衆議院解散選挙、あるのだろうか?

アゴラ 言論プラットフォーム

サミット終了直後、成功裏な結果を受け、突如「衆議院解散選挙」が話題に上がりました。今国会の期末は6月21日。その期末に向け、解散を行うのではないか、と言うものです。しかし、サミット終了後、岸田氏への熱量は急速に冷え、更に水をかけたのが長男、翔太郎氏を中心とした身内の忘年会の写真でした。

ひな壇に立つ翔太郎氏を入れた12人の顔はぼかしが入っていますが、どう見ても若いのです。つまり翔太郎氏とほぼ同年代かその上の方ぐらいに見えます。とすればいとこぐらいではないかと思います。身内の忘年会を公邸でやるのはかまわないけれど、公的な場であるひな壇やスピーチ用の台(Podium)で冗談写真を撮ったのは「せっかくだから見せてよ」に応えた翔太郎氏のノリだったと思います。そしてそれが流出するとは彼も思いもしなかったわけでわきの甘さと言うことになります。

それにしても週刊文春、いったいどうやってこの写真を入手したのでしょうか?身内に裏切者がいたのでしょうか?恐ろしい調査、交渉能力です。

それはさておき、衆議院の解散について岸田首相は「ない」と明言しています。もちろん、まともに聞いて「ある」と言う首相はいない訳で無意味な質問とも言えます。では、6月の国会会期末に向けて解散コールをするか、ですが、個人的には「ない」とみています。

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半年近く前に同様の話題が上った時、私は秋という意見を申し上げました。こんな読みはほとんど価値がなく、その時々の政局次第なのです。逆説的ですが、岸田氏がもしも解散を急がねばならない理由があるとすれば2つです。

1つは最大の外交上のイベントが終了し、今後の外交でポイントゲットがしにくいことが上げられます。ここにきて急に北朝鮮、金正恩氏と会いたいと言いだしました。これは残る3人の外交相手、金正恩、習近平、プーチン各氏との会談による成果アピールという切り札の一枚を出したい訳です。ただ、この3人との会談は今までのような順風とはいきません。ほぼ成果ゼロの可能性が高いわけでそれが外交ポイントになる確率は低く、ならば解散を急がねばならない一つの理由にはなりえます。

もう1つは公明とのすきま風と維新の躍進を受けた自民党としての焦りです。維新はウィシュマ氏に関する発言で騒動になった梅村みずほ議員を党員資格停止6カ月の処分としました。8段階ある処分で厳しい方から3番目です。この判断、維新は素早かった、そして同議員の発言、行動に対してかなり厳しい姿勢を示したことが逆に維新に威信を与えた形となったとみています。

日経の最新世論調査で次の衆議院選で投票したい政党は自民の36%に対し維新が16%と騰勢を強めています。立憲が10%であとはすべて3%以下です。この状況に於いて今、解散選挙が良いのか、もうしばらく待つほうが良いのか、政局としては判断が難しいところですが、維新の躍進があれば自民の改革が進めやすいという逆療法もあります。つまり、これを放置すれば維新が地方政党から本格的に全国区政党として躍進する一方、自民が旧態依然のままで極めて強い危機感が生まれるならばその危機感をわざと煽る戦略が可能です。

その効果の一つが公明党との関係見直し、もう一つが維新と国民民主との対話です。

日本の政治に於いて自民に対立する政党が一時期を除き、出なかったことは中国の共産党一党体制を批判できるものではないのです。日本人が日本を守り、正しく幸福な国家づくりをする議論と政策を進めるにあたり、自民により緊張感を持たせるなら維新は今ならば栄養ドリンクなのです。今の国民は何か違うものを求めている、そして世代交代が進んだ中で過去のしがらみにとらわれない行動に挑戦することを求めている、それが今の日本ではないかと思うのです。

岸田氏は党内派閥では力がない、よって外部環境の変化に頼るという手法を取るなら別に6月解散ではなく、秋以降でもよいだろう、いや、解散をしないという手もあるかもしれません。自民党は長老の高齢化が進む中、岸田氏にとって時間をかけた方が都合がよいこともあると私には思えるのです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年5月29日の記事より転載させていただきました。

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