ローソン、増量系商品の狙いとは…値上げラッシュに逆行、売り切れ続出


 ローソンでは現在、「感謝還元チャレンジ創業祭」を行っている。対象商品を買うと無料券レシートが発行されたり、「1個買うと、1個もらえるキャンペーン」、2つ一緒に買うと割引になる「同時購入セール」など、数々のお得な企画を行っているが、なかでも注目を集めているのが、この期間中だけ販売される増量系商品だ。

 ローソンは今年2月に「盛りすぎ!チャレンジ」と題し、価格はそのままで従来品から47%増量した、さまざまな食品をラインアップ。これが一部店舗で品薄になるほどの売れ行きとなり、大きな話題となった。

 値上げバテしている消費者が注目する増量系キャンペーンの狙いと反響について、ローソン広報部に聞いた。

増量系キャンペーンを開催した理由

 ローソンは今年2月に「日本全国47都道府県ハピろー!計画」キャンペーンを開催、価格据え置きで重量を約47%増量した「盛りすぎ」商品を販売した。

 パンからはみ出るほど具材が挟みこまれた『盛りすぎ!やきそばパン』や、人気商品をサイズアップした『盛りすぎ!プレミアムロールケーキ』、さらに従来品より二回りは大きいおにぎり『盛りすぎ!和風シーチキンマヨネーズ』など、ボリュームのある商品を続々と発売。見た目のインパクトと、約1.5倍の増量なのに値段据え置きというおトクさで大きな話題となった。

 これに対し、相次ぐ値上げで財布のヒモを締め始めていた消費者が対象商品を求めて店舗に殺到。増量キャンペーン商品は一部店舗で品薄になったり、期間中でも終売になってしまうものもあった。

 現在、ローソンで開催中の「感謝還元チャレンジ創業祭」でも、新たな増量系メニューが登場。6月13日から、価格そのままでサイズがアップした『でからあげクン』や、まちかど厨房の弁当のごはんが増量になる『ごはんでか盛』キャンペーンなど行われた。また6月27日からは、一世を風靡した人気スイーツをパワーアップさせた『バスチー クリームのせ』や、定番の『これがのり弁当』に大きな豚の焼肉が乗った『これがのり弁当(厚切豚焼肉のせ)』など、増量系メニューが登場。

 さらにメーカーとのタイアップ品もあり、サンヨーからは『ネギバカ 青ネギオイル仕立てのにんにく塩ラーメン ネギ具材48%増量』が登場。ほかにも、感謝感激チャレンジ記念商品としてトーヨービバレッジの『町村農場 飲むソフトクリーム大容量』が48%増量となるなど、お得な商品が目白押しとなっている。

 このような増量系キャンペーンを開催した理由をローソン広報は、次のように語る。

「物価高騰が続くなか、お得な商品やワクワクする商品を発売することで、48周年の感謝をお伝えしたいと考えました」

 現在、さまざまな値上げに直面している消費者は、価格に対して非常にシビアだ。なかでも、値段はそのままで内容量を減らすなどの、いわゆる「ステルス値上げ」に対しては特に厳しい意見が飛び交う。そこを逆転して「値段は変わらず増量」という商品があれば、単純な値下げよりもインパクトが大きい。

 2月の「盛りすぎ!チャレンジ」キャンペーンは、そのあたりをついて企画開発されたようだ。

「多くの食品の値上げが行われる2月のタイミングに、量と質でお得な商品を発売することで、お客様の生活を応援したいと考え、価格据え置きで最大限増量した商品を提供する企画となりました。また、全国47都道府県のお客様にお得さや楽しさを感じてもらい、日本を元気にしたいという思いから、『盛りすぎ!チャレンジ』という名前にしました。
これまでも、手巻き寿司やサンドイッチなど、いろいろな商品で増量したことはありますが、ローソンにおいて約47%まで増量した施策はこの『盛りすぎ!チャレンジ』が初めてでした」

 見た目もインパクト絶大な「盛りすぎ!」商品はSNSなどでも話題になり、一部で品薄になってしまった商品も続発した。

「販売数の予測が非常に難しいと実感しています。『盛りすぎ!チャレンジ』につきましては、製造工場のキャパシティ上限一杯の量を製造し、各店舗に毎日納品を実施致しましたが、想定を上回る反響をいただき、多くのお客様に商品をお届けすることが難しい状況となってしまいました。
 お客様からは、店舗に行っても商品が無くてがっかりされたという声をいただきまして、商品の入荷時間のお知らせを掲出するなどの施策を行いましたが、ご来店時にご購入いただけないケースが発生してしまいました。多くのお客様にご迷惑をおかけ致しましたことを、深く反省しております」

 そもそも増量系商品は、開発の段階から試行錯誤の連続だったという。

「増量することで新たな工程が追加されるため、製造面での調整に苦労しました。また、商品によっては容量が増えることで店頭でのレンジアップ時間も延びるため、加熱に耐えられる新しい容器を開発する必要な商品もありました」

 増量商品は、ただ量を増やせばいいというものではなく、商品をイチから設計し、生産ラインから包装、流通、販売まで、新商品と同等、もしくはそれ以上の企画開発と手間暇が掛けられている。その経験は、今回のキャンペーンにも生かされているという。

「『盛りすぎチャレンジ』の反省も踏まえて、お客様のご期待に沿えるよう準備を進めております。例えばデザートについては、製造する工場を増やして対応致します。また、からあげクンやまちかど厨房商品など、店内調理により品揃えを増やすことができる商品も対象にしました」

「まちかど厨房」は、現在約9,200店舗のローソン店舗で展開している、店内での調理・販売する業態。できたてを提供できるだけでなく、品切れなどにも対応しやすいという。

 今回発売された『ごはんでか盛り! 鶏のから揚げ弁当』を実際に買って試食してみたが、容器込みの重量が550グラムと圧倒的なボリュームで、おなかいっぱいになれる非常にお得なメニューだと感じた。

「ローソンでは『盛りすぎチャレンジ』以前からも、さまざまな増量企画を実施してまいりました。今後もお客様に量や質でお得にワクワクしていただける企画を考えてまいります」

 2月の『盛りすぎ!チャレンジ』、そして現在開催中の『感謝還元チャレンジ創業祭』、そのどちらにも「チャレンジ」というキーワードが掲げられている。

 いま消費者が求めている商品を、どこまでお得に届けることができるのか。ローソンの企業努力と飽くなきチャレンジ精神が、消費者をワクワクさせる増量系キャンペーンに込められている。
(文=清談社)

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