ASUS、Wi-Fi 7ルーターとIntel Wi-Fi 7モジュール「Gale Peak 2」の接続を参考展示

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ASUSがブースで行なったIntelのWi-Fi 7モジュール「Gale Peak 2」のデモ、約4.7Gbpsという通信速度はインパクトがある

 ASUSは、COMPUTEX 2023にブースを出展して、同社のPC、周辺機器などのラインアップを展示している。既に1月のCESなどでグローバルに発表された製品が中心になっており、来場者にとってはそうした同社製品を触れるチャンスになっている。

 そうした中でASUSは、Intelが「Gale Peak 2」の開発コードネームで開発しているWi-Fi 7に対応したWi-Fiモジュールと、ASUSのWi-Fi 7ルーターを接続するデモを行なっている。6GHzのみを利用したデモでは約4.7Gbpsという通信速度を実現している。

 今回の展示はあくまで参考展示で、すぐ出荷されるというものではないが、本年の後半に予定されているIntelの次世代デスクトップPCプラットフォームやノートPC向けのMeteor Lakeなどと組み合わせて市場に登場してくる可能性が高い。

320MHz幅で通信することが可能になり、2×2時に5.8Gbpsで通信できるWi-Fi 7

デモに利用されているASUSのWi-Fi 7ルーター

 Wi-Fi 7は、IEEEで規格化が進められている次世代Wi-Fiの規格である(IEEE802.11be)のWi-Fi Alliance側の世代呼称となる。現行の規格となるWi-Fi 6Eは、以前からWi-Fiの周波数として利用されてきた2.4GHzと5GHzという2つの周波数だけでなく、新しい周波数になる6GHzに対応していることが最大の特徴となる。

 この6GHzは近年になって各国でアンライセンスバンド(2.4GHzや5GHzなどがそうであるように、利用者が免許をもっていなくても利用できる周波数のこと)として整理されて、少しずつ利用することが可能になっている。日本では、2022年の9月に総務省から「電波法施行規則等の一部を改正する省令」が出され、それ以降電波法に基づく技適マーク(特定無線設備の技術基準適合証明等のマーク)がなんらかの形で表示されている場合に利用できるようになった。

 Wi-Fi 7では、320MHzというWi-Fi 6Eに比べて倍の帯域幅で通信することが可能になり、4K QAMという新しい方式をサポートすることが新機能になり、それによりWi-Fi 6Eの時の2.4Gbps(2×2時)にくらべて倍以上となる5.8Gbps(2×2時)と高速化されることが最大のメリットだ。

 また、Wi-Fi 6Eの時は新しい周波数となる6GHzに対応する必要があったため、日本で言えば総務省となる規制当局の認可を待つ必要があったが、Wi-Fi 7では周波数はWi-Fi 6Eと同じ2.4GHz、5GHz、6GHzで、特に新しい周波数に対応する必要がない。

 このため、機器ベンダーが技適マークを取得しWi-Fi 7に対応した機器をリリースすれば利用できるようになるため、Wi-Fi 6Eの時よりは早く利用できるようになると考えられており、既にWi-Fiルーターに関してはTP-Linkが既に今夏に国内で発売することを明らかにしている。

約4.7Gbpsという実測値を実現したGale Peak 2、2024年のノートPCにはWi-Fi 7が標準搭載か

テストシステム

 そうした中で次に注目されるのは、Wi-Fi 7のPC側の対応だろう。中でも国内のノートPCの大部分に搭載されているIntelプラットフォームでの対応がWi-Fi 7の普及に大きな影響を与えることは疑いの余地がない。

 IntelはWi-Fiモジュールのサプライヤーとしの歴史は長く、2003年にCentrino Mobile Technologyの一部として最初の製品としてIntel PRO/Wireless 2100(開発コードネム:Calexico)を投入してから、同社のノートPC向けのSoCを購入するOEMメーカーに対して製品を供給している。近年でもそれは同様で、ここ数年ではWi-Fi 6に対応したIntel Wi-Fi6 AX201(開発コードネーム:Harrison Peak 2)を2019年に、そしてWi-Fi 6Eに対応したIntel Wi-Fi 6E AX211(Garfield Peak 2)を2021年に投入している。

Gale Peak 2

 そうしたIntelのWi-Fi 7対応のWi-Fiモジュールが、今回ASUSのブースでデモされている「BE200」(開発コードネーム:Gale Peak 2)だ。今回ASUSは、6GHz帯だけを利用して320MHz幅で同社がCESで発表したWi-Fi 7ルーターと通信するデモを行なっており、iperfの実測値で約4.7Gbpsという速度を実現していた。

 ASUSの関係者によれば、電波状況がよければ4.8Gbpsを超える結果を出せるそうで、確かに多くの電波が飛び交っている展示会場でこの数値はなかなかインパクトがあると言える。

 Intelは現時点ではGale Peak 2のリリース時期などは明らかにしていないが、業界筋の情報によれば秋頃にリリースが予定されているとのことで、本年の後半に予定されているIntelの次世代デスクトップPCプラットフォームやノートPC向けのMeteor Lakeなどのタイミングに合わせて正式発表され、搭載されていく可能性が高い。

 その意味では、2024年にはノートPCに標準搭載されていく可能性は高く、思ったより早くPCでもWi-Fi 7を利用できるようになりそうだ。

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