学術雑誌や学術テキストの海賊版サイトとして最大級の規模を持つ電子書籍データベース「Z-Library」が、2022年11月4日に突然閉鎖したことが報じられています。
What happened to Z library, the largest pirate site for books?
https://www.fastcompany.com/90806657/z-library-ebook-piracy-shut-down-alternatives
インターネット最大の海賊版電子書籍データベースの 1 つである Z-Library は、1000万冊を超える電子書籍と8600万件を超える学術記事を提供しており、毎月数百万人のアクセスがありました。ユーザーは一定数の書籍を無料で利用できるほか、有料でより多くの本を取得するなど追加のオプションを選択できました。
学生や教育についてのデータを収集・研究しているEducation Data Initiativeによると、アメリカの大学では教科書の価格が1977年から2015年にかけて1041%上昇しており、平均して約32%安価な電子版の教科書が広まったことでコストが削減された面もあるものの、多くの学生にとって教科書にかかる代金が大きな負担となっています。そのような理由から、Z-Libraryは多くの大学生が頼りとしていましたが、突如閉鎖したこともあり「アレクサンドリア図書館の放火が現代に起こったかのようです」などと嘆く声が挙がっています。
zlibrary getting taken down feels like the burning of the library of alexandria of our time
— ً (@wrathsemilia)
Z-Library閉鎖の正確な状況は記事作成時点では不明です。アクセスできなくなっているドメインの中には、「このドメインは、裁判所の命令に従って米国郵政省検査局によって押収されました」と表示されるものもありますが、アメリカのビジネス誌であるFast Companyによると、検査局は「本事例は、誤って郵政省検査局の管轄とされたものです」とコメントし、司法省に問い合わせるように指示したそうです。なお、司法省はFast Companyからのコメント要請を断っています。
一部のユーザーはZ-Libraryから「政府の取り締まりではなく、ホスティング プロバイダーの1つによるサーバーブロックが、アクセス遮断の原因です」というメッセージを受け取ったと報告しています。実際にフランスやインドなどの裁判所は、著作権を理由にプロバイダーに命令してZ-Libraryをブロックしているケースがあり、いわゆるシャドウライブラリを規制する動きが広まっています。
Z-Libraryに代替する、高価な教科書を購入する余裕のない学生向けのサイトとして、Fast Companyは公共図書館の書籍のデジタルコピーを得ることができるOpen LibraryやOverDrive、パブリック ドメインの電子書籍をダウンロードできるProject Gutenbergなど、海賊版でない無料の電子書籍のオプションを複数紹介しています。
Hacker NewsでもZ-Libraryの閉鎖について話題になっており、「Z-Libraryは一定数の本にアクセスできますが、それ以上の本を入手するには購読料を支払う必要がありました。Z-Libraryは数多くの書籍を無料で配布しているLibrary Genesisというサイトに追随していましたが、このサイトとは違い常に営利的なスタイルを貫いていました。閉鎖されたことで、より多くの人がLibrary Genesisに戻るようになればいいのですが」とのコメントも寄せられました。
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