全長わずか20マイクロメートルのスクリュー型自走式マイクロロボットが開発される、目的の場所に張り付いて薬を注入する動物実験に成功

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コロラド大学ボルダー校の研究チームが、全長わずか20マイクロメートルという超小型のマイクロロボットを開発しました。このマイクロロボットは自走式で、実際にマウスの体内で薬を輸送することに成功したと報告されています。

Bubble‐Based Microrobots with Rapid Circular Motions for Epithelial Pinning and Drug Delivery – Lee – Small – Wiley Online Library
https://doi.org/10.1002/smll.202300409


These tiny, medical robots could one day travel through your body | CU Boulder Today | University of Colorado Boulder
https://www.colorado.edu/today/2023/05/24/these-tiny-medical-robots-could-one-day-travel-through-your-body


研究チームが開発したマイクロロボットがどんな感じで動くのかは、以下のムービーを見ると一発でわかります。

A robotic Fantastic Voyage – YouTube
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このマイクロロボットは生体適合性ポリマーと呼ばれる素材で作られており、3Dプリンターと同様の技術で製造されます。


マイクロロボットの全長はわずか20マイクロメートルで、髪の毛1本の直径の数分の1程度です。小さなロケットに似た本体に3枚の小さな羽がついていて、船のスクリューのような形をしているのが特徴。


このマイクロロボットは、まるでコップを逆さまにして水に沈めた時のように、スクリューの中央部分に小さな空気の泡をためています。そして、超音波をこのマイクロロボットに当てると、泡が激しく振動し、ロボットを前方に飛ばします。


ムービーのマイクロロボットは、3枚の羽のうち1枚だけ短く設計されているので、クルクルと回転するように動きます。


マイクロロボットを走査型電子顕微鏡で撮影した写真が以下。


研究チームは、このマイクロロボットが指定難病の間質性膀胱(ぼうこう)炎の治療に応用できるのではないかと考えています。間質性膀胱炎の患者は、病院でカテーテルを使って「デキサメタゾン」という抗炎症薬を膀胱に定期的に注入する必要があるのですが、研究チームはこのデキサメタゾンの注入をマイクロロボットで行う実験を行いました。

研究チームは高濃度のデキサメタゾンを封入したマイクロロボットを数千個製造し、実験用マウスの膀胱に注入しました。マイクロロボットは体内をグルグルと巡ってから、最終的に膀胱にたどりついてその内壁に張り付くことに成功しています。この時、おしっこが少し出にくくなるとのこと。

そして、膀胱壁に張り付いたマイクロロボットは、約2日間かけてゆっくりとデキサメタゾンを放出しました。マイクロロボットを使って長い時間をかけてゆっくりと薬を注入できるようになることで、頻繁に来院する必要がなくなると期待できます。

研究チームは、マイクロロボットが人体内を自由に移動できるようにするにはまだ多くの課題があると述べており、まずはマイクロロボットを完全に生分解性にして最終的に体内で溶けてしまうようにすることを目標としています。

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