Chrome売却が現実になる前に。使えるブラウザ5選

“Google(グーグル)解体”に、ある程度の備えは要るのかも。

米司法省が連邦地裁判事を通して、GoogleにChrome事業を売却するよう要請しましたね。

市場をほぼ独占することで競争が阻害されているとの司法判断を受けたもの。仮に現実になった場合、1984年のAT&T解体以来の大型企業分割となります。同省はこのほかにも、検索と広告の事業分割といった是正措置も検討中みたい。

もちろん、俎上にあがっているテック大手はGoogle親会社Alphabetだけじゃありませんが、気になりますよね(Facebook親会社のMetaも「InstagramとWhatsAppを買収してSNS市場を独占してるじゃないか」ってことで2020年にFTC(連邦取引委員会)に追求されて争っている)。

Chromeは市場シェアが圧倒的。

Source: StatCounter Global Stats – Browser Market Share

CPUに負荷のかかるブラウザなんですが、これだけシェアがデカいと、それで使う人が減るどころか、Chrome使いまくってもバッテリーが減らないことが逆にパソコンのセールスポイントになっていたりもします

使う人の趣味嗜好や行動パターンに合わせてかなりカスタマイズされるのに加えて、Googleアカウントと連携されるので、GmailやDocsを仕事で使っている人なんてもうChromeドップリ、ですよね。

とはいえ司法省に目をつけられるほど独占的になっちゃったってことになると、そうも言ってられません。いいブラウザだけど、2020年にChromeがサードパーティーのクッキーをブロックしたときには「自社で行なう追跡とデータ収集は自粛しないんだから競争の邪魔してるだけだ」って散々批判されてもいます。

その後も「プライバシーモードにしてもGoogleには利用情報が筒抜けだった」と訴えられて、ユーザーを特定しないで情報収集できる「プライバシーサンドボックス」が出たわけですが、それさえも「サードパーティーのクッキーをブロックして自社で追跡できるツールを代わりに用意しているのはChromeぐらいだ」って

事業が分割されるかどうかはまだわかりませんが、脱Chromeのいい潮目かもしれません。乗り換えても類似機能には不自由しないし、変わることもそうありません。Googleアカウントとの連携がゆるくなることぐらいかと。

Image: T. Schneider / Shutterstock.com

Chromeと同じChromiumベースのブラウザなので乗り換えは簡単です。

Microsoft(マイクロソフト)のブラウザなので、Windowsパソコンで推奨されすぎるのがアレですけどね。Chromeをダウンロードしようとすると、ちょっと待ったー!とポップアップ出まくりで、「Windows 11にやめてほしいこと8つ」にも名前が出てましたっけ。

そんなEdgeではありますが、独自路線でがんばってはいます。最近は「AI搭載ブラウザ」を前面に出していますし(GoogleのAIが苦手な人は乗り換えの理由にはならないけど)。特にプライバシーへの取り組みは出色。特定のページでポップアップ広告や追跡を無効化できます。

Chromeからデータを移行するには、Edgeブラウザを開いて右上の3点リーダーをクリックして「設定」の「プロファイル」欄で「ブラウザデータのインポート」をクリック。あとは「Chrome」を選んで、読み込みたい項目にチェックを入れて「インポート」をクリックすればおしまい。

取り込めるデータは支払い情報、閲覧履歴、設定、タブなどです。また、Chromeで使ってる拡張機能があれば、それに近い拡張機能も探してくれます。

Image: Primakov / Shutterstock.com

Macの人はSafariもよき。閲覧中のページから邪魔な要素を削って、読みに集中できる「Reader」モードみたいな技もあるし、FacebookやGoogle、Apple(アップル)のログイン認証で使えるので、Googleアカウントでログインしたい人はそれもできます。

ただしGoogle Passwordsにはアクセスできないので、保存したパスワードをSafariに移行したい人は、ChromeからSafariに手動でインポートが必要

Chromeから利用データを移行するには、MacでSafariを開いて「ファイル」>「読み込む」と進み、インポート元(この場合はChrome)を選んで、読み込みたい項目を選びます。取り込めるデータはパスワード、ブックマークなどなど。

Image: David Esser / Shutterstock.com

Chrome以外のサードパーティー製ブラウザでは知名度No.1のロングラン。古くはInternet Explorer一色の時代に「脱IE」の逃げ場といえばFirefoxでした。Chromeがこれだけ広まった今もセキュリティ万全のオープンソースの選択肢として愛されており、外部リンククリック追跡予防機能なんかもあります。

Firefoxはいつもアッと驚く新機能も魅力です。たとえば、偽レビューを見抜いて知らせてくれるFakeSpotを2023年に買収したりもしています。

Chromeから利用データを移行するには、Firefox上部のメニューバーを開き、「設定」を選んで「一般」パネルで「データをインポート」を押します。あとはインポートしたいChromeのプロフィールを選ぶだけ。

Chromeでよく使う拡張機能と似た拡張機能はカンタンに見つかるし、支払い情報も取り込めます。

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5番手なので知名度は今ひとつですが堅牢なブラウザです。こちらもChromiumがベース。VPNと広告ブロッカーはもうプレインストール済みだし、iOSにも対応して、全OS対応になってます。

バージョン100(!)では生成型AIの「Aria」がブラウザに組み込まれて、サイドバーからChatGPTが使えるようになりました。

ほかのブラウザもそうですが、初めてインストールするときChromeからのデータ移行画面は出ます。 もうインストール済みの人はOperaを開いて、左上にある赤文字「O」のロゴをクリックして「設定」もしくは「Preferences」(macOSの場合)を選んで、「同期」から「ブックマークと設定のインポート」をクリックします。

その他

BraveDuckDuckGoもあります。どちらもプライバシー保護重視のブラウザで、サードパーティー製トラッカーはブロックしてるのだそう。


Chromeをやめるのは思ってる以上に単純です。これを機にいろいろ見てみるのも悪くないでしょう。