アイデアが形になる過程で変わっていくもの。
WWDCでの発表が期待されているApple(アップル)のVR/ARヘッドセット。ティム・クックCEOは、これが未来を形作る新たなステップになると考えているようですが、本当のところは複雑な心境なのかもしれません。
未来を描いてスタートするも、その道のりは妥協と制限の連続に…。
当初の予定とはまるで異なる製品
Apple製品リークでお馴染みのMark Gurman氏が、Apple噂のVR/ARヘッドセット「Reality」はオリジナル構想から大きく変わってしまったと語っています。
Reallityヘッドセットの匿名関係者の話によれば、最初のアイデアは軽量のARグラスだったといいます。それが話が進むにつれ、外付けのパススルーカメラをのせたARを含むVRのヘッドセットへと大きく変わっていったのだとか。
りんご印のメガネ系ウェアラブルの噂がでてから、はや7年…。今、発表間近と言われる端末は高額なヘッドセットで、重さ対策のためバッテリーは外付けだと言われています。
電力と熱という問題から妥協点を探った結果がそこだったのでしょう。最初に想定していた、複数人で動画通話できるMacの外部モニターという立ち位置はもはやありません。
赤字販売を覚悟
AppleはVRヘッドセットの開発に年間1,000人のエンジニア&10億ドル(約1400億円)を投資。もし噂通り3,000ドル(約42万円)でヘッドセットが発売されたとして、製品としては高額なものの、Appleとしては赤字覚悟になるという見方が強くなっています。
赤字覚悟のヘッドセットといえば、トップがメタバースにフルコミットのMeta。Quest 2は最近値上がりが発表、一方で高位機種のQuest Proは値下がりという微調整が入っています。
ヘッドセットがスマホの代わりになるのはまだ先?
ヘッドセットでも、MacやiPhoneと同じアプリが複数使えるでしょう。たとえば、メッセージアプリ、FaceTime、Safari、カメラ、メール、Bookアプリなどなど。
VR系ヘッドセットがいつかスマートフォンに置き換わる想定であり、初のVRヘッドセットを初代iPhoneのような技術革新にしたいという思いがAppleにはあるのでしょう。
また、iPhoneでスマートフォン業界をリードしたように、AR業界のリーディングカンパニーとなれば、Appleには年間250億ドル(約3兆4000億円)の収益が見込まれるという話があります。
Macの出荷台数が著しく減少していることを考えれば、AppleとしてVRヘッドセットという新プロダクト&業界に期待をかけたくなるところ…。
近年のガジェット発表はAppleに限らず噂そのままなことが多くなっていますが、6月のWWDCも噂通りならヘッドセットRealityが3,000ドルで発表。となれば、その価格から一気に普及するのは難しいはず。
Appleアナリストのミンチ―・クオ氏は、2025年までにAppleはさらにヘッドセットを2モデル投入してくると語っています。うち1つは比較的安価バージョンで一般層にもリーチする、のかな。
2021年、社名を変更してメタバースにフルコミットし続けているMeta。マーク・ザッカーバーグ氏のあれだけの熱意をもっても、一般普及にはまだ遠いVR/AR/MRヘッドセット。Apple参入でそれは変わるのか、それともMetaと肩を並べて苦難の道を歩くのでしょうか。
なにともあれ、まずは発表されてからです。