドブレインにお勧めのツールの一つとして、Notionが挙げられている。本書は「プロジェクト管理」に特化し、Notionの効果的な使い方を解説しているが、プロジェクト管理がうまくいくということはすなわち、時間の使い方も上手くいくということ。Notionが使える環境なら、積極的に活用するのがいい。本書では、Notionをチームで使う場合も想定されており、皆で使うことで、自分だけではなく、複数人の時間の使い方が改善できる可能性がある。
データベースが基本となるNotionは、「なんだか便利そうだけど難しくてよくわからない」となりがちなツールでもある。「プロジェクト管理」という具体的な目的を持ってやりたいことを実現する方法を試してみた方が、早く使い方を覚えられる上、「本当にやりたいこと」が見えてくる。