
自然の偉大さに、ただ絶句。
1935年、アメリカの飛行士リンカーン・エルズワース氏は、南極の雪原に突如現れた謎のピラミッドを発見しました。険しいエルズワース山脈の一角をなすこのピラミッド、高さ1,265mで「古代都市の遺跡か、はたまた宇宙人の仕業か…」と10年ほど前にネット上で話題になりました。現在もGoogle Mapsで存在を確認することができます。
何らかの目的で人工的に作られたものに見えますが、実はこれ完全な自然構造物。世界中の山脈を見渡すと、他にも似たような構造が存在するんだとか。これは「凍結溶解風化」と呼ばれるプロセスによるもので、ひとことで言うと何百万年、いや数億年にもわたる浸食が生み出した姿なのです。
南極の極限状態が生み出した奇跡のピラミッド
南極では、比較的気温の高い昼間に水や雪が岩の小さな亀裂を埋め、夜間などに気温が下がるとそれが凍結します。水は凍ると膨張するため、その圧力で岩が徐々に砕けた結果、こうした印象的なピラミッド型になったわけです。
ただ、山の4面が同じように削られないとピラミッドのような形にはならないため、このレベルの左右対称は、かなりまれ。異常現象といってもおかしくありません。
インターネット上で何かの陰謀だと唱える人も
2016 年、この地形がインターネット上で話題になると、瞬く間に「失われた文明都市か!?」、「エイリアンの建築物」、「軍事的な秘密基地」などと都市伝説のような噂が駆け巡りました。
南極のピラミッドは古代文明やエイリアンとは関係なさそうですが、実はこの地域には5億年前の化石が眠っており、カンブリア紀の生命がどのように進化したかを示す重要な手掛かりが残っています。人類が生まれるはるか昔、地球はどんな姿だったのか…。
この「南極のピラミッド」、自然という名の魔法が作り出した芸術なのかもしれませんね。
Source: Dailygalaxy