ちいさな生物だって想像以上に賢いぞ。
グッと冷え込み、出かけるのが億劫になる今週末。今回はおうちでぬくぬくしながら読める、生物の「へえ〜!」な話を3つ持ってきました。
地球が暑すぎてミツバチも体内時計が乱れている
「温暖化と人工の光のダブルパンチで睡眠不足になっている」というのは、ミツバチの話。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが科学誌Scientific Reportsに発表した研究結果によると、人工的な光がミツバチに深刻な影響を与えるおそれがあるのだとか。暑い夜に巣の外で眠るミツバチ。温暖化が進むと都市部では夜の気温が下がらず巣内の温度も高くなるため、より巣の外での時間が増えてしまい、街の光にさらされる可能性増。ミツバチの概日リズム(体内時計)が乱れてしまいます。
そうして睡眠不足になったミツバチは、ミツバチ同士の情報伝達に用いられる「ワッグルダンス(8の字を描くように歩き回る)」を上手にできなくなってしまいました。このワッグルダンスは、花粉がある場所の方角と距離を伝えあう大切な行動。実はこれが機能しないと、私たち人間を含む生態系にも深刻な悪影響があるんです。
ミツバチは世界の食料安全保障を支える縁の下の力持ち。野生植物や農作物の“授粉者”として重要な役割を果たしています。農業環境技術研究所の2016年の報告書によると、日本の耕種農業産出額(約5兆7,000億円)のうち8.3%(約4700億円)が「送粉者」と呼ばれる花粉を媒介する動物に依存しているのだとか……。元記事では日本のこの報告書のほか、ミツバチの健康と光害に関する米国農務省の報告書も取り上げています。
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花から花へと花粉を媒介する肉食動物、エチオピアオオカミ
花粉を運ぶのは、ミツバチだけじゃないんです。次に紹介するのは、肉食動物として知られるエチオピアオオカミ(Canis simensis)が、花の蜜をおいしそうになめている姿が初めて観察されたお話。
オックスフォード大学の生態学者チームが学術誌Ecologyに発表した研究結果は、エチオピアオオカミが花粉を花から花へと運んでいる可能性を示唆。大型肉食動物が意図的に花の蜜を摂取する様子が確認されたのは、これが初めてなのだとか。
研究チームがEthiopian Red Hot Poker(シャグマユリ属)の開花時期に特定のオオカミの群れを追跡調査すると、一度に30本もの花の蜜をなめる個体も。オオカミが蜜をなめて花から花へと移動していくことで、花粉を媒介している可能性が高いと考えています。しかもこれは偶然じゃなく、植物との相互作用の一部である可能性が高いのだとか。こうして生態系のバランスを保っているのだとしたら、ますます好奇心が高まります。
実はこのエチオピアオオカミは、世界で最も希少なイヌ科動物。絶滅の危機に瀕しています。元記事では、このエチオピアオオカミの絶滅の危機について詳しく紹介しています。
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猫は「飼い主に話しかけられているのがわかる」という研究結果
パリ・ナンテール大学の研究結果によると、猫は飼い主の声を聞き分けていることが判明しました。行なわれた実験は16匹の猫をそれぞれの家で観察し、自分の飼い主の声と知らない女性の声を録音したものを猫に聞かせてリアクションを見るというものです。
そうすると、16匹の猫のうち10匹は、飼い主の声を聞いた時に耳を動かす、瞳孔が開くなどのリアクションがあり、その直後、知らない人の声を最後に聞くとリアクションなしという結果に。これは「猫は飼い主の声を聞き分けている」と言えそうです。
続くもう一つの実験では、人間の猫なで声と普通の話し声を猫が聞き分けているという結果も。つまり、猫は「飼い主」かつ「自分に話しかける」声をわかっているというのです。「猫はただエサをくれる人以上に感じてくれている」なんて言う研究の著者の言葉を信じたい……。元記事では、この猫なで声への猫の反応をさらに詳しく紹介していますよ。
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