学生時代、始業時間の早い1限目に講義がある日は気が重く、つい寝坊してサボッてしまった経験がある人も多いはず。シンガポールの研究チームが、早朝の講義と大学生の出席率や睡眠時間について調査したところ、「早朝に講義があると大学生の睡眠時間が短くなり、出席率も低くなり、学業成績は低下する」という研究結果が示されました。
Early morning university classes are associated with impaired sleep and academic performance | Nature Human Behaviour
https://doi.org/10.1038/s41562-023-01531-x
Early Morning College Classes Correlated With Poor Academic Performance, Large Study Finds | IFLScience
https://www.iflscience.com/early-morning-college-classes-correlated-with-poor-academic-performance-large-study-finds-67627
しっかり睡眠をとって講義に出席することは良い成績を得るために重要ですが、早朝に講義が入っているとどうしても睡眠不足になりやすく、寝坊して遅刻したり欠席したりすることも増えます。睡眠不足は心身にダメージを与えるほか、学業成績の低下は雇用機会にも悪影響を与える可能性があるため、早朝の講義は大学生に多大な不利益をもたらす可能性があります。
そこでシンガポールのDuke–NUSメディカルスクールやシンガポール国立大学の研究チームは、大学生が持ち運ぶスマートフォンやタブレットが大学のWi-Fiネットワークにアクセスした履歴を追跡し、講義に出席したかどうかを推定しました。2万3391人の大学生を追跡した結果、朝8時に始まる講義はより遅い時間に始まる講義と比較して、大学生の出席率が10パーセントポイント低いことがわかりました。
また、研究チームは181人の大学生を6週間にわたって追跡し、起床した時間や通学時間、最初の講義に出席できたかどうかも調査しています。この調査では、大学生は8時開始の講義のうち、約3分の1で時間通り起きられず遅刻または欠席していることが判明し、最初の講義が午前中にある日は居眠りする頻度が高いことも確認されました。一方、正午以降に開始された講義に遅刻する大学生はほとんどいなかったとのことです。
さらに研究チームは、学習管理システムへのログイン履歴から大学生3万9458人の睡眠時間を推定し、最初の講義があった時間帯ごとにその日の睡眠時間を集計しました。
以下の図は、グラフ「a」が大学生が学習管理システムにログインした割合を縦軸、時間を横軸で示したもので、グラフ「b」は色の付いた棒がその日の睡眠時間を示し、灰色の棒が講義のない日の平均睡眠時間を示したものです。a・b共に上から順に、講義の開始時間が8時・9時・10時・11時・12時・14時・16時の日のデータとなっており、8時に講義が始まる日は平均睡眠時間が5.9時間で、学校がない日の平均睡眠時間である6.8時間を大幅に下回っています。平均睡眠時間は講義開始が9時だと6.3時間、10時だと6.5時間、11時および12時だと6.9時間、14時および16時だと7.2時間となっており、講義が始まる時間が早いほど睡眠時間が短くなる傾向が見て取れます。
また、研究チームが大学生の成績と午前中の講義の有無を分析したところ、午前中に講義がある日数と成績には負の相関があることも判明しました。研究チームは、「早朝の講義は、教室のスペースや教員が講義に費やす時間などのリソースを最大限に活用し、学生や教員のスケジュールの衝突を最小限に抑えるために計画されることが多くあります」「私たちの研究結果は、早朝の講義では大学生が欠席する可能性が高くなり、睡眠時間も短くなり、成績の平均点は低くなるというトレードオフがあることを示しています」と結論づけています。
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