Amazonは注文ミスや「思っていたのと違う商品だった」など、わりとシンプルな理由でも返品を受け付けてくれますが、9万円超のグラフィックボードを注文して偽物が届いたから返品したにもかかわらず、Amazonから「本物を返すように」と理不尽な要求をされた事例が報告されています。
Family says Amazon shipped fake product, refuses refund until ‘correct’ item returned | CBC News
https://www.cbc.ca/news/business/amazon-returns-1.6669601
この事態に遭遇したマシュー・レゴー氏が購入したグラフィックボードはこんな感じで、見た目は本物そのものでしたが、中身は抜き取られ、その分、重量のかさ増しのためにパテのようなものが詰められていたそうです。
レゴー氏が直ちにAmazonの返品プロセスにのっとって商品を返品し、返金を求めたところ、Amazonは「正しい商品を返送するまで返金はできない」と伝えてきたとのこと。正しい商品を受け取っていないので返品できるはずもありませんが、レゴー氏の質問を受けたAmazonは繰り返し「正しい商品を発送した」と主張したとのことです。
その上、Amazonの担当者は「他の従業員を保護するために、レゴー氏から返品された商品は捨ててしまった」とも付け加えたとのこと。返品を手伝ったレゴー氏の父・フランソワ氏はこの件について「ばかばかしい。ただのプラスチックなので、従業員に危険が及ぶとは思えません。彼らは証拠の一部を破壊してしまったのです」と述べています。
レゴー氏は「完全な偽物を受け取ったため、返品しました」と繰り返し説明し、それを証明する写真を添付したのですが、返金要請は全く通らなかったとのこと。しかし、この件を報じたCBCニュースがAmazonに問い合わせたところ、Amazonは直ちに返金を行い、「不幸な出来事」の解決に5ヶ月近くかかったことを謝罪したそうです。
小規模な企業から有名多国籍企業まで顧客とのやり取りを指導するマーケティングの専門家、マーク・ゴードン氏は「返品した商品は処分したと顧客に伝えることは、Amazonにとって会話を終わらせるための素晴らしい方法です」と指摘します。顧客からの苦情や問い合わせについてAmazonがいちいち対応している暇はなく、Amazonは物事を早く終わらせ、他のことに移りたいと考えているとゴードン氏は考察。顧客が「持っていない」と言った商品を返品するように要求するのは、問題の責任を顧客に負わせるための戦術だと指摘しました。
一方でAmazonの広報担当者は返品された商品について「衛生上、または製品の安全上の理由から、すべての返品製品が合法的に再販または寄付できるわけではありません。そのような場合は、可能な限り製品をリサイクルします」と述べており、今回のレゴー氏の商品もリサイクルされた可能性が高いとみられます。
調査会社のPitney Bowesが行った調査によると、一般的なオンライン小売業者は配送、処理、返品にかかる費用を考慮すると、返品された商品の価格の21パーセントを平均して失うとのこと。Amazonも例外ではないと考えられることから、ゴードン氏は「毎日行われる商品の返品はAmazonとって大きな出費になります」と述べています。
今回のような事例はレゴー氏だけではなく、他にも偽物を受け取った複数の利用者が「本物を渡さないと返金は不可」という返事を受け取っているとのこと。ゴードン氏は「オンライン注文に問題があり、返金を受けられないかもと心配する人は、証拠を残すために開封の儀のビデオを作るべきです」とアドバイスしました。5カ月も返金を待たされたフランソワ氏は「今回の件で、また地元で買い物をしようという気になりました」と話しました。
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