ファッションがZ世代に サステナビリティ を熱中にさせる方法

DIGIDAY

インフルエンサーはTikTok上でサステナビリティについて話をする場を作り出しているが、ブランドはサステナビリティの取り組みを前面に押し出すのに苦労している。ターゲットオーディエンスに関与してもらうのに効果的であることが証明されているのは、サステナビリティに焦点を当てたオープンフォーラムのイベントだ。そのひとつの例が、9月上旬にロンドンで開催されたプーマ・カンファレンス・オブ・ザ・ピープル(Puma Conference of the People)である。

参加者とブランドが直接コミュニケーションするイベント

9月6日、プーマ(Puma)はプーマCOPと呼ばれる初のイベントを開催した。これは昨年グラスゴーで開催された気候変動枠組条約締約国会議と似た形式のイベントで、地元のBIPOC(黒人・先住民・有色人種)のクリエイターやコミュニティに焦点を当て、イーストロンドンのZ世代にアピールした。また、プーマのCOP専用ウェブサイトで、オンラインでの視聴や参加も可能となっている。

タウンホールでは、プーマとサプライチェーンパートナーによるパネルディスカッションが開かれ、サステナビリティに関するあらゆるテーマが議論された。またオーディエンスは、パネル会場のQRコードやオンラインでアクセスできるアプリSlido(スライド)を通じて、厳しい質問や批判などを行うように奨励された。参加者からの質問は、プーマが過剰生産と利益をどのように比較検討しているのか、スコープ3排出量はどう評価しているか、そして投資家を満足させるための短期的な焦点が、長期的なサステナビリティの目標をどのように阻害する可能性があるのか、といった点に集中していた。

このイベントでの重要なテーマは、ブランドはサステナビリティへの取り組みを支持しつつ、いかにオーディエンスと直接コミュニケーションできるかというものだ。またイベントでは、没入型のデジタル体験、サステナブルな製品の展示、スクリーン印刷のアクティベーションなども行われ、プーマが4月に試験的にローンチしたスニーカー、リ・スエード(Re:Suede)も展示されていた。フォーブス(Forbes)によれば、Z世代の62%がサステナブルなブランドから購入することを好み、エシカルに製造された商品により多くのお金を支払いたいと考えている。シーイン(Shein)を購入することはなくならないにしても、Z世代の消費者の多くが購入前にブランドに厳しい質問をすることを重視している。

批判を甘んじて受けようとするブランドの姿勢が好印象

プーマのCEOビョルン・グルデン氏は、ベンチマークであるBoFのサステナビリティインデックス(BoF Sustainability Index)ではケリング(Kering)やリーバイス(Levi’s)を上回って最高点を獲得するなど、同ブランドはよくやってはいるがまた道半ばであるとして、次のように述べた。「我々はみな、まだ十分ではないとわかっている。この業界、特にサプライヤーは、ここ数年で多くの(よい)ことを行っていて、我々も変化してきた。だがしかし引き続き変化していく唯一の方法は、競合他社と協力して取り組んでいくことだ」。

イベントの参加者は、プーマのサステナビリティへの取り組みに関するもっとインタラクティブな要素や明確な情報がほしかったと話した。「(ブランドが)本当に人々を魅了したいなら、それを実行してもっと魅力的になる必要がある」と、参加者のレイチェルはGlossyに語っている。「通常、大手のブランドは非難されないためならなんでもやる。(プーマが)自分たちのイベントで、人々の前で喜んで批判を受けようとしている姿勢を目にしたのは、かなりクールだった」。

プーマのチーフソーシングオフィサーであるアンヌ=ロール・デスクール氏は、次世代はブランドと直接関わる権利を持っていると話す。「今日重要なのは、コラボレーション、エンゲージメント、そして非常にポジティブなマインドセットを維持することだ。(この業界で)起きていることを正すために、世の中には多くの善意やエネルギー、野望があふれている」と彼女はイベントで述べている。

今後は質問形式のイベントが人気に

他のブランドは、Z世代の従業員にフィードバックを求めている。イタリアのシューズブランドのゴールデングース(Golden Goose)は、7月に初の「ムーブフォワード・アイデアソン(Move Forward Ideathon)」を開催、企業チームと小売チームの従業員が一堂に会し、サステナビリティに関する革新的なアイデアを出し合うブレインストーミングを行った。

ステラマッカートニー(Stella McCartney)やマリーンセル(Marine Serre)などの地元のブランドは、サステナビリティを重視するより若いデモグラフィックにアピールすることに以前から力を入れてきたため、プーマのような欧州のイベントには直接的なアドバンテージがある。質問形式のイベントは、ブランドがオーディエンスに直接語りかけることに重点を置くので、より人気となる可能性がある。

「成功するZ世代イベントとは、コミュニティの活用にかかっている。コアグループの人々のあいだに共通しているつながりや一致した関心を活かし、そして体験を通じてそれらの価値観を実際の生活へとクリエイティブに転換することだ」と語ったのは、ソーホーハウス(Soho House)やサザビーズ(Sotheby’s)のイベントで提携しているZ世代戦略およびマーケティング会社PRZMの共同創業者ラリー・ミルステイン氏だ。彼はまた、ブランドはZ世代にフォーカスしたイベントを、包括的でユニークな体験をもたらすハイパーローカルとソーシャルな要素を促進する機会としてとらえるべきだとも述べている。

[原文:How fashion is getting Gen Z excited about sustainability]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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