米Salesforceの子会社で「Slack」のサービスを提供する米Slack Technologiesは9月20日に報道発表を行い、同社がSalesforceの年次イベントである「Dreamforce」(現地時間9月20日~22日開催)で発表する内容を明らかにした。
Slackは今後、「Slack Canvas(スラックキャンバス)」という新機能を導入する。このSlack Canvasは、Slackのチャンネルなどにまたがって置かれている情報を取り込んで整理してユーザーに表示する機能。これにより、例えば新入社員が会社に入ったときに見るべき情報、今行われているマーケティングキャンペーンの一覧といったように、社員が必要な情報をより確認しやすくする。
また、6月の「Frontiers 2022」で発表した「ハドルミーティング」の機能拡張の一般提供開始と、開発者向け「Slack Platform」の最新版がオープンベータになったことも明らかにした。
複数チャンネルから必要な情報やワークフローなどをまとめておける「Slack Canvas」
Slackは近年、「デジタル本社(Digital HQ)」というビジョンを推進しており、本社機能(例えばIT機器のリクエストなどの各種申請や、他の社員とのコミュニケーションなど)をデジタル化することで、社員がリモートワークであろうが、オフィスに出社していようが、それらを利用可能にして柔軟な働き方を実現することを目指している。
そうしたSlackが、今回のDreamforceで発表する新機能が「Slack Canvas」。組織内の複数のチャンネルにまたがって置かれているさまざまな情報を横断的に表示することができる。
例えば、IT機器のリクエスト(新しいスマートフォンや新しいPCの申請など)であれば、そうした申請専用のチャンネルなどに置かれている組織が多いと思われるが、従来はそこにたどりつくまでに、チャンネルをたどっていく、あるいはPDFで配布されている資料を見ながらたどっていく……といったかたちになっていた。
Slack Canvasでは、そうした情報を一覧で表示できるようになる。IT機器のリクエスト、社員バッジ作成のリクエスト、PCにインストールするソフトウェアのリストなど、複数のチャンネルにまたがっている情報を集約し、まとまめて見られるようになる。あるいは、現在動いている複数のチャンネルにまたがっている進行中のプロジェクトを、1つのSlack Canvasに集約して表示することで、情報の一覧性を改善する。
Slack Canvasには、Slackのチャンネルだけでなく、外部のサービス(例えばYouTubeの動画やGoogle ドライブ/OneDrive上のPDFなど)へのリンクURLを張ることも可能。また、Slackのワークフローを埋め込むこともできる。例えば新入社員用のSlack Canvasなどをあらかじめ作成しておけば、新入社員がどのチャンネルに登録すればいいか、IT機器や社員バッジの申請はどこからやればいいかなどの情報を分かりやすく示すことができる。
Slackのプラットフォーム担当上席副社長であるロブ・シーマン氏は「Slack Canvasは現在プレビュー中で、正式に一般提供になるのは来年の計画だ」と述べ、まずはプレビューやクローズドベータなどのかたちで一部の顧客に提供し、その後、完成度を高めてから来年に一般提供する計画だと説明した。
ビデオや画面共有など「ハドルミーティング」の機能拡張が一般提供開始
Slackは、6月に開催した同社の年次イベント「Frontiers 2022」で発表した「ハドルミーティング」の機能拡張(6月22日付関連記事『Slackの音声チャット機能「ハドルミーティング」がさらに便利に。ビデオ通話や画面共有など5つの機能強化』参照)が、今回のDreamforceのタイミングに合わせて一般提供開始(GA:General Availability)になったことを明らかにした。
ハドルミーティングは「気軽に同僚と立ち話」という物理的な体験をSlack上で再現できる機能で、これまでは音声によるミーティング機能が実装されてきた。Frontiers 2022で発表されたのは、そのハドルミーティングにおいて、ビデオによるコミュニケーションや、複数ユーザーが画面共有をできるようにする新機能だ。ビデオ会議に近いが、ビデオ会議よりは気軽にできる機能となっている。
また、Slackは同社の開発者向けの環境「Slack Platform」の再構築を行い、新しいバージョンとして提供していく計画であることを明らかにした。Slack Platformを利用すると、開発者は自動化されたワークフローの実装などを迅速に行うことができるが、新しいSlack Platformではより迅速に業務を自動化することが可能になる。この新しいSlack Platformはオープンベータになり、Slack向けのアプリケーションを開発する開発者などが試すことが可能になっている。