インテル株式会社は25日、都内で年末商戦に向けた販売戦略の説明会ならびに展示会を開催。このイベントは本来、量販店や販売パートナー向けのもので、年末商戦でどのようにIntel CPU搭載PCを消費者に訴求していくかを解説するものなのだが、メディア向けにも説明がなされた。
先日も同社は年末商戦向けの販売戦略を説明し、Intel Evoに準拠したノートPCの認知度を高め、消費者からの指名買いを目指すことを明らかにしたのだが、今回、このEvoが「松竹梅に例えるなら“梅”」であり、Evoをとっかかりに、さらに高性能な上位製品にも目を向けてもらう戦略を明らかにした。
これまでも何度かお伝えしてきているが、インテルはBlue CarpetプロジェクトやRUGsといったコミュニティを通し、クリエイター向けおよびゲームという2つの軸を中心にプロモーションしてきている。この意図について、同社マーケティング本部 本部長の上野晶子氏は、「PC市場を盛り上げるためには、製品単価を引き上げつつ、販売台数も増やしていかなければならない。その足がかりとなるようクリエイター向けとゲーム向けに注力している」と戦略の趣旨を明らかにした。
その上で、クリエイター向け製品もゲーム向け製品も、Intel Evoが最低ラインであるといい、その上にCore HプロセッサやディスクリートGPUを搭載したノート、さらにその上にデスクトップPCという選択肢があることを提示する。「天ぷら屋で、仮に松竹梅のコースがあるとすると、“竹と梅”の違いは揚げている油です”という説明では、おそらくほとんどの消費者は理解できないと思う。そこは“エビの大きさが違う”ぐらい明確である必要がある」という。
そのため、Evoに準拠したノートPCは、確かにノートPCの中で言えば、Intelが定めたさまざまな条件をクリアし、きちんと検証して認証ロゴまで取得したプレミアムセグメントのものであるのだが、同社が注力する年末商戦戦略という大きな枠で見ると、あくまでも“梅”なのだ。
例えばクリエイター向けであるならば、確かにEvo準拠のノートなら動画のカットといった簡単な編集と出力程度の作業であれば難なくこなせるのだが、AdobeのAfter Effectsといったエフェクト処理を多用して凝った動画を作りたいといったニーズがあるなら、ディスクリートGPUとより高性能なCore Hプロセッサを搭載したノートが必要になる。
その一方で、期限までに動画を何度もレンダリングして最終結果を確認し、この繰り返しによって完成度を高めるプロでは、デスクトップPCが必要になってくるだろう。このように製品ごとに明確な違いを打ち出していくことが必要になる。
ゲームにおいても同様であり、Intel Evo準拠のノートなら、数年前の薄型軽量ノートでは考えられなかったような3Dゲームのプレイがある程度できる。Nintendo Switchにもあるタイトルでそちらをプレイしていたユーザーにとってみれば、PCはより高解像度、より大画面で美しくプレイでき、プラスアルファでPCとして使えるメリットがある。日本市場のユーザーの大半にとってみれば、Evoのノートでゲームできるのは魅力的かもしれない。
その一方で、これまでハードコアなPCゲーマーにとってみると、Evo準拠のノートPCで実現し得るグラフィックスでは満足できない。しかしCore HプロセッサやdGPUを搭載したゲーミングノートPCは、薄くて軽くても快適にゲームがプレイできる。さらに、ゲームを使って配信をしたい、4K解像度や大画面により没入感を高めたいといったことを目指すユーザーにはデスクトップPCを提案することで満足させられるとした。
さらにインテルでは、PC売り場ではないところでもPCを置いて、ほかの商材とともに見せるやり方も提案したいという。親和性の高いデジタルカメラやゲームコーナーはもちろんのこと、キャンプ用品や一般家電とも組み合わせ、PC以外の製品が目的で家電量販店に行っても、そこにPCがあることで、PCにも興味を持ってもらい帰りにPC売り場に足を運んでもらうようにしたいとした。
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