「急速 or ノーマル充電、モバイルバッテリーの消耗が多いのはどっち?」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(150)【急遽テレワーク導入!の顛末記】

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モバイルバッテリーのUSB Type-C端子とType-A端子から充電した場合、バッテリー残量の減りが多いのはどっち?

 先日はモバイルバッテリーでノートPCを充電してみたが、その過程で約4割の電力をロスしているらしいことが分かった。1日外出しているような時は、モバイルバッテリーの残量が命綱になることもあるので、なるべく効率的に電力を利用したい。

 ……この記事を書いている時点で、新型コロナが5類に移行されて61日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はモバイルバッテリーでiPhoneに充電する際に、給電するW数を変えると、充電時間とバッテリーの消費量がどのぐらい変わるのか試してみた。

【今回のハイライト】

iPhoneの急速充電に必要なW数は?

急速orノーマル充電の結果は?

自宅では急速充電しない方がいい?

7月3日(月):iPhone 12以降の急速充電には20W以上の給電が必要

モバイルバッテリー「cheero Power Plus 5」を使って、iPhone 14を充電しようと思ったのだが…

 今日は朝から一日外出することに。外でも仕事をするかもしれないので、ノートPCとモバイルバッテリーを持ち歩いていたのだが、先にiPhoneのバッテリー残量が少なくなってきた。

 ということで、モバイルバッテリーを使ってiPhoneを充電しようと思ったのだが、そこでふと疑問に思うことがあった。それは、急速 or 通常充電した際に、その過程でロスする電力量は変わるのかということだ。

 先日から利用しているモバイルバッテリー「cheero Power Plus 5」には、最大45W出力に対応したUSB Type-C端子と、12W出力に対応したType-A端子が用意されている。

 一方、筆者が利用しているiPhone 14を高速充電するには、アップルの公式サイトによると20W以上の電源アダプターが必要とのこと。つまり、USB Type-A端子に接続した場合、iPhone 14は高速充電できないことになる。

アップルの公式サイトでは、急速充電なら約30分でバッテリーを最大50%まで充電できるが、20W以上の電源アダプターが必要と明記されている

 つまり、iPhone 14にUSB Type-C端子とType-A端子を接続した場合を比較すれば、急速 or 通常充電の際にロスする電力量を比較できるというわけだ。

 現在、筆者が利用しているiPhone 14は、一般にバッテリー容量が3279mAhといわれている。購入してから半年程度しか経っていないので、それほどバッテリーの劣化も進んでいないだろう。

 一方、「cheero Power Plus 5」の容量は15000mAhなので、もしもロスなく電力を移せたとしたら、バッテリー残量を表すインジケータは78%で止まるという計算だ。

 ちなみに、筆者は自宅でiPhoneを充電する場合、有線の場合は大昔のiPhoneに付属していたACアダプターを、ワイヤレスではAnkerの「PowerWave II Pad」を利用している。どちらも給電が20Wに満たないので、急速充電は行われていない。とはいえ、急速充電はバッテリーを劣化させるといわれているので、自宅では今の環境で充電していた方が良いかもしれない。

かなり昔のiPhoneに付属していたACアダプター。出力は5W(5V×1A)

Ankerのワイヤレス充電器「PowerWave II Pad」。出力は最大15W

7月4日(火):急速充電では約35%の電力ロスが発生

 昨日のうちにiPhoneのバッテリーを使い切っておいたので、いよいよモバイルバッテリーで充電テストをしてみたい。

 まずは、モバイルバッテリーのUSB Type-C端子をiPhoneに接続。iPhoneの電源をオフにしたまま充電したところ、モバイルバッテリーのインジケータは約2分ごとに1%のペースで減少していった。「cheero Power Plus 5」の容量は15000mAhなので、iPhoneを急速充電するために、分速75mAhの電力を消費しているようだ。

 その後、1時間10分が過ぎたあたりで充電ペースが落ちたので、一度iPhoneの電源を入れてみたところ、内蔵バッテリーが79%まで充電されていた。iOS 13 以降ではiPhoneのバッテリーが80%まで充電されると、低速のトリクル充電に切り替える機能が搭載されているので、これが有効になったらしい。

 さらに、23分が過ぎたところで、モバイルバッテリーのインジケータが66%に変わると、その後は表示が変わらなくなった。iPhoneの電源を入れると、バッテリーの表示は100%。モバイルバッテリーのインジケータの表記が精密だとすると、iPhoneの充電に約5100mAhの容量が使われ、そのうち約1800mAhのロスが発生したことになる。

45W給電における充電結果

  • 充電時間:約1時間33分
  • モバイルバッテリー残量:66%

急速充電を行った場合、iPhoneのバッテリーがフル充電された時点で、モバイルバッテリーには66%の電力が残されていた

7月5日(水):急速充電の方がバッテリーの減り方を抑えられる!

 昨日は充電テストの後で、再びiPhoneのバッテリー残量をゼロにしたおいたので、今度はモバイルバッテリーのUSB Type-A端子をiPhoneに接続。充電を行ったところ、モバイルバッテリーのインジケータが1%あたり2~10分のペースで減っていった。

 あまりにインジケータの表示が動かないので、途中で2回ほどiPhoneの電源を入れてしまったが、充電から2時間21分の時点で76%、2時間51分の時点で86%まで充電が行われていた。Type-C端子を接続した時と比較すると、充電のペースにかなりのバラつきがある。

 その後、約4時間が過ぎた時点で、モバイルバッテリーのインジケータ表示が56%となり、iPhoneの充電が完了。充電に6600mAhの容量を使ったことになるので、ロスした電力は約3300mAh。電力を移すために、約半分の電力が無駄になったことになる。

12W給電における充電結果

  • 充電時間:約4時間
  • モバイルバッテリー残量:56%

急速充電を行わなかった場合、iPhoneのフル充電には、モバイルバッテリーの約44%の電力が必要だった

 以上の結果から、筆者の環境では急速充電を行った方が、電力を無駄にせずに充電ができるらしい。キャンプや登山など、気軽にモバイルバッテリーを充電できない環境では、急速充電したほうがバッテリーの消耗を抑えることができそうだ。

 とはいえ、急速充電はバッテリーの劣化を早めるとも言われている。電力を補充するアテがあり、そこまで急いで充電する必要がない場合には、あえて急速充電を使わないという考えもアリだろう。

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