なんとなんと、今回もリクエストが来たよ! いやー嬉しいなー。それで内容は
「アザーンの内容を、教えて下さい。マイクで、何と言っているのでしょうか?」といった質問が4つほど。
なるほど、アザーンかぁ。ムスリムが大半を占める国に行くと、時々どこからかアラビア語が鳴り響いてそれを耳にすることだろう。非ムスリムにとっては少し不思議に聞こえるかもしれない。
というわけで、今回は「アザーン」について教えるよ!
・アザーンとは
タイトルにも書いてある通り、「Adhan(アザーン)」とはイスラム教の礼拝の呼び掛けだ。礼拝の時間になるとモスクにいるムアッジン(アザーンを唱える人)がマイクに向かってアザーンを唱え、礼拝時間に入ったことを知らせる。
アザーンは独特なリズムとトーンでアラビア語で唱えられ、アザーンを耳にする人は一旦作業を止めて聞き入らなければならない。ほぼ決まった時間に唱えられるので、ムスリムは時計の代わりにアザーンで時間を知ることが多い。
このアザーンは結構長く、3〜4分ぐらいかかる。スピーカーを使って長く唱えられるので、ムスリムが少数な国では苦情が来ることも。
礼拝の呼び掛けならキリスト教もユダヤ教にも同じようなものがあるはず。
・「マイクで、何と言っているのでしょうか?」
最も気になることであろう、唱えられる「内容」。アザーンはどの国にいようが絶対アラビア語で唱えられる。もちろん意味もある。その内容は
・アッラーフ・アクバル (神は偉大なり) x4
・アシュハド・アン・ラー・イラーハ・イッラッラー (アッラー以外に神は無いことを私は証言する) x2
・アシュハド・アンナ・ムハンマダン・ラスールッラー (ムハンマドは神の使徒ということを私は証言する) x2
ハイヤ・アラッサラー (礼拝に来たれ) x2
ハイヤー・アラルファラー (成功のために来たれ) x2
アッサラート・ハイルン・ミナン・ナウム (礼拝は眠りに勝る) x2 朝のみ
アッラーフ・アクバル (神は偉大なり) x2
ラー・イラーハ・イッラッラー (アッラー以外に神は無い) x1
こんな感じ。これがアラビア語でゆっくりと、トーンを使って唱えられる。ちなみに「アッラーフ・アクバル」という文は「タクビール」と言い、イスラム教がよく使う文なので日本人の皆さんもどこかしらで耳にすることがあるだろう。
昼から夜の4回の礼拝はこの唱句で良いが、早朝の礼拝はちょっと別。「ハイヤー・アラルファラー」と最後の「アッラーフ・アクバル」の間に「アッサラート・ハイルン・ミナン・ナウム (礼拝は眠りに勝る)」が2回入る。
まぁ、朝は寝てる人が多いからね。頑張って起きられるようその文が入るのさ。
ちなみに、アザーンとは別に「Iqāmah(イコマー)」という、礼拝直前に唱えられる唱句がある。アザーンと似ているが、少し違うところがある。「イコマー」はこんな感じ
・アッラーフ・アクバル (神は偉大なり) x2
・アシュハド・アン・ラー・イラーハ・イッラッラー (アッラー以外に神は無いことを私は証言する) x1
・アシュハド・アンナ・ムハンマダン・ラスールッラー (ムハンマドは神の使徒ということを私は証言する) x1
・ハイヤ・アラッサラー (礼拝に来たれ) x1
・ハイヤー・アラルファラー (成功のために来たれ) x1
・コド・コーマティッサラー (礼拝がもうすぐ行われん) x2
・アッラーフ・アクバル (神は偉大なり) x2
・ラー・イラーハ・イッラッラー (アッラー以外に神は無い) x1
「コド・コーマティッサラー(礼拝がもうすぐ行われん)」という文が入って、全体的に短くなる(唱える回数が減る)。イコマーはアザーンと違って早く唱えられる。
・「世界中同じ内容か? 国によって、現地の言葉に変えているのか?」
単刀直入に言おう。世界中同じ内容で、皆アラビア語で唱えられる。どの国にいようが、唱句が変わることは無いし、現地の言語で唱えられることはない、たぶん。
ムスリムはお祈りなどを他の言語に翻訳することを好まない。だからお祈りや呼び掛けなどはアラビア語をそのまんま使うのだ。なのでムスリムになるとアラビア語が分からなくても読める必要がある。
なお、イスラム教にも宗派があって、宗派によってアザーンの唱句に1文や2文が追加されたり、唱える回数が違ったりするが、大体一緒である。
・実は皆が唱えられる訳ではない
そうそう、上に書いてあるとおり、アザーンは「ムアッジン」という人が唱えるのだが、全員が全員ムアッジンになれるわけではないのだ。
まずムアッジンは身体、精神ともに健康なムスリム男性でなければならない。アザーンは立って行うので、何かしらの理由で立てない人は出来ない。そんでアザーンは男性が唱えるもので、女性は残念ながらムアッジンにはなれない。
そして日々の行いが良く、周囲から認められた人でなければいけない。礼拝の呼び掛けという重大な任務なので、評判の悪い人がアザーンをすると皆嫌がる。
そしてアザーンは最初から最後まで一人で行い、変化や工夫を加えない。途中交代はもちろん出来ない。あと別に絶対ではないが、皆に聞こえるので透き通るような声の持ち主が好まれる。
礼拝になったらすぐにアザーンを唱えなきゃいけないので、ムアッジンは日々モスクで待機している(多分)。僕は唱えたこと無いよ、自信ないからね。
というのが、イスラム教の礼拝の呼び掛け「アザーン」だ。肉声で唱えられるのが特徴で、礼拝時間確認用のアプリでもアザーンが使われる。
イスラム教が大半な国に行けば、礼拝時間になるとどこのモスクからも唱えるられるので、アザーンが2重3重と重なって四方八方から聞こえる。慣れればこの迫力が味わえるだろう。
といわけで、Sampai Jumpa Lagi!