日本でも提供が始まったSpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」が、ネットワークの中立性を保ちユーザーのアクセスを管理する点について記した「公正使用ポリシー」を新たに公開しました。この中で、昼間(7時~23時)の高速通信容量が一部地域で毎月1TBに制限され、追加には別途料金が必要であることが明らかになりました。
Starlink Fair Use Policy – Starlink
https://www.starlink.com/legal/documents/DOC-1134-82708-70
Starlink Sets High-Speed Data Cap at 1TB Per Month, Lowers Advertised Speeds | PCMag
https://www.pcmag.com/news/starlink-sets-high-speed-data-cap-at-1tb-per-month-lowers-advertised-speeds
公正使用ポリシーによると、Starlinkの住宅向けサービス加入者には「基本アクセス用のデータ容量」と毎月1TBの「優先アクセス用のデータ容量」が割り当てられるとのこと。「優先アクセス用のデータ容量」は7時から23時までのピーク時にのみ消費され、「優先アクセス」は「基本アクセス」よりも優先して接続されます。また、1TB分の「優先アクセス」を使い切ると、「基本アクセス」に移行します。
ネットワークが混雑している場合、基本アクセスを使用しているユーザーは優先アクセスと比較して速度が遅くなり、パフォーマンスが低下する可能性があるとのこと。これにより、特定のサードパーティのサービスまたはアプリケーションの通信品質が低下したり、利用できなくなったりする場合があるそうです。
「優先アクセス用のデータ容量」は追加購入が可能で、アメリカでは1GB当たり0.25ドル(約37円)、カナダでは1GB当たり0.32カナダドル(約35円)となります。このポリシーは記事作成時点でアメリカとカナダにのみ適用され、2022年12月に施行予定ですが、今後他地域へ拡大する可能性もあります。
PCMagはこの仕様について「この変更は、すでにスターリンクの加入者でいっぱいの混雑した地域に住む、データを大量に消費する顧客に最も影響を与えるでしょう。SpaceXは基本アクセスで期待できる通信速度を明らかにしていませんが、優先アクセスの速度は公開しています。しかし、優先アクセスの速度は以前までの公称値から大幅に低下しました」と指摘。
住宅用Starlinkの以前までの通信速度はダウンロードが50〜200Mbpsでしたが、今回のポリシー公開に際し、20〜100Mbpsにまで低下しています。アップロードも10Mbps~20Mbpsから5~15Mbpsに変更されているほか、住宅用のみならずモバイル用や自動車用の契約でも軒並み低下しています。
PCMagから詳細を尋ねられたSpaceXはコメントを控えたそうですが、顧客宛には上記ポリシーについてメールを送付していたとのこと。メールではデータ上限の設定について示されたほか、「Starlinkユーザーのうち、月間のデータ使用量が1TBを超えるのは10%未満である」と記載されていたとのことです。
1TBというと、Netflixの「超高画質(UHD 4K)」であれば1時間当たり最大7GBなので、合計約142時間の視聴で到達。YouTubeの1080p設定であれば1時間当たり3GB程度だとされており、この場合は約333時間の視聴で到達する値です。このため、ストリーミングサービスのヘビーユーザーや家族で1つの回線に接続しているユーザーなら簡単に1TBに到達してしまいそうです。
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